「島をたつって、カブさんもしかして日本へ?」

 カブさんが持っていたワインを置いて皆んなの方を向く。
イゾンも玲も、熊さんも顔が何処か強張っていた。
 カブさんは前に言っていた。
島でゆっくりしたら自首すると………。

 「この島の居心地がよくて、だいぶ長居してしまいました……。
 皆さんとこのホテルで出会えて、楽しい時間を過ごせて幸せでした。
私よりも二十以上も年が離れているのに、友人になってくれてありがとうございました」

 イゾンが嫌々するように首を振る。玲も悲しそうな顔をしていた。

 「人生の休息が出来ました。今までずっと走りっぱなしの人生を送ってきたので、これでまた走り出すエネルギーがたまりました」

 カブさんの顔は晴れやかだった。

 「別にこれは悪い事じゃありませんよ。
私は何度失敗しても、やり直します。
 自分が納得いくまで何度でも再スタートをきります。また這い上がって行くのを皆さん見ていて下さいね」

 俺はそう宣言したカブさんが本当にかっこいいと思った。この島でカブさんと出会えて、同じ時間を共に出来て本当にラッキーだったと思った。

 「カブさん!寂しいけど、私はカブさんをずっと応援するね!カブさんの再起を必ず見届けるよ!」

 玲がそう言うと、イゾンも目をうるうるさせて席を立ってカブさんに抱きついた。

 「カブさんありがとう………。いつも優しくしてくれて、カブさんは友達だけど、お父さんみたいでした」

 カブさんが、イゾンの背中を優しく叩く。

 「ありがとう。皆さん。まだ時間はあるんで、しんみりしないで最後まで楽しく飲んで旅立ちたいですね」

 カブさんが俺を見て頷く。

 「いい歌を必ず作るので、絶対に聞いて帰ってください」

 カブさんが俺の肩を叩いた。
その時、カブさんに思いっきり背中を押された気がした。