水上の予想通り、その年のクリスマスは雪が降っていた。俺と先輩は、夕方に待ち合わせしていたので、その前に祖父の喫茶店に寄った。
母から預かっていた苺を渡す為だった。祖父はこの苺を使ってケーキを作ると張り切っていた。
喫茶店の扉を開けると、水上がサンタの格好をして「メリークリスマス!」と言ってきた。
「なんだよ、その格好、、、」
「サンタだよ!他に何に見える?今日は神ではなく、サンタとして世の中の恋人達に向けてラブソングを永遠に弾き語りたいと思っています」
「なんか、、、何か可哀想だな。頑張れよ」
「何それ!人を憐れむみたいな顔で見ないでくれる?この後、風ちゃんと飯田君も来てくれるって言ってたし!」
「そうなの?なら良かったね」
水上は俺を睨みつけていたが、俺は構わず祖父に苺を渡した。
「おー、ありがとう。佳月はデート何時に行くんだ?」
「五時に駅で待ち合わせだけど?」
「じゃあ、まだ時間あるな。ツリー出したんだよ。灯ちゃんと飾りつけしちゃってくれ」
祖父が奥から引っ張り出してきたのは、俺が小さい頃せがんで買ってもらった、ツリーだった。小さい時、家にツリーがなくて、ツリーがない家にはサンタがこないと思っていた俺は、祖父にツリーを買ってもらったんだった。あの時は物凄く大きいと思っていたツリーが、今は随分と小さく見えた。
「クリスマスってさ、こうやって準備してる時間が一番幸せなんだよね」
水上がオーナメントを付けながらそんな事を言っていた。
「ああ、まあ、そうかもな」
「プレゼント貰えるかな?どうかなぁってわくわくして眠る感じが好きなんだよ。よくお姉ちゃんと『何貰えるかな?今日は一晩中起きてようよ』っていいながら、結局寝ちゃってたなぁ」
水上が昔を思い出すように、少し寂しそうな表情をした。
「今年は?何かプレゼントあるの?」
「ないなぁ。お姉ちゃん死んじゃってから、お母さんずっと何にもやる気が起きないみたい。
人生から楽しい事が全部消えたみたいだよ。だから、今日はここでクリスマスが過ごせて良かった。ほらっ!出来た!いいんじゃない!?可愛いよ!電球もつけよう!」
水上の心にある、孤独や寂しさがチラチラと見え隠れする度に、俺は胸がズキっと傷んだ。
いつも明るい水上だからこそ、時々見せる影の部分が余計に際立って見えた。
「まあ、ここでよければいつでも来なよ。じいちゃんも、お袋も喜んでるし」
「そうだね。成瀬君も喜ぶし。仕方ないから、来てあげるよ」
「はっ?別に喜んでねーし!」
「すぐそうやって強がるよね?素直になった方がいいよ?はい!出来た!スイッチオン」
水上がツリーの電源を入れると、ツリーが赤や青や緑に光った。
「うわぁ!可愛い!テンションあがるね」
「お?出来たのか?古いけどまだちゃんと光るんだな」
祖父が後ろから、懐かしそうに目を細めてツリーを眺めた。
「あっ!やばい!もうこんな時間だ。じゃあ俺は行くな」
慌てて、俺が準備をしていると、水上がホッカイロを渡してきた。
「今日寒いから持って行きなよ。先輩の分もあるから。素敵なクリスマスになるといいね」
「ありがとう、、、」
「いってらっしゃい」そう言って笑う水上の笑顔に少し後ろ髪を引かれる思いがしたが、俺は喫茶店の扉を開けて、雪の降る町へ飛び出した。
母から預かっていた苺を渡す為だった。祖父はこの苺を使ってケーキを作ると張り切っていた。
喫茶店の扉を開けると、水上がサンタの格好をして「メリークリスマス!」と言ってきた。
「なんだよ、その格好、、、」
「サンタだよ!他に何に見える?今日は神ではなく、サンタとして世の中の恋人達に向けてラブソングを永遠に弾き語りたいと思っています」
「なんか、、、何か可哀想だな。頑張れよ」
「何それ!人を憐れむみたいな顔で見ないでくれる?この後、風ちゃんと飯田君も来てくれるって言ってたし!」
「そうなの?なら良かったね」
水上は俺を睨みつけていたが、俺は構わず祖父に苺を渡した。
「おー、ありがとう。佳月はデート何時に行くんだ?」
「五時に駅で待ち合わせだけど?」
「じゃあ、まだ時間あるな。ツリー出したんだよ。灯ちゃんと飾りつけしちゃってくれ」
祖父が奥から引っ張り出してきたのは、俺が小さい頃せがんで買ってもらった、ツリーだった。小さい時、家にツリーがなくて、ツリーがない家にはサンタがこないと思っていた俺は、祖父にツリーを買ってもらったんだった。あの時は物凄く大きいと思っていたツリーが、今は随分と小さく見えた。
「クリスマスってさ、こうやって準備してる時間が一番幸せなんだよね」
水上がオーナメントを付けながらそんな事を言っていた。
「ああ、まあ、そうかもな」
「プレゼント貰えるかな?どうかなぁってわくわくして眠る感じが好きなんだよ。よくお姉ちゃんと『何貰えるかな?今日は一晩中起きてようよ』っていいながら、結局寝ちゃってたなぁ」
水上が昔を思い出すように、少し寂しそうな表情をした。
「今年は?何かプレゼントあるの?」
「ないなぁ。お姉ちゃん死んじゃってから、お母さんずっと何にもやる気が起きないみたい。
人生から楽しい事が全部消えたみたいだよ。だから、今日はここでクリスマスが過ごせて良かった。ほらっ!出来た!いいんじゃない!?可愛いよ!電球もつけよう!」
水上の心にある、孤独や寂しさがチラチラと見え隠れする度に、俺は胸がズキっと傷んだ。
いつも明るい水上だからこそ、時々見せる影の部分が余計に際立って見えた。
「まあ、ここでよければいつでも来なよ。じいちゃんも、お袋も喜んでるし」
「そうだね。成瀬君も喜ぶし。仕方ないから、来てあげるよ」
「はっ?別に喜んでねーし!」
「すぐそうやって強がるよね?素直になった方がいいよ?はい!出来た!スイッチオン」
水上がツリーの電源を入れると、ツリーが赤や青や緑に光った。
「うわぁ!可愛い!テンションあがるね」
「お?出来たのか?古いけどまだちゃんと光るんだな」
祖父が後ろから、懐かしそうに目を細めてツリーを眺めた。
「あっ!やばい!もうこんな時間だ。じゃあ俺は行くな」
慌てて、俺が準備をしていると、水上がホッカイロを渡してきた。
「今日寒いから持って行きなよ。先輩の分もあるから。素敵なクリスマスになるといいね」
「ありがとう、、、」
「いってらっしゃい」そう言って笑う水上の笑顔に少し後ろ髪を引かれる思いがしたが、俺は喫茶店の扉を開けて、雪の降る町へ飛び出した。



