どれくらい、俺はギターを引き続けていたんだろう。

 頭の中に浮かんだメロディーを譜面に起こしていくのにただ夢中だった。

 時間を忘れてギターを引き続けた。
まるで、綾さんに初めてギターを教えて貰った時の様にワクワクしながらギターを弾いていた。

 とにかく楽しかった、ギターを弾ける事が幸せだった。
俺はこんなにギターを弾きたかったのか、自分でも初めて気づいた。

 「シンジ、、、!シンジ!」

 俺は玲の声で我にかえる。
辺りはすっかり、日が暮れていた。一瞬にして現実に戻された気がした。

 「何度も声かけたのに、ずっと夢中でギター弾いてたよ。大丈夫?」

 玲が少し心配そうに俺に言ってくる。

「えっ………マジで?全然耳に入ってこなかった」

「シンジ"ゾーン"に入ってるみたいだったよ!」

「確かに、、、そうかもしれない」

 俺は自分の手を眺めると、長時間ギターを引き続けて赤くなっていた。

「シンジ、ギター上手いんだね。
感動しちゃったよ。クマよりずっと上手だよ」

「玲ありがとう、、、俺玲のおかげで、ギターが弾けた」

 玲が描く絵に触発されて、俺の頭に勝手にメロディーが流れた、、、俺にはそうとしか考えられなかった。
 玲が絵を創作してるのを見て、俺の創作意欲が爆発した気がした。

 「私のおかげなの?関係ないと思うけど。
シンジのギターを聞くとわくわくしてくるね。
何か新しい事を始めたくなるような、そんな前向きな気分になったよ」

 俺は、ギターを弾いて初めてそんな事を言われた。かっこいいとか、上手いとかは言われた事があったが、ワクワクするなんて言われた事がなかった。

 「色んな人に聞かせてあげて、シンジの音楽で沢山の人を新しい世界へ連れていってあげなよ」

 「新しい世界……?」

俺が聞き返すと、玲はにこっと笑った。

「何か新しい事を初めるのは、新しい世界に飛び込むのと一緒でしょ?
チャレンジは常に次のステージの扉を叩く事」