蝉が本格的に鳴き出して、夏休みがスタートした。夏休みは大会に向けての部活があったし、文化祭に向けてのバンド練習もたまに行った。水上は暇な日は夕暮れ時には、喫茶店にきてピアノを弾いて、ご飯を食べて帰って行った。
すっかり俺の家族に馴染んでいて、俺がいなくても、祖父と母と水上で夕飯を食べたりしていた。
その日は、学校が開いている日だったので、バンドの練習を軽音部の部室でしていた。
「あつーい!こんなに暑くなって地球は大丈夫なのかな?なんか将来の地球が心配になってくるよ」
水上が、教室の窓の外を向いて楽譜で顔を扇いでいた。
「お前地球の心配するより、勉強の心配した方がいいって。期末は赤点は免れたけど、補習がやばい事になってるんだろ?」
水上は、期末のテストも赤点ギリギリで夏休み中も強制的に補習に参加させられていた。特に数学は壊滅的な危機だった。
「そうなんだよ。しかもだよ?補習の最終日のテストに合格しないと、合格するまでテスト受けなきゃなんないらしい。もう泣きそうだよ」
「何か意外だよなぁ。顔だけ見れば水上って、勉強出来そうな顔してるのに、全然勉強出来ないんだな」
飯田が凄く失礼だが、本当の事を言った。飯田は、終業式の日からバンドの練習があればちゃんと参加してくれるようになっていた。
水上が言っていた通り、飯田はリズム感がよく、ドラムの腕はピカイチだった。そして、顔が隠れるくらいの、長い天パの髪もカットして、まるで別人のようになっていた。
「わかる、灯は何か勉強出来そうで、出来ないし、しっかりしてそうで、全然してないんだよ。
でもそこが良いんだよ」
「流石、風ちゃん。ありがとう、褒められてる気しないけど」
「褒めてるって、そのアンバランス加減が人間として魅力なんだよ。だから、補習で一緒の先輩から告られてただろ?」
風太の発言に、俺は少しどきっとした。水上が先輩に告白されていたなんて知らなかった。風太の話しに飯田も興味を持ったらしく、水上に質問していた。
「へぇ、先輩かぁ。付き合ったの?いいなぁ、青春してて、俺にはそういう事は絶対に起きないんだろうなぁ!」
「あれは、告白なの?好きとか言われてないけど。風ちゃんが勝手に盛り上がって言ってるだけで絶対違うよ」
「でも、お盆の花火大会一緒に行こうって誘われてたでしょ?花火大会で告白するつもりだよ」
この町には、昔から行われている花火大会と灯籠流しのイベントがあった。大体恋人がいるカップルは、この花火大会に一緒にいくし、好きな人がいれば、誘うのが恒例となっていて、花火大会前にはカップルが沢山出来るのが常だった。俺は、行く相手もいなかったし、涼太や地元の友達と毎年行っていて、今年もそうなる予定だった。
「でも、灯、秒で断ってたね。花火大会は一人で行くからって」
「えー勿体無い。一人?なんでわざわざ一人で行くんだよ」
飯田に聞かれて、水上は何故か誤魔化すように言った。
「あの花火大会は、昔からこの町に伝わる大切な伝統行事だよ?そんなちゃらちゃらした気持ちで行くもんじゃないんだよ。わかるかな?」
全く意味がわからなかった。
けれど俺は、水上がその先輩と花火大会に行かないと知って、少しホッとしていた。
どうしてそんな感情になるかは、わからなかったが、俺の中で水上に対して何か小さな、今までと違う感情が芽生えていたのは確かだった。
すっかり俺の家族に馴染んでいて、俺がいなくても、祖父と母と水上で夕飯を食べたりしていた。
その日は、学校が開いている日だったので、バンドの練習を軽音部の部室でしていた。
「あつーい!こんなに暑くなって地球は大丈夫なのかな?なんか将来の地球が心配になってくるよ」
水上が、教室の窓の外を向いて楽譜で顔を扇いでいた。
「お前地球の心配するより、勉強の心配した方がいいって。期末は赤点は免れたけど、補習がやばい事になってるんだろ?」
水上は、期末のテストも赤点ギリギリで夏休み中も強制的に補習に参加させられていた。特に数学は壊滅的な危機だった。
「そうなんだよ。しかもだよ?補習の最終日のテストに合格しないと、合格するまでテスト受けなきゃなんないらしい。もう泣きそうだよ」
「何か意外だよなぁ。顔だけ見れば水上って、勉強出来そうな顔してるのに、全然勉強出来ないんだな」
飯田が凄く失礼だが、本当の事を言った。飯田は、終業式の日からバンドの練習があればちゃんと参加してくれるようになっていた。
水上が言っていた通り、飯田はリズム感がよく、ドラムの腕はピカイチだった。そして、顔が隠れるくらいの、長い天パの髪もカットして、まるで別人のようになっていた。
「わかる、灯は何か勉強出来そうで、出来ないし、しっかりしてそうで、全然してないんだよ。
でもそこが良いんだよ」
「流石、風ちゃん。ありがとう、褒められてる気しないけど」
「褒めてるって、そのアンバランス加減が人間として魅力なんだよ。だから、補習で一緒の先輩から告られてただろ?」
風太の発言に、俺は少しどきっとした。水上が先輩に告白されていたなんて知らなかった。風太の話しに飯田も興味を持ったらしく、水上に質問していた。
「へぇ、先輩かぁ。付き合ったの?いいなぁ、青春してて、俺にはそういう事は絶対に起きないんだろうなぁ!」
「あれは、告白なの?好きとか言われてないけど。風ちゃんが勝手に盛り上がって言ってるだけで絶対違うよ」
「でも、お盆の花火大会一緒に行こうって誘われてたでしょ?花火大会で告白するつもりだよ」
この町には、昔から行われている花火大会と灯籠流しのイベントがあった。大体恋人がいるカップルは、この花火大会に一緒にいくし、好きな人がいれば、誘うのが恒例となっていて、花火大会前にはカップルが沢山出来るのが常だった。俺は、行く相手もいなかったし、涼太や地元の友達と毎年行っていて、今年もそうなる予定だった。
「でも、灯、秒で断ってたね。花火大会は一人で行くからって」
「えー勿体無い。一人?なんでわざわざ一人で行くんだよ」
飯田に聞かれて、水上は何故か誤魔化すように言った。
「あの花火大会は、昔からこの町に伝わる大切な伝統行事だよ?そんなちゃらちゃらした気持ちで行くもんじゃないんだよ。わかるかな?」
全く意味がわからなかった。
けれど俺は、水上がその先輩と花火大会に行かないと知って、少しホッとしていた。
どうしてそんな感情になるかは、わからなかったが、俺の中で水上に対して何か小さな、今までと違う感情が芽生えていたのは確かだった。



