「へぇ、良かったな。飯田バンド組みたいって言ってたもんな。メンバー集まったんだ」
「長田さんが、知り合いで楽器弾ける人を紹介してくれたらしいよ。風ちゃん最近曲も作ってるらしくて、ライブハウスでお披露目する為に頑張ってるみたい」
風太は、本当に多才だった。ピアノも弾けるし、ギターも練習し始めたらすぐに弾きこなしてしまった。大学は、東京の有名音大の声楽部を目指していると言っていた。
「水上もバンドやれば良かったのに、水上と風太と飯田ならメジャーデビューも夢じゃなかったかもよ?」
「えー?私はそこまではいいかな?喫茶店で一人でジャズ弾いてるくらいが丁度いいよ。
お客さん喜んでくれるし。マスターのご飯は美味しいし」
水上はこんなに才能があるというのに、本当に無欲だった。あんなちっぽけな喫茶店の隅でピアノを弾いているような、人間ではないと思うが、本人はピアノを弾いているより、むしろ水泳部のマネージャーで皆んなの為に雑用をしている方が楽しいと言っていた。
バスの窓の外を見ていた水上が突然声をあげた。
「あっ!成瀬君!見てよ!雪が降ってる!」
水上が言う通り、窓の外にはちらちらと雪が舞っていた。この町にも本格的な冬が来たらしい。一斉に花が咲き乱れる春がくるまで、寒くて長い冬がやってくるのだと思うと、俺は少しうんざりとした気分になった。しかし、隣りで水上は楽しそうにバスの窓を開けた。
「見て見てー!!ほらっ!雪掴めるよ!」
「おいっ!やめろよ寒いな!」
バスの窓から、肌を刺すような冷たい風が舞い込んできた。何がそんなに楽しいのかわからないが、水上は雪を手で掴んでは俺に見せてきた。
「ほら!見て見て!雪の粒大きいね!」
「あーはいはい!凄いね。窓閉めるからな」
俺が窓を閉めると、水上は不満そうな顔をした。
「このぶんだと、クリスマスはホワイトクリスマスになるかな?成瀬君良かったね」
「いや、別に降らなくていいよ。寒いし」
「そういう、ロマンチックがわからないと、彼女にすぐに振られてしまうと思うよ?」
「水上に言われたくないよ。水上はクリスマスどうすんの?」
あの文化祭の日から、水上はモテ期が到来したらしく、何人かに告白されていた。しかも何故か女子にまで告白されていて、よくわからない憧れをもたれていた。けれど、水上は誰とも付き合う気はないらしく、全て断っていた。
「私のクリスマスの予定は決まってるの。
喫茶店で、全世界の恋人達の為にピアノを弾く事にしたから」
そんな話しは祖父からも、聞いていなかったので俺は驚いた。
「マジで?せっかくのクリスマスなのに、それでいいわけ?せめて友達とパーティーとかしたら?」
「いいの。マスターが美味しいケーキ作ってくれるって言ってたし。成瀬君のママが仕事から帰ってきたら、チキン買ってきてくれるって」
「何、、、?お前うちの子なの?」
「もう養子にしてもらおうかな。でも成瀬君と兄弟になるのは嫌だな」
そんな失礼な事を言ってくるので、俺が軽く水上の足を蹴ると、仕返しに水上が俺の足に本気の蹴りをいれてきた。
「おーいっ!手加減しろよ!」
水上は笑ってホワイトクリスマスを歌いながらまた窓を開けた。
「長田さんが、知り合いで楽器弾ける人を紹介してくれたらしいよ。風ちゃん最近曲も作ってるらしくて、ライブハウスでお披露目する為に頑張ってるみたい」
風太は、本当に多才だった。ピアノも弾けるし、ギターも練習し始めたらすぐに弾きこなしてしまった。大学は、東京の有名音大の声楽部を目指していると言っていた。
「水上もバンドやれば良かったのに、水上と風太と飯田ならメジャーデビューも夢じゃなかったかもよ?」
「えー?私はそこまではいいかな?喫茶店で一人でジャズ弾いてるくらいが丁度いいよ。
お客さん喜んでくれるし。マスターのご飯は美味しいし」
水上はこんなに才能があるというのに、本当に無欲だった。あんなちっぽけな喫茶店の隅でピアノを弾いているような、人間ではないと思うが、本人はピアノを弾いているより、むしろ水泳部のマネージャーで皆んなの為に雑用をしている方が楽しいと言っていた。
バスの窓の外を見ていた水上が突然声をあげた。
「あっ!成瀬君!見てよ!雪が降ってる!」
水上が言う通り、窓の外にはちらちらと雪が舞っていた。この町にも本格的な冬が来たらしい。一斉に花が咲き乱れる春がくるまで、寒くて長い冬がやってくるのだと思うと、俺は少しうんざりとした気分になった。しかし、隣りで水上は楽しそうにバスの窓を開けた。
「見て見てー!!ほらっ!雪掴めるよ!」
「おいっ!やめろよ寒いな!」
バスの窓から、肌を刺すような冷たい風が舞い込んできた。何がそんなに楽しいのかわからないが、水上は雪を手で掴んでは俺に見せてきた。
「ほら!見て見て!雪の粒大きいね!」
「あーはいはい!凄いね。窓閉めるからな」
俺が窓を閉めると、水上は不満そうな顔をした。
「このぶんだと、クリスマスはホワイトクリスマスになるかな?成瀬君良かったね」
「いや、別に降らなくていいよ。寒いし」
「そういう、ロマンチックがわからないと、彼女にすぐに振られてしまうと思うよ?」
「水上に言われたくないよ。水上はクリスマスどうすんの?」
あの文化祭の日から、水上はモテ期が到来したらしく、何人かに告白されていた。しかも何故か女子にまで告白されていて、よくわからない憧れをもたれていた。けれど、水上は誰とも付き合う気はないらしく、全て断っていた。
「私のクリスマスの予定は決まってるの。
喫茶店で、全世界の恋人達の為にピアノを弾く事にしたから」
そんな話しは祖父からも、聞いていなかったので俺は驚いた。
「マジで?せっかくのクリスマスなのに、それでいいわけ?せめて友達とパーティーとかしたら?」
「いいの。マスターが美味しいケーキ作ってくれるって言ってたし。成瀬君のママが仕事から帰ってきたら、チキン買ってきてくれるって」
「何、、、?お前うちの子なの?」
「もう養子にしてもらおうかな。でも成瀬君と兄弟になるのは嫌だな」
そんな失礼な事を言ってくるので、俺が軽く水上の足を蹴ると、仕返しに水上が俺の足に本気の蹴りをいれてきた。
「おーいっ!手加減しろよ!」
水上は笑ってホワイトクリスマスを歌いながらまた窓を開けた。



