「そうなの?でもそんな事してて、誰かに取られたら悔しくて夜も眠れないと思うんだけど」

 「大丈夫だろ、そんな焦んなくても、
第一、相手に既に彼女がいたらどうすんだよ。
その辺ちゃんと確認しなきゃだめだろ」

 俺が当たり前の事を言うと、玲はそんな事少しも考えていなかったのか、少しの間一人で考えていた。

 「その変は気にしないでおくよ。
大丈夫でしょ?彼女いても私の方が魅力的じゃない?」

 玲が随分と自信に満ち溢れた言葉を並べる。

 「まあ、好きにしたら?」

俺は面倒くさくなって、突き放す。

 「いや、嘘です。自信ないです。恋愛初心者なので……アドバイスください。お願いします」

 珍しく玲がしおらしい事を言ってくる。

「とにかく、暴力禁止で」俺は玲にそれだけアドバイスをした。

 日が暮れはじめて、サーフ大会も終了した。
俺達は出店の撤去をしていた。

 「いやぁ、よく売れましたねー!完売完売!イゾン君頑張りましたね!」

 カブさんがイゾンを労う。

 「カブさんありがとうございました!
お店屋さん、初めてだったけど楽しかったなあ!またやってみたいなぁ!」

 イゾンが達成感に満ちた顔で言っていると、そこへ例のサーファーの律が現れた。

 「玲ちゃん。じゃあこの後海岸の打ち上げで、よろしくね!」

 上半身裸で、爽やかに言いながら去っていく。
それを見ながら、玲はぼーっとして「う、うん!」とやっと返事をした。

 一体、こいつは誰なんだ。顔を赤くしながら静かに返事をする、この女は俺の知っている玲ではない。
それを見ていたイゾンがいきなり騒ぎだす。

「どう言う事!何あの無駄に良い身体した上半身裸の男!玲さんの一体何なの!?」

「みりゃわかるだろう。サーファーだよ」

「そんなのわかってるって!それより何?もしかして玲さん今日ナンパされたの?」

 イゾンが俺の側でぎゃーぎゃー騒ぎたてる。

 「そのようだな。見てみろ、玲もまんざらでもないみたいだから、大人しくしてようぜ」

 「何言ってるんですか!あんな見たからにチャラチャラした男に、玲さんは渡せませんよ!僕も、打ち上げ行きますから!シンジさんもですよ!」

 俺はなんでこいつと、そんな所に行かなきゃなんないんだと思った。ところが、玲まで俺の方へ来て言う。

 「お願い!シンジもついてきて!何かあった時アドバイスが欲しいから!」

 「え?無理だるい」

俺が即答で答えると、玲が怒りだす。
 
「いいじゃん!!ただでご飯食べれるよ!お酒も!ついてこないとホテルから追い出すから」

 お願いと言うか、もはや脅迫だ。
俺は仕方なく、その夜打ち上げに参加する事になった。