「茜先輩!!」
俺が声をかけると、先輩が泣き腫らした目でこっちを見た。
「佳月君、、、」
俺は、茜先輩の隣に座った。茜先輩はハンカチで涙を拭っていた。
「宮田先輩と何かあったんですか、、、?」
俺が聞いても、茜先輩は泣いていてしばらく答えられなかった。俺はそのまま、茜先輩の隣でただ、泣いている先輩を見つめていた。
もうすぐ花火が始まるからか、グラウンドの屋台の客は一旦、河原の方へ行ってしまい人がまばらにしかいなかった。
少しすると落ち着いたのか、茜先輩は俺に少しずつはなしだした。
「振られちゃった、、、」
「えっ?宮田先輩にですか?」俺は信じられなかった。茜先輩を振る人間がこの世にいる事が衝撃的だった。
「そう。他に好きな人ができたみたい。最近、上手くいってなかったんだ。一緒にいても小さな事で喧嘩になって」
俺は、誰かと付き合った経験がなかったから、恋人同士がどんな理由で喧嘩になって、それがどんな風に気持ちに変化をもたらすのかわからなかった。
「でも、茜先輩を振るなんて信じられないですよ」
「佳月君は、私の事買い被り過ぎだよ。私なんて、大した人間じゃない。結局すぐこうやって飽きられて捨てられる。つまんない人間なのよ」
そう言って涙を流す先輩を見ていたら、俺はだんだん腹がたってきた。
「何言ってるんですか。そんなつまんない人間だったら、俺が四年間も思ったりしないですよ」
言ってから、ハッとした。
俺は思わず告白してしまったんじゃないか、、、?先輩も涙を止めて俺を見ていた。
どさくさに紛れて、告白してしまって俺は正直やってしまったと思ったが、けれどある意味腹をくくる事が出来た。
「俺の気持ち、ずっと気づいてましたよね?
俺はずっと茜先輩の事が好きでした」
俺がそう告げた時、丁度花火が頭上で打ち上がった。
ドドーンッと、地響きをあげた花火は、俺の四年分の思いをのせて花開いた気がした。
茜先輩は驚いた顔をしていたが、おれの瞳を見つめて「ありがとう」と言った。そして、俺の手の上に手の平を重ねた。
ありえないくらいに、心臓がどきどきしていた。蒸し暑い風が吹き、夜の虫達が一斉に鳴くと、次々に花火が打ち上がる。俺は先輩の手を軽く引っ張り、抱き寄せていた。
幸せだった。やっと思いを伝えられた。中学の時から燻っていた気持ちを、きちんと言葉に変えて伝える事ができた。その後、俺と先輩は二人で歓声をあげて花火を眺めた。
記憶花火は何発も上がり、中学の時の、茜先輩の笑顔を呼び起こしていた気がした。
けれど、幸せだった俺の頭をかすめたのは、水上の悲しそうに去って行く姿だった。
水上は、今どんな思いでこの花火を一人で見上げているんだろうか。考えていたら、胸の奥がチクチクとしていた。
俺が声をかけると、先輩が泣き腫らした目でこっちを見た。
「佳月君、、、」
俺は、茜先輩の隣に座った。茜先輩はハンカチで涙を拭っていた。
「宮田先輩と何かあったんですか、、、?」
俺が聞いても、茜先輩は泣いていてしばらく答えられなかった。俺はそのまま、茜先輩の隣でただ、泣いている先輩を見つめていた。
もうすぐ花火が始まるからか、グラウンドの屋台の客は一旦、河原の方へ行ってしまい人がまばらにしかいなかった。
少しすると落ち着いたのか、茜先輩は俺に少しずつはなしだした。
「振られちゃった、、、」
「えっ?宮田先輩にですか?」俺は信じられなかった。茜先輩を振る人間がこの世にいる事が衝撃的だった。
「そう。他に好きな人ができたみたい。最近、上手くいってなかったんだ。一緒にいても小さな事で喧嘩になって」
俺は、誰かと付き合った経験がなかったから、恋人同士がどんな理由で喧嘩になって、それがどんな風に気持ちに変化をもたらすのかわからなかった。
「でも、茜先輩を振るなんて信じられないですよ」
「佳月君は、私の事買い被り過ぎだよ。私なんて、大した人間じゃない。結局すぐこうやって飽きられて捨てられる。つまんない人間なのよ」
そう言って涙を流す先輩を見ていたら、俺はだんだん腹がたってきた。
「何言ってるんですか。そんなつまんない人間だったら、俺が四年間も思ったりしないですよ」
言ってから、ハッとした。
俺は思わず告白してしまったんじゃないか、、、?先輩も涙を止めて俺を見ていた。
どさくさに紛れて、告白してしまって俺は正直やってしまったと思ったが、けれどある意味腹をくくる事が出来た。
「俺の気持ち、ずっと気づいてましたよね?
俺はずっと茜先輩の事が好きでした」
俺がそう告げた時、丁度花火が頭上で打ち上がった。
ドドーンッと、地響きをあげた花火は、俺の四年分の思いをのせて花開いた気がした。
茜先輩は驚いた顔をしていたが、おれの瞳を見つめて「ありがとう」と言った。そして、俺の手の上に手の平を重ねた。
ありえないくらいに、心臓がどきどきしていた。蒸し暑い風が吹き、夜の虫達が一斉に鳴くと、次々に花火が打ち上がる。俺は先輩の手を軽く引っ張り、抱き寄せていた。
幸せだった。やっと思いを伝えられた。中学の時から燻っていた気持ちを、きちんと言葉に変えて伝える事ができた。その後、俺と先輩は二人で歓声をあげて花火を眺めた。
記憶花火は何発も上がり、中学の時の、茜先輩の笑顔を呼び起こしていた気がした。
けれど、幸せだった俺の頭をかすめたのは、水上の悲しそうに去って行く姿だった。
水上は、今どんな思いでこの花火を一人で見上げているんだろうか。考えていたら、胸の奥がチクチクとしていた。



