「きたきた〜気合い入れてこ〜!!」
玲が隣りで気合いを入れる。
玲は久しぶりに絵から離れて、気分転換しているように見えた。
「さぁ、私達もジュース売りまくりましょう!」
カブさんも気合いが入っているが、有名人なので今日は念の為サングラスをかけている。
サーファー達は、何人かわからないが、日本人は殆どいなかった。
小さい大会だと言っていたが、出店は大盛況で売っても、売っても、ホットドッグを求める人で行列だった。
俺も、玲も、熊さんも汗だくでウィンナーを焼いた。
そのうち玲がキレ出して「もう二度とウィンナーは見たくない!」と叫んだ。
イゾンとカブさんのジュースも人気でよく売れていた。
コミュ障のイゾンが一生懸命に拙い英語で接客していて、俺の目頭が熱くなった事は絶対に秘密だ。
ノリノリの音楽の中で、サーファー達が次々と大きな波に乗って行く。
まるで波を操っているようで見ていて楽しかった。
俺は、島にいる間に絶対にサーフィンに挑戦してみようと心に誓った。
暫くすると、少し客がまばらになり、俺と玲はやっと休憩をとる事ができた。
「大丈夫かよ。だいぶバテてるけど」
玲は浜辺の木陰で、大の字になって横になっていた。
「疲れたよー!最近、寝る間も惜しんで、デッサンに励んでたから疲れが溜まってたみたい」
「なんで、そんなにこん詰めるんだよ。もっとゆっくりやればいいじゃんかよ」
「だって折末さん、そんなに長くは滞在できないらしいんだよ。だから、折末さんがいる間に色々教えてもらいたいんだ」
「へぇ〜。折末さんが来てくれて、そんなに変わったのかよ?」
俺が聞くと、玲が興奮したように起き上がって話し出す。
「全然違うよ!折末さんが教えてくれる事は、目からウロコの事ばっかりだよ!
自分一人じゃ絶対に気づけなかったと思う。
もう、教えてくれる事全てが楽しい!新しい発見ばかりなんだ」
折末さんにデッサンを教えて貰えて、玲には良い刺激になっているようだった。
折末さんからの刺激を受けて、玲が新しくどんな絵を描くのか、俺も楽しみだった。
「あー!シンジ喉かわいたよ!飲み物買いに行こう!」
「ビール飲みたいなぁ」
「まだダメだよ!これからお客さんくるんだから!シンジ、もう足痛い!足が棒!おんぶして自販機まで連れて行って!」
玲がそう言って、両手を広げている。
「やだよ!歩けないなら、買ってきてやるよ。
なんでこんなクソ暑いのに、お前をおんぶしなきゃなんないんだよ」
「自分の目で見て、何飲むか決めたいの!
いいじゃん!はやくはやく!」
俺は、玲に押し切られて仕方なく玲をおんぶした。俺は、あまりの玲の軽さに少しびっくりした。
「シンジ走って!ゴーゴー!」
「振り落とすぞ!!」俺がそう言って走ると、玲が背中で、きゃーきゃー言って喜んでいた。
玲といると、めちゃくちゃ腹が立つが、玲のはちゃめちゃさに、面白くなっている自分がいた。それくらい玲は俺が今まで出会った普通の女と違った。
自販機に着くと、玲は悩みに悩んでオレンジジュースを買った。
ジュース一本決めるだけでも、玲は一人で楽しそうだった。
俺達はまた木陰に戻ってジュースを飲んでいた。
「すみません!」
俺と玲はいきなり、日本語で呼びかけられる。
振り向くと、大学生くらいのサーフボードを持った日本人が立っていた。
「ホットドッグ完売ですか?」
そう言われて、慌てて玲が立ち上がる。
その瞬間、玲が揺らめいて倒れそうになった。
その時、咄嗟にサーファーの大学生くらいの男が、玲を抱き止めた。
まるで俺は映画のワンシーンを見ているようだった。
よくある下手なくっそ寒い恋愛映画だ。
抱きかかえられたその瞬間、二人は恋に落ちる的なやつだ。
玲と大学生はしばらく見つめ合い、お互い恥ずかしくなったのか、慌てて離れる。
「ごめんなさい!ありがとうございます!」
玲がそう言うと、大学生は爽やかに笑いながら言った。
「やっぱり日本人だったんだ、ぽいなぁって思って、思い切って日本語で呼びかけたんだ」
(……ぽいか?あいつ金髪だけど。)
俺はなんとなく、心の中で大学生に悪態をつく。
「日本人です!完璧に日本人です!純血です!」
玲がはりきって意味不明な事を言っている。
爽やか大学生は、玲の反応が面白いのか、更に笑顔で楽しそうに笑っている。
身長も適度に高い、サーファーなだけに身体も締まって、良い筋肉がついている。
顔も爽やかでかっこいい。相当モテそうだと思った。
「俺、日本からきた金子 律って言います。よろしく」
律とやらが、玲に握手を求めて手を差し伸べた。
「私、小岩井 玲って言います!そこのホテルの娘です!」
「そうなんだ。あの、、、今夜サーフ大会の打ち上げを海岸でやるんだけど、玲ちゃんも来ない?」
いきなりの急展開だった。
しかし玲はくい気味に、すぐ返事をした。
「行きます!絶対行きます!」
俺は、そんな二人のやり取りを見て、玲の望んでいた初彼氏が出来るのは、そう遠くはないんじゃないかと感じていた。
玲が隣りで気合いを入れる。
玲は久しぶりに絵から離れて、気分転換しているように見えた。
「さぁ、私達もジュース売りまくりましょう!」
カブさんも気合いが入っているが、有名人なので今日は念の為サングラスをかけている。
サーファー達は、何人かわからないが、日本人は殆どいなかった。
小さい大会だと言っていたが、出店は大盛況で売っても、売っても、ホットドッグを求める人で行列だった。
俺も、玲も、熊さんも汗だくでウィンナーを焼いた。
そのうち玲がキレ出して「もう二度とウィンナーは見たくない!」と叫んだ。
イゾンとカブさんのジュースも人気でよく売れていた。
コミュ障のイゾンが一生懸命に拙い英語で接客していて、俺の目頭が熱くなった事は絶対に秘密だ。
ノリノリの音楽の中で、サーファー達が次々と大きな波に乗って行く。
まるで波を操っているようで見ていて楽しかった。
俺は、島にいる間に絶対にサーフィンに挑戦してみようと心に誓った。
暫くすると、少し客がまばらになり、俺と玲はやっと休憩をとる事ができた。
「大丈夫かよ。だいぶバテてるけど」
玲は浜辺の木陰で、大の字になって横になっていた。
「疲れたよー!最近、寝る間も惜しんで、デッサンに励んでたから疲れが溜まってたみたい」
「なんで、そんなにこん詰めるんだよ。もっとゆっくりやればいいじゃんかよ」
「だって折末さん、そんなに長くは滞在できないらしいんだよ。だから、折末さんがいる間に色々教えてもらいたいんだ」
「へぇ〜。折末さんが来てくれて、そんなに変わったのかよ?」
俺が聞くと、玲が興奮したように起き上がって話し出す。
「全然違うよ!折末さんが教えてくれる事は、目からウロコの事ばっかりだよ!
自分一人じゃ絶対に気づけなかったと思う。
もう、教えてくれる事全てが楽しい!新しい発見ばかりなんだ」
折末さんにデッサンを教えて貰えて、玲には良い刺激になっているようだった。
折末さんからの刺激を受けて、玲が新しくどんな絵を描くのか、俺も楽しみだった。
「あー!シンジ喉かわいたよ!飲み物買いに行こう!」
「ビール飲みたいなぁ」
「まだダメだよ!これからお客さんくるんだから!シンジ、もう足痛い!足が棒!おんぶして自販機まで連れて行って!」
玲がそう言って、両手を広げている。
「やだよ!歩けないなら、買ってきてやるよ。
なんでこんなクソ暑いのに、お前をおんぶしなきゃなんないんだよ」
「自分の目で見て、何飲むか決めたいの!
いいじゃん!はやくはやく!」
俺は、玲に押し切られて仕方なく玲をおんぶした。俺は、あまりの玲の軽さに少しびっくりした。
「シンジ走って!ゴーゴー!」
「振り落とすぞ!!」俺がそう言って走ると、玲が背中で、きゃーきゃー言って喜んでいた。
玲といると、めちゃくちゃ腹が立つが、玲のはちゃめちゃさに、面白くなっている自分がいた。それくらい玲は俺が今まで出会った普通の女と違った。
自販機に着くと、玲は悩みに悩んでオレンジジュースを買った。
ジュース一本決めるだけでも、玲は一人で楽しそうだった。
俺達はまた木陰に戻ってジュースを飲んでいた。
「すみません!」
俺と玲はいきなり、日本語で呼びかけられる。
振り向くと、大学生くらいのサーフボードを持った日本人が立っていた。
「ホットドッグ完売ですか?」
そう言われて、慌てて玲が立ち上がる。
その瞬間、玲が揺らめいて倒れそうになった。
その時、咄嗟にサーファーの大学生くらいの男が、玲を抱き止めた。
まるで俺は映画のワンシーンを見ているようだった。
よくある下手なくっそ寒い恋愛映画だ。
抱きかかえられたその瞬間、二人は恋に落ちる的なやつだ。
玲と大学生はしばらく見つめ合い、お互い恥ずかしくなったのか、慌てて離れる。
「ごめんなさい!ありがとうございます!」
玲がそう言うと、大学生は爽やかに笑いながら言った。
「やっぱり日本人だったんだ、ぽいなぁって思って、思い切って日本語で呼びかけたんだ」
(……ぽいか?あいつ金髪だけど。)
俺はなんとなく、心の中で大学生に悪態をつく。
「日本人です!完璧に日本人です!純血です!」
玲がはりきって意味不明な事を言っている。
爽やか大学生は、玲の反応が面白いのか、更に笑顔で楽しそうに笑っている。
身長も適度に高い、サーファーなだけに身体も締まって、良い筋肉がついている。
顔も爽やかでかっこいい。相当モテそうだと思った。
「俺、日本からきた金子 律って言います。よろしく」
律とやらが、玲に握手を求めて手を差し伸べた。
「私、小岩井 玲って言います!そこのホテルの娘です!」
「そうなんだ。あの、、、今夜サーフ大会の打ち上げを海岸でやるんだけど、玲ちゃんも来ない?」
いきなりの急展開だった。
しかし玲はくい気味に、すぐ返事をした。
「行きます!絶対行きます!」
俺は、そんな二人のやり取りを見て、玲の望んでいた初彼氏が出来るのは、そう遠くはないんじゃないかと感じていた。



