年越しが過ぎて、本格的な厳しい冬がやってきた。阿武隈川から吹く風も耳を刺すような寒さだった。冬休みも、俺は先輩とデートをしたり、涼太と遊びに行ったり、それなりに楽しく過ごしていた。
先輩と二人きりで会うのも段々と慣れてきて、前より二人の距離は徐々に近づいていたが、俺はどうしてもまだ先輩の事を"茜"とは呼べずにいた。
水上は相変わらず、喫茶店にピアノを弾きにきていたし、帰りのバスではいつも一緒で、二人でくだらない話しを延々としながら帰っていたが、最近茜先輩はその事をあんまり良くは思っていなかった。
事あるごとに、水上との事を聞かれたし、先輩が水上の事を気にしているのは確かだった。
何せ、誰かと付き合うのが初めての俺は、いわゆるやきもちを妬かれるなんて経験もなく、どうしたらいいかわからなくなっていた。
本当は、先輩の事を考えてあんまり水上と仲良くしないのが一番だと思っていたが、水上との時間は単純に楽しくて、距離を取る事もできていなかった。
「今日も、灯ちゃんと帰るの?」
部活の終わる頃、部室の前で茜先輩が俺に言ってきた。
俺は少しどきっとしたが、まるで弁解するみたいに、茜先輩に言い訳していた。
「今日は、涼太も一緒ですよ!二人じゃないです」
俺が必死にそう言うと、茜先輩は小さくため息をついた。
「ごめんね。最近、私嫌な彼女だよね?佳月君と灯ちゃんの事気にしてばっかりで。自分でも嫌なんだけど、不安になっちゃって」
そんな先輩を見て俺は、胸の中が罪悪感でいっぱいになった。せっかくずっと片思いしていた先輩と付き合えているのに、先輩にこんな顔をさせてしまって、何やってるんだという思いになった。
「俺が、しっかりしてないからですよね。でも本当に水上は友達だし、俺は先輩の事だけが好きなんで安心してください」
俺は茜先輩の手を握ると、手で肩を優しく叩いた。茜先輩は少しだけ安心したように、俺を見つめて笑った。とにかく安心させないといけない。俺の頭はそれだけでいっぱいだった。
その日、本当に俺達は三人で喫茶店に行った。
水上は何曲かリクエストに答えて、ピアノを弾いていたし。涼太はそれを楽しそうに聞いていた。今日はそこへ、風太と飯田もやってきた。
外は雪が降っていて、二人は頭に白い雪を乗せて、鼻を赤くしてやってきた。
「風ちゃん!飯田君!どうしたの?」
突然の訪問に、水上が嬉しそうに出迎えた。
風太と飯田は少し勿体つけるように「ジャーン!」と言って、チラシのような物を見せてきた。
先輩と二人きりで会うのも段々と慣れてきて、前より二人の距離は徐々に近づいていたが、俺はどうしてもまだ先輩の事を"茜"とは呼べずにいた。
水上は相変わらず、喫茶店にピアノを弾きにきていたし、帰りのバスではいつも一緒で、二人でくだらない話しを延々としながら帰っていたが、最近茜先輩はその事をあんまり良くは思っていなかった。
事あるごとに、水上との事を聞かれたし、先輩が水上の事を気にしているのは確かだった。
何せ、誰かと付き合うのが初めての俺は、いわゆるやきもちを妬かれるなんて経験もなく、どうしたらいいかわからなくなっていた。
本当は、先輩の事を考えてあんまり水上と仲良くしないのが一番だと思っていたが、水上との時間は単純に楽しくて、距離を取る事もできていなかった。
「今日も、灯ちゃんと帰るの?」
部活の終わる頃、部室の前で茜先輩が俺に言ってきた。
俺は少しどきっとしたが、まるで弁解するみたいに、茜先輩に言い訳していた。
「今日は、涼太も一緒ですよ!二人じゃないです」
俺が必死にそう言うと、茜先輩は小さくため息をついた。
「ごめんね。最近、私嫌な彼女だよね?佳月君と灯ちゃんの事気にしてばっかりで。自分でも嫌なんだけど、不安になっちゃって」
そんな先輩を見て俺は、胸の中が罪悪感でいっぱいになった。せっかくずっと片思いしていた先輩と付き合えているのに、先輩にこんな顔をさせてしまって、何やってるんだという思いになった。
「俺が、しっかりしてないからですよね。でも本当に水上は友達だし、俺は先輩の事だけが好きなんで安心してください」
俺は茜先輩の手を握ると、手で肩を優しく叩いた。茜先輩は少しだけ安心したように、俺を見つめて笑った。とにかく安心させないといけない。俺の頭はそれだけでいっぱいだった。
その日、本当に俺達は三人で喫茶店に行った。
水上は何曲かリクエストに答えて、ピアノを弾いていたし。涼太はそれを楽しそうに聞いていた。今日はそこへ、風太と飯田もやってきた。
外は雪が降っていて、二人は頭に白い雪を乗せて、鼻を赤くしてやってきた。
「風ちゃん!飯田君!どうしたの?」
突然の訪問に、水上が嬉しそうに出迎えた。
風太と飯田は少し勿体つけるように「ジャーン!」と言って、チラシのような物を見せてきた。



