料理と飲み物が皆んなに行き渡ると、涼太が立ち上がって挨拶をした。一応涼太が今日の幹事だった。

 「それでは、開陵高校水泳部の一年生、親睦会を始めたいと思います!まだ知り合って間もないですが、これから三年間共に切磋琢磨しあって頑張っていきましょう!乾杯!」

涼太の号令で、皆んな一斉にご飯を食べ出した。ハンバーグや、ナポリタン、ピザに、グラタンが並んでいた。
 涼太はちゃっかり水上の隣りの席をキープして、水上に色々説明していた。

 「灯ちゃん!これ食べてみなよ、ナポリタン俺の一番のおすすめ!めちゃくちゃ美味いから」

 「本当だぁ!美味しい!成瀬君のおじいちゃん凄いね!天才だ」

「だよな!俺これを食べに毎日ここに通ったからなぁ」

「マジでうざかったわぁ」

 涼太の言う通り、中学の時の部活帰りは、殆ど毎日と言っていいほど涼太がうちにご飯を食べに来ていた。よく食べる涼太を気に入った祖父が、大盛りのナポリタンを毎回作っていた。

 「うざいとか言うなよ、俺はお前の為に茜先輩も誘って、ここに連れてきてやった事もあっただろ?感謝しろよ」

「茜先輩、、、?」

水上が不思議そうな顔をしていたので、涼太がわざわざ水上に説明をする。

 「水泳部の二年にいるでしょ?美人でエースの高橋 茜先輩。中学の時から佳月の憧れの人なんだよ」

「お前、わざわざ言いふらすんじゃねーよ!」

水上は少し考えて、茜先輩という人を思い出しているようだった、暫くするとピンときたらしい。
 
 「あー、、、へぇ。成瀬君あの先輩が好きなんだ」

「そうそう。こいつ一途なの、ずっと茜先輩一筋!他の女子に告白されても、茜先輩だけ!!」

「へぇ〜、、、」

水上が意味ありげな目で俺を見てくるので思わず「何だよ?悪いかよ」と言った。

「いや?でも成瀬君変態だなって思って」

 急にそんな事を言われて、俺は腹がたった。涼太は隣りでナポリタンを吹き出していた。

 「灯ちゃん!良いね!そうだよなぁ、佳月って変態だよな」

「はぁぁぁ?何処が変態なんだよ!」

「だって、茜先輩だよ?あの先輩美人で、スタイルも良くて優しくて、あんな人がタイプなんて、絶対に変態だよ!」

「意味わかんねー事言うんじゃねーよ!別に良いだろうが!じゃぁお前はどんな奴がタイプなんだよ!」

隣りで涼太が急に目を輝かせて水上の方を見つめた。いきなり自分に話しを振られて、水上は少し動揺して考えこんでいた。

 「そうだね、、、しいて言うなら、宮沢賢治みたいな人かな」