俺は、玲の言葉にハッとする。
「シンジ、なんて顔してるの?別に皆んないつかは必ず死ぬんだよ。その確率が高いだけだよ」
俺は、何も言えなくなってしまった。
人は必ず死ぬ。その事はわかりきっている事だ。
けれど、それを身近に意識して生きている人間は、そんなにいないだろう。
「小さい時から、制限だらけの生活だったんだ。学校にも殆ど行けてない。だから、こんなに肌も白いし、ひたすら窓から海を眺めて、外に出たいと思ってた」
玲がサンダルで、海の水をポチャンとける。
「でも、部屋の中で絵は描けたからね。
ひたすら毎日絵を描いて、描いて、、、。
絵が好きだったっていうか、絵で自分の心の鬱憤を晴らしてたって、とこもあるかな。
真っ白な紙に、自分の希望や『こうなりたい』って憧れを描いたり、外に出られない苛立ちや、こんな身体に生まれた憎しみを描いたり、色々描いてみた」
小さな玲が、部屋の中で一人きりで、絵を描いている姿を想像してみる。
画用紙に向かって、夢中にクレヨンを走らせて、絵に自分の中のパワーの全てを出しているような姿だ。
「自分自身を表現する場所が、そこにしかなかったからね。そりゃ、これだけ描いていれば誰でも、上手くなるよ。だから別に才能があるわけじゃないんだよ」
「辛い子供時代だったんだな………」
俺が思わず呟く。皆んなが自由に外へ出て、遊んでいる時に、玲はずっとベッドに鎖で繋がれている様な生活を送っていたのだ。
玲の活発な性格からしても、よけいに辛かった事が想像できる。
「全然。制限だらけだったけど、制限の中で自分なりにやりたい事をやるって決めてたんだ。
だから、別に不自由ではないし、むしろ自由だったよ。辛くはなかった、クマもいたし」
玲の言う通り、玲はいつも自由奔放に生きているように見えていた。
むしろ、制限とは真逆の世界にいるように俺は感じていた。
しかし周りにそう見せるには、彼女の努力あってこそだろう。
「シンジ、私はシンジがどうして犯罪を犯してこの島へ逃げてきたかは、よくわからないけど。きっと何か事情があったんでしょ?その事は別に、興味もないし知りたくもない。
けど…………」
玲が真っ直ぐ俺を見る。
その黒目がちの目を見ると、俺は思わず吸い込まれそうになる。
「シンジはもっとシンプルに、自分の心のままに生きた方が良いと思うよ」
………シンプルに、、、?
「ギター弾きたいんじゃない?
いつも、クマのギターを眩しそうに眺めてる。
胸に手を当てて、今自分が一番にしたい事を、したらいい」
(俺は、、、ギターが弾きたいのか?犯罪者の俺が、今更何を弾けって言うんだ………)
俺が何も言えずにいると、玲が言ってくる。
「私は、これからも自分の人生でやりたい事をただ淡々とやっていく。やる気がないなら、シンジ、、、私と変わってよ」
波の打ち寄せる音だけが、朝の島に響いている。
俺は、玲の瞳から目がそらせなかった。
「シンジの身体、私にちょうだい」
「シンジ、なんて顔してるの?別に皆んないつかは必ず死ぬんだよ。その確率が高いだけだよ」
俺は、何も言えなくなってしまった。
人は必ず死ぬ。その事はわかりきっている事だ。
けれど、それを身近に意識して生きている人間は、そんなにいないだろう。
「小さい時から、制限だらけの生活だったんだ。学校にも殆ど行けてない。だから、こんなに肌も白いし、ひたすら窓から海を眺めて、外に出たいと思ってた」
玲がサンダルで、海の水をポチャンとける。
「でも、部屋の中で絵は描けたからね。
ひたすら毎日絵を描いて、描いて、、、。
絵が好きだったっていうか、絵で自分の心の鬱憤を晴らしてたって、とこもあるかな。
真っ白な紙に、自分の希望や『こうなりたい』って憧れを描いたり、外に出られない苛立ちや、こんな身体に生まれた憎しみを描いたり、色々描いてみた」
小さな玲が、部屋の中で一人きりで、絵を描いている姿を想像してみる。
画用紙に向かって、夢中にクレヨンを走らせて、絵に自分の中のパワーの全てを出しているような姿だ。
「自分自身を表現する場所が、そこにしかなかったからね。そりゃ、これだけ描いていれば誰でも、上手くなるよ。だから別に才能があるわけじゃないんだよ」
「辛い子供時代だったんだな………」
俺が思わず呟く。皆んなが自由に外へ出て、遊んでいる時に、玲はずっとベッドに鎖で繋がれている様な生活を送っていたのだ。
玲の活発な性格からしても、よけいに辛かった事が想像できる。
「全然。制限だらけだったけど、制限の中で自分なりにやりたい事をやるって決めてたんだ。
だから、別に不自由ではないし、むしろ自由だったよ。辛くはなかった、クマもいたし」
玲の言う通り、玲はいつも自由奔放に生きているように見えていた。
むしろ、制限とは真逆の世界にいるように俺は感じていた。
しかし周りにそう見せるには、彼女の努力あってこそだろう。
「シンジ、私はシンジがどうして犯罪を犯してこの島へ逃げてきたかは、よくわからないけど。きっと何か事情があったんでしょ?その事は別に、興味もないし知りたくもない。
けど…………」
玲が真っ直ぐ俺を見る。
その黒目がちの目を見ると、俺は思わず吸い込まれそうになる。
「シンジはもっとシンプルに、自分の心のままに生きた方が良いと思うよ」
………シンプルに、、、?
「ギター弾きたいんじゃない?
いつも、クマのギターを眩しそうに眺めてる。
胸に手を当てて、今自分が一番にしたい事を、したらいい」
(俺は、、、ギターが弾きたいのか?犯罪者の俺が、今更何を弾けって言うんだ………)
俺が何も言えずにいると、玲が言ってくる。
「私は、これからも自分の人生でやりたい事をただ淡々とやっていく。やる気がないなら、シンジ、、、私と変わってよ」
波の打ち寄せる音だけが、朝の島に響いている。
俺は、玲の瞳から目がそらせなかった。
「シンジの身体、私にちょうだい」



