俺は、水上を駅まで送っていった。水上の家は、喫茶店から一駅行った市内の中心部だった。
時刻は、二十時半を過ぎていてすっかり暗くなっていた。
「だから、あれは生クリームが入ってるからいいんだって。絶対生クリームがなければただの蒸しパンで魅力はないって」
「わかってないなぁ。あれは蒸しパン自体がめちゃくちゃ美味いから、蒸しパンだけでもクオリティー高すぎるの!一回生クリームなし食ってみろよ、飛ぶから」
「わざわざ生クリームなし買わなくても、生クリームついてない場所も食べてるから。成瀬君こそ生クリーム入り食べてみなって、打ち上がるから」
俺達は駅までの道を、購買のパンについて語りながら帰っていた。駅が近くなると流石のこの田舎も店が並んで、人通りも多くひらけている。俺達がくだらない話しをして笑っていると、急に水上が足を止めた。
俺が不思議に思って、水上の顔を見ると水上は、前にあるコンビニエンスストアの入り口の方を見つめていた。
俺も同じように、水上と同じ場所に目をやると、そこには茜先輩がいた、、、。
俺の心臓が一度大きく音をたてた。茜先輩は、一人じゃなかった。同じ水泳部の二年の男の先輩と手をつないで出てきた。
急な衝撃的な場面に出くわして、俺は動けなくなっていた。何も言えずにただ喉が渇いていってカラカラだった。
茜先輩と、男の先輩は仲が良さそうに寄り添いながら駅の方へ歩いて消えてしまった。
二人がいなくなった後も、俺はその残像だけがくっきりと頭にこびりついて、その場に立ち尽くしていた。
暫くそのまま立ち尽くしていると、俺は隣りにいる水上の存在を思い出した。
「ごめん、、、俺、ぼーっとしてた」
多分、俺は傷ついたんだろう。何故か自分自身の事なのに、まるで人事みたいに思っていた。
気持ちに整理がつかず戸惑っていたが、胸の痛みと苦しさが込み上げてきた。
水上は何も言わずに、そんな俺を見つめていたが急に空からポツポツと、雨粒が落ちてきた。今日は雨予報ではなく、一日快晴のはずだった。それなのに、雨粒は次第に大きくなり本降りなって、あっという間に道路を黒く染めた。
「成瀬君!降らしたの?」
水上が頭に手をやって雨を避けるようにしながら言ってきた。
「そんなわけないだろーが」
「でも、今日雨降る予定じゃなかったよ?成瀬君、悲しくて降らしちゃったんでしょ?」
「馬鹿みたいな事言ってないで、走るぞ!」
俺がそう言うと、水上は急に両手を広げて笑った。
「いいよ!私が濡れてあげよう!私が成瀬君の涙に濡れてあげるよ!もっともっと、降らしていいよ!冷たくて気持ちいいー!!」
水上は両手を上げて一人でジャンプをしていた。雨粒が跳ね上がり綺麗な飛沫をあげた。
「何してんだよ、、、」
俺はそう言いながら、雨を拭うように、涙も一緒に拭った。そんな俺を見て水上はびしょびしょになりながら、にこにこ笑っていた。
"本当に変な奴だ、、、"
ヒリヒリするような、擦り傷に薬が塗られるように、俺は優しい雨を感じていた。
結局、次の日から三日間、水上は風邪をひいて学校を休んだ。
俺はお詫びに、クリーム入りの蒸しパンを水上にプレゼントした。
時刻は、二十時半を過ぎていてすっかり暗くなっていた。
「だから、あれは生クリームが入ってるからいいんだって。絶対生クリームがなければただの蒸しパンで魅力はないって」
「わかってないなぁ。あれは蒸しパン自体がめちゃくちゃ美味いから、蒸しパンだけでもクオリティー高すぎるの!一回生クリームなし食ってみろよ、飛ぶから」
「わざわざ生クリームなし買わなくても、生クリームついてない場所も食べてるから。成瀬君こそ生クリーム入り食べてみなって、打ち上がるから」
俺達は駅までの道を、購買のパンについて語りながら帰っていた。駅が近くなると流石のこの田舎も店が並んで、人通りも多くひらけている。俺達がくだらない話しをして笑っていると、急に水上が足を止めた。
俺が不思議に思って、水上の顔を見ると水上は、前にあるコンビニエンスストアの入り口の方を見つめていた。
俺も同じように、水上と同じ場所に目をやると、そこには茜先輩がいた、、、。
俺の心臓が一度大きく音をたてた。茜先輩は、一人じゃなかった。同じ水泳部の二年の男の先輩と手をつないで出てきた。
急な衝撃的な場面に出くわして、俺は動けなくなっていた。何も言えずにただ喉が渇いていってカラカラだった。
茜先輩と、男の先輩は仲が良さそうに寄り添いながら駅の方へ歩いて消えてしまった。
二人がいなくなった後も、俺はその残像だけがくっきりと頭にこびりついて、その場に立ち尽くしていた。
暫くそのまま立ち尽くしていると、俺は隣りにいる水上の存在を思い出した。
「ごめん、、、俺、ぼーっとしてた」
多分、俺は傷ついたんだろう。何故か自分自身の事なのに、まるで人事みたいに思っていた。
気持ちに整理がつかず戸惑っていたが、胸の痛みと苦しさが込み上げてきた。
水上は何も言わずに、そんな俺を見つめていたが急に空からポツポツと、雨粒が落ちてきた。今日は雨予報ではなく、一日快晴のはずだった。それなのに、雨粒は次第に大きくなり本降りなって、あっという間に道路を黒く染めた。
「成瀬君!降らしたの?」
水上が頭に手をやって雨を避けるようにしながら言ってきた。
「そんなわけないだろーが」
「でも、今日雨降る予定じゃなかったよ?成瀬君、悲しくて降らしちゃったんでしょ?」
「馬鹿みたいな事言ってないで、走るぞ!」
俺がそう言うと、水上は急に両手を広げて笑った。
「いいよ!私が濡れてあげよう!私が成瀬君の涙に濡れてあげるよ!もっともっと、降らしていいよ!冷たくて気持ちいいー!!」
水上は両手を上げて一人でジャンプをしていた。雨粒が跳ね上がり綺麗な飛沫をあげた。
「何してんだよ、、、」
俺はそう言いながら、雨を拭うように、涙も一緒に拭った。そんな俺を見て水上はびしょびしょになりながら、にこにこ笑っていた。
"本当に変な奴だ、、、"
ヒリヒリするような、擦り傷に薬が塗られるように、俺は優しい雨を感じていた。
結局、次の日から三日間、水上は風邪をひいて学校を休んだ。
俺はお詫びに、クリーム入りの蒸しパンを水上にプレゼントした。



