そして、サーフィン大会当日となった。
今日は玲も、絵の特訓は休みで、出店を手伝う事になっていた。
 折末さんは、せっかくここまできたからと、今日は島の観光をするそうだ。

 俺たちは、皆んな同じキャップに同じエプロンをつけて接客する事になった。
 俺のエプロン姿を見て、イゾンが笑い出す。
赤と白のギンガムチェックのエプロンが、俺に死ぬほど似合っていないらしい。

 「私は意外に似合ってると思うんだけどなぁ。シンジに似合うと思って、このエプロン注文したんだから。ほら"ホテルエアロ"って入ってるでしょ?可愛くない?」

 「可愛くない。可愛い必要ないだろ」

 俺がそう言うと、玲が怒った顔をして言ってくる。

 「あのね、今日は一年で一番の書き入れ時なの!わかるかな?今日、ホットドッグが何個売れるかで、今年一年のホテルの潤い具合が決まってくるのよ!ただでさえ、いわくつきホテルで暗いイメージなんだから、ここはめでたい紅白で明るくいかなくちゃ!」

 ホテルの業績がホットドッグで決まるのは、流石にやばいが、確かにホテルのイメージアップに明るいエプロンは必須かもしれない。
 玲は流石に、アニメ顔だけな事もあって、エプロン姿がよく似合っていた。

 俺たちは、手分けする事になった。熊さんと、俺と、玲がホットドッグチーム。
イゾンと、カブさんがフレッシュジュースチームに分かれて売る事になった。
 昨日、俺達が取ってきた実で作ったジュースはめちゃくちゃ美味しかった。
カブさんの言っていた通り、酸味の強いライチのような味だった。

 「僕、お店屋さんごっこ初めてだなぁ〜わくわくするな〜」
とイゾンが子供みたいな事を言っていると、続々と港からサーファー達がやってきた。