次の日、俺は大学のオープンキャンパスへ行ってきた。父が大学まで運転手を付けると言っていたが、俺は断って電車に乗って大学まで行った。なんだかそんな高待遇に慣れてしまったらいけない気がしていた。
オープンキャンパスに行った事で、俺はより大学生活が上手くイメージ出来た。
目に映る物全てがきらきらと輝いている気がして、来年もしかしたら自分がこの大学に通うかもしれないと思うと、楽しみで仕方なかった。
俺はたまたま入った駅ビルで、灯にお土産を買った。猫の形をしたキーホルダーに、名前を彫ってもらえるサービスがあったので、お願いをした。灯は猫が好きだった。いつも喫茶店に来る猫を可愛いと言って撫でていた。
このお土産をあげた時に喜ぶ灯の顔を想像したら、俺は凄く幸せな気持ちになれた。灯は会っていない時でも、俺に幸福をもたらしてくれていた。
その後、俺は父の会社の見学へ行った。
父は忙しかった事もあり、秘書の西島さんという人が、色々俺の世話をしてくれた。西島さんは、会社立ち上げの時から父の会社で働いている、父の右腕のような人だった。年齢も父とそんなに変わらず、見た目は優しそうな顔をしているが、周りへの指示の出し方を見ていると、かなり仕事が出来るキレ者だと言うのがわかった。
「いや、全然社長に似てないなぁ。社長に子供がいる事は知っていたけど、こんなまともそうな子がいるとは思わなかったなぁ」
「子供がいる事を聞いていたんですか?僕はつい最近まで父親の顔も知らなかったんです」
「知っていたよ。佳月君が赤ちゃんの頃の写真をいつも大事そうに持っていたからね。私は社長がやんちゃしていた頃からの知り合いなんで、社長の息子がこんなに真面目そうで驚いているんだよ」
一体どれだけやんちゃをしていたのか、母に愛想つかされても仕方なかったのだろう。今の父からは想像出来ない。西島さんは、俺に会社の中を案内すると、会社について色々教えてくれた。
「社長はね、生まれ育った環境が良いわけでも、これといった凄い才能があったわけでもなかったんだよ。それでも、こんなに店舗数を増やして会社を大きく出来たのは圧倒的な行動力があったからだよ。
ここまで来るのに、大変な事は沢山あったが、社長は桁外れな行動力で乗り越えてきたんだ。 『誰かの為の便利な物になりたい』ってね」
「便利な物ですか、、、?」
「そう。自分の為じゃない、人の為に役立つ事、それを考えないと世の中で認められない。人の為に役立つ仕事をすれば、周りまわって自分の為にもなるんだよ」
西島さんの話しを聞いていると、俺は父がどれだけ苦労してこの会社を築きあげたのか、少しだけわかった気がした。正直、父と再会して今までどうして一度も俺に会いに来てくれなかったんだろうと考えた事があったが、家庭を顧みる事なんてしていたら、出来ないような仕事を父は必死にしていたんじゃないかと思った。
オープンキャンパスに行った事で、俺はより大学生活が上手くイメージ出来た。
目に映る物全てがきらきらと輝いている気がして、来年もしかしたら自分がこの大学に通うかもしれないと思うと、楽しみで仕方なかった。
俺はたまたま入った駅ビルで、灯にお土産を買った。猫の形をしたキーホルダーに、名前を彫ってもらえるサービスがあったので、お願いをした。灯は猫が好きだった。いつも喫茶店に来る猫を可愛いと言って撫でていた。
このお土産をあげた時に喜ぶ灯の顔を想像したら、俺は凄く幸せな気持ちになれた。灯は会っていない時でも、俺に幸福をもたらしてくれていた。
その後、俺は父の会社の見学へ行った。
父は忙しかった事もあり、秘書の西島さんという人が、色々俺の世話をしてくれた。西島さんは、会社立ち上げの時から父の会社で働いている、父の右腕のような人だった。年齢も父とそんなに変わらず、見た目は優しそうな顔をしているが、周りへの指示の出し方を見ていると、かなり仕事が出来るキレ者だと言うのがわかった。
「いや、全然社長に似てないなぁ。社長に子供がいる事は知っていたけど、こんなまともそうな子がいるとは思わなかったなぁ」
「子供がいる事を聞いていたんですか?僕はつい最近まで父親の顔も知らなかったんです」
「知っていたよ。佳月君が赤ちゃんの頃の写真をいつも大事そうに持っていたからね。私は社長がやんちゃしていた頃からの知り合いなんで、社長の息子がこんなに真面目そうで驚いているんだよ」
一体どれだけやんちゃをしていたのか、母に愛想つかされても仕方なかったのだろう。今の父からは想像出来ない。西島さんは、俺に会社の中を案内すると、会社について色々教えてくれた。
「社長はね、生まれ育った環境が良いわけでも、これといった凄い才能があったわけでもなかったんだよ。それでも、こんなに店舗数を増やして会社を大きく出来たのは圧倒的な行動力があったからだよ。
ここまで来るのに、大変な事は沢山あったが、社長は桁外れな行動力で乗り越えてきたんだ。 『誰かの為の便利な物になりたい』ってね」
「便利な物ですか、、、?」
「そう。自分の為じゃない、人の為に役立つ事、それを考えないと世の中で認められない。人の為に役立つ仕事をすれば、周りまわって自分の為にもなるんだよ」
西島さんの話しを聞いていると、俺は父がどれだけ苦労してこの会社を築きあげたのか、少しだけわかった気がした。正直、父と再会して今までどうして一度も俺に会いに来てくれなかったんだろうと考えた事があったが、家庭を顧みる事なんてしていたら、出来ないような仕事を父は必死にしていたんじゃないかと思った。



