俺と鈴原は何度か同じクラスになった。
バスケ部で面倒見のいい明るい奴だ。悪い噂もない。
告白されたと聞いた時、ついに来た、と思った。でも想像してた以上の衝撃で。覚悟していたはずなのに、心がバラバラに砕けた。視界がぼやけた。ああ。なんで。
いつか梨穂子が誰かと付き合っても、それが俺じゃないだろうことはわかってた。頭の中では。だって俺はただの幼馴染ってだけだから。だから酷い奴じゃなければ祝福しようと思っていた。でも、やっぱり、痛い。凄く痛い。心臓に包丁がささったように胸が痛い。
でも。鈴原か。鈴原はいい奴だ。いい奴だよ、確かに。
だから、用意していた言葉をなんとか返した。ぎこちなかったかもしれない。梨穂子を否定したくはなかった。したってどうしようもない。俺に話したって事は多分付き合いたいって事、なんだろう。だから俺はいつもどおり、相槌を返した。それでよかった。それでよかったはずなんだ。でもその後、何を話したのかさっぱり覚えていない。
多分いつも通り、分かれ道で別れた。いつも通り。きっと。
それから梨穂子に会うことはなくなった。鈴原と付き合うことにしたんだろう。舌がざらざらする。体に砂が詰まっているみたいだ。心臓あたりが妙に冷たい。寝てる間に包丁が刺さった心臓を誰かが機械に置き換えたみたいに正確に時間を刻む。
機械みたいに毎日は過ぎた。毎日は変わらなかった。いつもと同じ道をゆっくり帰る。違いは梨穂子に会わないことだけ。
そういえばこの本屋で雑誌を手に取ろうとした時、梨穂子に話しかけられたっけ。梨穂子の姿が頭にちらつく。少し先のカフェで一緒にケーキを食べた。全部、覚えている。全部。色んな梨穂子を思い出す。いつものように。俺の1日は変わらない。梨穂子と通った道を通って家に帰る。梨穂子を思い出しながら。そうして俺はなんだか自分が、馬鹿みたいだと思っていた。そしてなんだかフラットだけど、日常が時間通りに回っていることに眩暈がしていた。世界は何も変わらない。
だから多分、あれでよかった。俺と梨穂子は『幼馴染』だ。いつか、そのうち、また話をする可能性もあるだろう。嫌われてなんかいないはずだ。それがあれば。そのうち鈴原と別れたら、また同じ関係に戻れるかもしれない。別れたら? 不謹慎だ。そう思うくらいなら何故止めなかった。別れなかったら。結局別れなかったら俺はずっと梨穂子に会えない。痛い。考えたくない。
結局遅かれ早かれの話で、いずれ梨穂子は誰かと付き合うんだろうな。俺は梨穂子に似合わない。たまに隣を歩ければそれで十分で、それでよかったのに。そしてそれは永遠に失ってしまったのかもしれない。心が重い。心臓が冷たい機械になって感情を送り出すのを止めたとしても、それが酷く重たいことには変わりない。
鈴原はいい奴だ。俺の知らない奴よりよほどいい。鈴原なら祝福できる。祝福、か。祝福とは何だ。それは俺の手を離れて、梨穂子に届いたのか。最早わからない。祝福が去った心の中にはもう呪いしか残っていないかもしれない。だからきっと、こんなに心がぐちゃぐちゃなんだ。
教室から窓を眺めると、冷たい雨が降っていた。
私は鈴原君と付き合うことになった。
鈴原君は強引なところもあるけどいい人だ。強引といっても良かれと思ってやることで、基本紳士的だから問題はない。問題は、ない。そう、問題は何も。
智司と違ってこうしたら、とか意見も言う。私は結構気が強い方で、喧嘩になることも多くて。でもわりとすぐ仲直りはできた。私は鈴原君のことをちょっといいなと思い始めていた。悪くはない。人気者だ。
智司ならそもそも喧嘩にならない。そもそも意見を言わない。でもいつも私の話をだまって聞いてくれる。そんな安心感があって。たぶん今も恋愛相談したら聞いてくれる。でもつまり、それだけの関係。『幼馴染』。2人は幼馴染という糸で繋がって、私の手元から真ん中までが赤い。真ん中から智司までは白い。だから結局それはただのまだらな糸で、何も運命なんて紡がない。そんなバカみたいな関係。だからきっと、私はその糸をぷちんと切った。無意識に。
智司が好きだった。そのことに全てが終わった後に気がついた。そもそも始まってもいなかったのにね。あのままの関係をずっと続けていけば付き合ったりしてたのかな。ううん、多分それはない。きっとずっと、あのままだ。心が痛い。焼けて燃えるように痛い。あの私の心から繋がった細長い糸は切ったつもりでもまだどこかに引っかかっていて、遠ざかるほどに心がほどけてばらばらになる。これはその痛み。そんな気分。
でもそれももうすぐ終わる。私の中で智司の存在がだんだん薄くなっている。毛糸の玉が全部ほどけてしまって最初からなにもなかったみたいに。全部燃やしきって燃えカスになってしまったのかな。でも鈴原君と話をしているとき、いつも智司の顔がチラついた。少し困ったみたいな小さい笑顔。
そういえばいつもそんな表情をしていた気がする。少しだけ困った、優しい顔。
繁華街で梨穂子と鈴原を見かけた。仲がよさそうだった。幸せそうでよかった。でも視界がまた少し滲んだ。
30メートルくらい先の交差点の対角線上にいた。信号が変わった。梨穂子たちは俺に気づかず横断歩道を渡り、そのまま俺の向かいを通り過ぎていった。それをずっと突っ立って眺めていた。
鈴原はいい奴だ。うん。俺は最終的に梨穂子が幸せなのがいいと思っている。心から。
俺は相変わらず梨穂子が好きで、だから梨穂子が他の奴と付き合うのは悲しい。でも結局、梨穂子が俺と付き合うことはない。なら、梨穂子はいい人と付き合って、俺は『幼馴染』のままがいい。まだ、そんな希望にすがっている。
そのうちまた、ずっと先の未来かも知れないけど、また話ができるかも知れない。同窓会とかそんなのでもいい。随分梨穂子と話してないけど、もともとそんな頻繁に話す仲でもなかった。
賑やかな音楽が聞こえてふと目を上げた。世界がハートに満ちていた。
もうすぐバレンタイン。
梨穂子は毎年俺にチョコをくれて、俺は毎年ホワイトデーに小さなビスケットを返した。小学校の頃からなんとなく続いている習慣だ。
今年はない。梨穂子は鈴原にチョコを送る。でも梨穂子はなんだかんだいい奴だから、ひょっとしたら去年と同じように用意してくれるかもしれない。それなら、断らなくては。でもそもそも、会うこともないんだ。この無様な未練はきっと、早く終わらせた方がいいんだろう。けれど心の底にたまった秘密の箱は、ぐちゃりとつぶれても外に放り出すことなんてできなかった。
結局のところ俺はチョコレートに期待してる。梨穂子がくれるのはいつもバーシーズの板チョコで、この雑貨店で売っているやつだ。手に取る。486円。今年は自分で買ってみようか。チョコは好きなんだ、もともと。梨穂子は関係なくても。それもなんだか悪くない。そうやって梨穂子を思い出す。
もうすぐバレンタイン。
鈴原君には初めての手作りチョコに挑戦する、予定。なんとなく、彼氏ができたらみんなそんな流れだから。でも、馬鹿馬鹿しい。
これまで智司以外にチョコを送ったことはない。小2くらいの時にバレンタインを知って、タロルチョコを1個智司にあげた。『ありがとう』と喜んでくれた。ホワイトデーにはピスコをもらった。
その交換が面白くて、それから惰性で毎年贈った。最近は毎年バーシーズのチョコ。500円くらいの奴。世間一般では義理チョコど真ん中の価格帯、むしろ義理でも安いかも。
でも智司は毎年『ありがとう』と受け取って、ホワイトデーには同じくらいの値段のビスケットをくれた。
それはやっぱり、ただの等価交換だ。
私が送って、きっちり同じものを返す。お互いの手元はプラマイゼロで、智司には何も残らない。そういう関係。
今年はどうしたらいいんだろ。私と鈴原君が付き合っていることを智司は知っている。前に鈴原君とデートしてる時に目が合った。距離があったし鈴原君がいたからわざわざ挨拶したりはしなかったけど。
距離。そう、距離感。智司と私の距離感。これは昔からなのかな、違う、物理的には私が開けた距離感。でも心理的には、もともとどのくらい開いていたんだろう。わからない。
智司が隣にいるのが普通だと思ってた。智司はやっぱり私にとって特別で。……でも恋愛じゃない。智司にとって私は従妹とかそういう関係だったのかな。それなら、これまでのことに納得できる気がする。
智司にチョコをあげたい。初めてそう思った。それはきっと恋愛とかじゃなくて、意地なのかもしれない。一方的に何かを押し付けたい。そうでなければ私は智司に何も残すことはないんだ。負債ばかり押し付ける私に、智司に何も残さなかった。
初めて智司との関係性を考えた。好きだから。でもそれは智司が好きとかいう以前に、このままだと智司との関係が全部なくなってしまうような、そんな気がして怖かったから。
私が帰り道を変えて距離を空けた。でも智司から近づいてくることはなかった。だからずっとこのまま。
それがわかってしまった。
私は何がしたいんだろう。わからない。でも私にとって智司は大切な人だった。始まる前に終わっていた恋でも。だから最後に少しだけ距離を戻してみて、拒絶されたら仕方がない、そう思った。もうすぐ心が燃え尽きる。むしろ跡形もなく燃やしてしまおう。
バスケ部で面倒見のいい明るい奴だ。悪い噂もない。
告白されたと聞いた時、ついに来た、と思った。でも想像してた以上の衝撃で。覚悟していたはずなのに、心がバラバラに砕けた。視界がぼやけた。ああ。なんで。
いつか梨穂子が誰かと付き合っても、それが俺じゃないだろうことはわかってた。頭の中では。だって俺はただの幼馴染ってだけだから。だから酷い奴じゃなければ祝福しようと思っていた。でも、やっぱり、痛い。凄く痛い。心臓に包丁がささったように胸が痛い。
でも。鈴原か。鈴原はいい奴だ。いい奴だよ、確かに。
だから、用意していた言葉をなんとか返した。ぎこちなかったかもしれない。梨穂子を否定したくはなかった。したってどうしようもない。俺に話したって事は多分付き合いたいって事、なんだろう。だから俺はいつもどおり、相槌を返した。それでよかった。それでよかったはずなんだ。でもその後、何を話したのかさっぱり覚えていない。
多分いつも通り、分かれ道で別れた。いつも通り。きっと。
それから梨穂子に会うことはなくなった。鈴原と付き合うことにしたんだろう。舌がざらざらする。体に砂が詰まっているみたいだ。心臓あたりが妙に冷たい。寝てる間に包丁が刺さった心臓を誰かが機械に置き換えたみたいに正確に時間を刻む。
機械みたいに毎日は過ぎた。毎日は変わらなかった。いつもと同じ道をゆっくり帰る。違いは梨穂子に会わないことだけ。
そういえばこの本屋で雑誌を手に取ろうとした時、梨穂子に話しかけられたっけ。梨穂子の姿が頭にちらつく。少し先のカフェで一緒にケーキを食べた。全部、覚えている。全部。色んな梨穂子を思い出す。いつものように。俺の1日は変わらない。梨穂子と通った道を通って家に帰る。梨穂子を思い出しながら。そうして俺はなんだか自分が、馬鹿みたいだと思っていた。そしてなんだかフラットだけど、日常が時間通りに回っていることに眩暈がしていた。世界は何も変わらない。
だから多分、あれでよかった。俺と梨穂子は『幼馴染』だ。いつか、そのうち、また話をする可能性もあるだろう。嫌われてなんかいないはずだ。それがあれば。そのうち鈴原と別れたら、また同じ関係に戻れるかもしれない。別れたら? 不謹慎だ。そう思うくらいなら何故止めなかった。別れなかったら。結局別れなかったら俺はずっと梨穂子に会えない。痛い。考えたくない。
結局遅かれ早かれの話で、いずれ梨穂子は誰かと付き合うんだろうな。俺は梨穂子に似合わない。たまに隣を歩ければそれで十分で、それでよかったのに。そしてそれは永遠に失ってしまったのかもしれない。心が重い。心臓が冷たい機械になって感情を送り出すのを止めたとしても、それが酷く重たいことには変わりない。
鈴原はいい奴だ。俺の知らない奴よりよほどいい。鈴原なら祝福できる。祝福、か。祝福とは何だ。それは俺の手を離れて、梨穂子に届いたのか。最早わからない。祝福が去った心の中にはもう呪いしか残っていないかもしれない。だからきっと、こんなに心がぐちゃぐちゃなんだ。
教室から窓を眺めると、冷たい雨が降っていた。
私は鈴原君と付き合うことになった。
鈴原君は強引なところもあるけどいい人だ。強引といっても良かれと思ってやることで、基本紳士的だから問題はない。問題は、ない。そう、問題は何も。
智司と違ってこうしたら、とか意見も言う。私は結構気が強い方で、喧嘩になることも多くて。でもわりとすぐ仲直りはできた。私は鈴原君のことをちょっといいなと思い始めていた。悪くはない。人気者だ。
智司ならそもそも喧嘩にならない。そもそも意見を言わない。でもいつも私の話をだまって聞いてくれる。そんな安心感があって。たぶん今も恋愛相談したら聞いてくれる。でもつまり、それだけの関係。『幼馴染』。2人は幼馴染という糸で繋がって、私の手元から真ん中までが赤い。真ん中から智司までは白い。だから結局それはただのまだらな糸で、何も運命なんて紡がない。そんなバカみたいな関係。だからきっと、私はその糸をぷちんと切った。無意識に。
智司が好きだった。そのことに全てが終わった後に気がついた。そもそも始まってもいなかったのにね。あのままの関係をずっと続けていけば付き合ったりしてたのかな。ううん、多分それはない。きっとずっと、あのままだ。心が痛い。焼けて燃えるように痛い。あの私の心から繋がった細長い糸は切ったつもりでもまだどこかに引っかかっていて、遠ざかるほどに心がほどけてばらばらになる。これはその痛み。そんな気分。
でもそれももうすぐ終わる。私の中で智司の存在がだんだん薄くなっている。毛糸の玉が全部ほどけてしまって最初からなにもなかったみたいに。全部燃やしきって燃えカスになってしまったのかな。でも鈴原君と話をしているとき、いつも智司の顔がチラついた。少し困ったみたいな小さい笑顔。
そういえばいつもそんな表情をしていた気がする。少しだけ困った、優しい顔。
繁華街で梨穂子と鈴原を見かけた。仲がよさそうだった。幸せそうでよかった。でも視界がまた少し滲んだ。
30メートルくらい先の交差点の対角線上にいた。信号が変わった。梨穂子たちは俺に気づかず横断歩道を渡り、そのまま俺の向かいを通り過ぎていった。それをずっと突っ立って眺めていた。
鈴原はいい奴だ。うん。俺は最終的に梨穂子が幸せなのがいいと思っている。心から。
俺は相変わらず梨穂子が好きで、だから梨穂子が他の奴と付き合うのは悲しい。でも結局、梨穂子が俺と付き合うことはない。なら、梨穂子はいい人と付き合って、俺は『幼馴染』のままがいい。まだ、そんな希望にすがっている。
そのうちまた、ずっと先の未来かも知れないけど、また話ができるかも知れない。同窓会とかそんなのでもいい。随分梨穂子と話してないけど、もともとそんな頻繁に話す仲でもなかった。
賑やかな音楽が聞こえてふと目を上げた。世界がハートに満ちていた。
もうすぐバレンタイン。
梨穂子は毎年俺にチョコをくれて、俺は毎年ホワイトデーに小さなビスケットを返した。小学校の頃からなんとなく続いている習慣だ。
今年はない。梨穂子は鈴原にチョコを送る。でも梨穂子はなんだかんだいい奴だから、ひょっとしたら去年と同じように用意してくれるかもしれない。それなら、断らなくては。でもそもそも、会うこともないんだ。この無様な未練はきっと、早く終わらせた方がいいんだろう。けれど心の底にたまった秘密の箱は、ぐちゃりとつぶれても外に放り出すことなんてできなかった。
結局のところ俺はチョコレートに期待してる。梨穂子がくれるのはいつもバーシーズの板チョコで、この雑貨店で売っているやつだ。手に取る。486円。今年は自分で買ってみようか。チョコは好きなんだ、もともと。梨穂子は関係なくても。それもなんだか悪くない。そうやって梨穂子を思い出す。
もうすぐバレンタイン。
鈴原君には初めての手作りチョコに挑戦する、予定。なんとなく、彼氏ができたらみんなそんな流れだから。でも、馬鹿馬鹿しい。
これまで智司以外にチョコを送ったことはない。小2くらいの時にバレンタインを知って、タロルチョコを1個智司にあげた。『ありがとう』と喜んでくれた。ホワイトデーにはピスコをもらった。
その交換が面白くて、それから惰性で毎年贈った。最近は毎年バーシーズのチョコ。500円くらいの奴。世間一般では義理チョコど真ん中の価格帯、むしろ義理でも安いかも。
でも智司は毎年『ありがとう』と受け取って、ホワイトデーには同じくらいの値段のビスケットをくれた。
それはやっぱり、ただの等価交換だ。
私が送って、きっちり同じものを返す。お互いの手元はプラマイゼロで、智司には何も残らない。そういう関係。
今年はどうしたらいいんだろ。私と鈴原君が付き合っていることを智司は知っている。前に鈴原君とデートしてる時に目が合った。距離があったし鈴原君がいたからわざわざ挨拶したりはしなかったけど。
距離。そう、距離感。智司と私の距離感。これは昔からなのかな、違う、物理的には私が開けた距離感。でも心理的には、もともとどのくらい開いていたんだろう。わからない。
智司が隣にいるのが普通だと思ってた。智司はやっぱり私にとって特別で。……でも恋愛じゃない。智司にとって私は従妹とかそういう関係だったのかな。それなら、これまでのことに納得できる気がする。
智司にチョコをあげたい。初めてそう思った。それはきっと恋愛とかじゃなくて、意地なのかもしれない。一方的に何かを押し付けたい。そうでなければ私は智司に何も残すことはないんだ。負債ばかり押し付ける私に、智司に何も残さなかった。
初めて智司との関係性を考えた。好きだから。でもそれは智司が好きとかいう以前に、このままだと智司との関係が全部なくなってしまうような、そんな気がして怖かったから。
私が帰り道を変えて距離を空けた。でも智司から近づいてくることはなかった。だからずっとこのまま。
それがわかってしまった。
私は何がしたいんだろう。わからない。でも私にとって智司は大切な人だった。始まる前に終わっていた恋でも。だから最後に少しだけ距離を戻してみて、拒絶されたら仕方がない、そう思った。もうすぐ心が燃え尽きる。むしろ跡形もなく燃やしてしまおう。



