「シンジ!シンジ!」
俺が自分の部屋で寝転んで本を読んでいると、玲が走って部屋に入ってくる。
「玲、走るなよ、発作がでるだろ。どうしたんだよ」
玲は俺の話しなんか聞いていないようで、俺がいるベッドの横に潜り混んでくる。
「玲、人の話聞いてんのかよ」
「なんか最近シンジとクマの言ってる事が同じだよ。なんかうんざりなんだけど」
「うんざりじゃねーよ。玲が全然言う事きかないからだろうが。うるさいのは、俺と熊さんの愛情だよ」
「私は二人に愛されてるって事だね。ありがとう。……そうじゃなくてさ、折末さんから今メールがきてさ!」
玲が俺に携帯を見せる。
「世界現代美術展とかいうやつに、入賞したの!!私の絵が!!」
確かに、折末さんからのメールには『小岩井 玲"静かな月"入賞』と書いてあった。
俺は思わず手にした本を投げ捨てて、何度も携帯を眺める。
「玲!!凄いな玲!!選ばれたんだぞ!玲の絵が!!」
「シンジ!この絵、折末さんが島を出る時に日本へ持って行った絵だよ!信じられないよ!」
玲の絵は絶対に認められると思っていたけれど、折末さんが来てこんなに早く結果が出るとは思わなかった。
信じられないような、当然のような不思議な気持ちだった。
俺は思わず玲をかかえて抱きしめた。
「おめでとう!玲!お前本当に凄いな!凄いよ!」
「ありがとう!私、自分の描いた絵で賞をとる事がこんなに嬉しいと思わなかった!
私の絵が皆んなに見てもらえて、絵がまるで命を貰ったみたい」
「ちょっと言ってる意味わかんないけど、何となく玲の言いたいことはわかるぜ!とにかく凄いな!」
俺は自分の事のように本当に嬉しかった。
俺は、玲の絵のファンだし、心から素晴らしいと思っている。
だからこそ、この島の人間だけじゃなくて沢山の人に玲の絵を見て欲しかった。
彼女が小さな頃から、病気と戦いながら、自分の人生の全てをかけて書いてきた絵だからこそ、しっかりと大勢の人の心に残って欲しかった。
玲が俺の身体にしがみついて、顔だけ上げて俺を見る。
玲の大きな目がいつもより、キラキラ輝いて見えた。
いつのまに、俺は玲の事をこんなに好きになってしまったのか。
この感情をなんて言い表せばいいかよくわからなかった。
ただ玲の顔を見ると、胸の奥深くがぎゅっと掴まれたみたいで、苦しくてせつなくなる。
そして、玲と離れる日を想像すると、可笑しく成る程絶望しか感じなかった。
自分でも、どうしたらいいかわからなくなっていた。
けれど、現実を考えるとずっとここにはいられない。
俺はただの犯罪者で、逃げ隠れしている身だ。
やっと手に入れたこの幸せは、シャボン玉のように輝いても、すぐに消えてしまうと決まっていた。
全ては自業自得、罪は消える事はない。
俺は現実から目をそらし、何も考えないようにした。
ただ今は何度も玲と唇を重ねて暖かい玲の温もりを感じていたかった。
永遠に玲の鼓動を感じながら、俺は玲の胸の傷ごと全てを抱いていたいと思っていた。
俺が自分の部屋で寝転んで本を読んでいると、玲が走って部屋に入ってくる。
「玲、走るなよ、発作がでるだろ。どうしたんだよ」
玲は俺の話しなんか聞いていないようで、俺がいるベッドの横に潜り混んでくる。
「玲、人の話聞いてんのかよ」
「なんか最近シンジとクマの言ってる事が同じだよ。なんかうんざりなんだけど」
「うんざりじゃねーよ。玲が全然言う事きかないからだろうが。うるさいのは、俺と熊さんの愛情だよ」
「私は二人に愛されてるって事だね。ありがとう。……そうじゃなくてさ、折末さんから今メールがきてさ!」
玲が俺に携帯を見せる。
「世界現代美術展とかいうやつに、入賞したの!!私の絵が!!」
確かに、折末さんからのメールには『小岩井 玲"静かな月"入賞』と書いてあった。
俺は思わず手にした本を投げ捨てて、何度も携帯を眺める。
「玲!!凄いな玲!!選ばれたんだぞ!玲の絵が!!」
「シンジ!この絵、折末さんが島を出る時に日本へ持って行った絵だよ!信じられないよ!」
玲の絵は絶対に認められると思っていたけれど、折末さんが来てこんなに早く結果が出るとは思わなかった。
信じられないような、当然のような不思議な気持ちだった。
俺は思わず玲をかかえて抱きしめた。
「おめでとう!玲!お前本当に凄いな!凄いよ!」
「ありがとう!私、自分の描いた絵で賞をとる事がこんなに嬉しいと思わなかった!
私の絵が皆んなに見てもらえて、絵がまるで命を貰ったみたい」
「ちょっと言ってる意味わかんないけど、何となく玲の言いたいことはわかるぜ!とにかく凄いな!」
俺は自分の事のように本当に嬉しかった。
俺は、玲の絵のファンだし、心から素晴らしいと思っている。
だからこそ、この島の人間だけじゃなくて沢山の人に玲の絵を見て欲しかった。
彼女が小さな頃から、病気と戦いながら、自分の人生の全てをかけて書いてきた絵だからこそ、しっかりと大勢の人の心に残って欲しかった。
玲が俺の身体にしがみついて、顔だけ上げて俺を見る。
玲の大きな目がいつもより、キラキラ輝いて見えた。
いつのまに、俺は玲の事をこんなに好きになってしまったのか。
この感情をなんて言い表せばいいかよくわからなかった。
ただ玲の顔を見ると、胸の奥深くがぎゅっと掴まれたみたいで、苦しくてせつなくなる。
そして、玲と離れる日を想像すると、可笑しく成る程絶望しか感じなかった。
自分でも、どうしたらいいかわからなくなっていた。
けれど、現実を考えるとずっとここにはいられない。
俺はただの犯罪者で、逃げ隠れしている身だ。
やっと手に入れたこの幸せは、シャボン玉のように輝いても、すぐに消えてしまうと決まっていた。
全ては自業自得、罪は消える事はない。
俺は現実から目をそらし、何も考えないようにした。
ただ今は何度も玲と唇を重ねて暖かい玲の温もりを感じていたかった。
永遠に玲の鼓動を感じながら、俺は玲の胸の傷ごと全てを抱いていたいと思っていた。



