俺達は、小高い丘の上まで歩いてきて、熊さんから預かった籠にとった木の実を入れる。
丘の上は、果物畑が広がりその下には綺麗な海が広がり、眺めは最高だった。
「この果物なんて名前なんだろう」
イゾンが目の前の木の実をもぎながら言う。
「確か、、、マンゴ……マンゴーなんとか?」
紫色した丸い木の実は初めて見た果物だった。日本で売られているのは見た事がなかった。
「むくと白い実で、ライチみたいな味らしいですよ」
「へぇ〜いかにも南国っぽい果物ですね」
俺達三人は、籠いっぱいになるまで果物をとった。明日は大量にジュースを作る予定なので、かなりの量を収穫した。
流石に昼頃になると疲れて、木の下の木陰で熊さんが作って持たせてくれた、サンドイッチを三人で食べた。
「なんか、ピクニックみたいで良いですね!
僕こういうの初めてかもしれないです!」
イゾンが楽しそうに言ってくる。
サンドイッチの包みを開けると、美味しそうな、スモークチキンサンドだった。
「政治家の息子はピクニックもした事がないのかよ」
俺が嫌味を言うと、イゾンはサンドイッチを頬張りながら話してくる。
「物心ついた時から勉強漬けだったんですよ。
政治家になる為に生まれたようなもんですからね。親もまさか、自分の子がこんなに頭悪いとは思わなかったんじゃないんですか?
超エキスパートと言われる専門の家庭教師人をそろえても、僕、全然周りの子に勉強でついていけないんですよ」
「、、、それは、大変だったんですね。イゾン君も苦労している」
カブさんが、慰めるようにイゾンに声をかける。
カブさんの声のかけ方は、いつでも穏やかで優しい。
けれどちゃんとブレずに自分の意見は伝える。
お茶の間で人気になったり、部下を率いてトップになる人は、やはり皆んながついて行きたいと思わせる人間なんだろう。
「どんな精密な機械でも、たまにバグが起きたりするじゃないですか?
僕はあの一族で唯一のバグなんですよ。
どんなに必死に周りについて行こうと頑張っても全然ついていけなかった。
みんなは当たり前に、なわとびの二重跳びを跳べるのに、僕だけ前飛びですら、つっかえて飛べないみたいな。、、、そんな感じでしたね。
で、結局学校行くのも辞めちゃいました」
イゾンは、笑いながら寂しそうに話す。
政治家の子供に生まれたイゾンの気持ちなんて、想像すらできなかった。
逆に父親に捨てられて、日本人じゃない母親にも満足に育ててもらえなかった俺の気持ちも、イゾンにはわからないだろう。
そんな二人がこの島でたまたま同じホテルに逃げ込み、一緒にピクニックの真似事をしている、その現状がなんだか面白かった。
人生には予想もできないサプライズが、たまに用意されているのかもしれない。
「前跳びじゃなくて、意外に後ろ跳びなら飛べたのかもな」
「シンジさん……」
「お前変だもんな。後ろ飛びなら二重跳びできたかもな?」
カブさんが横で笑い出すと、つられてイゾンも笑い出した。
目の前で、海がきらきら輝いて、真っ青な空を映している。
誰かとこんなに穏やかな気持ちで、ゆったりと過ごす時間がかつての自分にあっただろうか?
胸の中の曇りがすーっと晴れていくような、爽快な気分だった。
俺はここへ来れてよかったと素直にそう思う事ができた。
丘の上は、果物畑が広がりその下には綺麗な海が広がり、眺めは最高だった。
「この果物なんて名前なんだろう」
イゾンが目の前の木の実をもぎながら言う。
「確か、、、マンゴ……マンゴーなんとか?」
紫色した丸い木の実は初めて見た果物だった。日本で売られているのは見た事がなかった。
「むくと白い実で、ライチみたいな味らしいですよ」
「へぇ〜いかにも南国っぽい果物ですね」
俺達三人は、籠いっぱいになるまで果物をとった。明日は大量にジュースを作る予定なので、かなりの量を収穫した。
流石に昼頃になると疲れて、木の下の木陰で熊さんが作って持たせてくれた、サンドイッチを三人で食べた。
「なんか、ピクニックみたいで良いですね!
僕こういうの初めてかもしれないです!」
イゾンが楽しそうに言ってくる。
サンドイッチの包みを開けると、美味しそうな、スモークチキンサンドだった。
「政治家の息子はピクニックもした事がないのかよ」
俺が嫌味を言うと、イゾンはサンドイッチを頬張りながら話してくる。
「物心ついた時から勉強漬けだったんですよ。
政治家になる為に生まれたようなもんですからね。親もまさか、自分の子がこんなに頭悪いとは思わなかったんじゃないんですか?
超エキスパートと言われる専門の家庭教師人をそろえても、僕、全然周りの子に勉強でついていけないんですよ」
「、、、それは、大変だったんですね。イゾン君も苦労している」
カブさんが、慰めるようにイゾンに声をかける。
カブさんの声のかけ方は、いつでも穏やかで優しい。
けれどちゃんとブレずに自分の意見は伝える。
お茶の間で人気になったり、部下を率いてトップになる人は、やはり皆んながついて行きたいと思わせる人間なんだろう。
「どんな精密な機械でも、たまにバグが起きたりするじゃないですか?
僕はあの一族で唯一のバグなんですよ。
どんなに必死に周りについて行こうと頑張っても全然ついていけなかった。
みんなは当たり前に、なわとびの二重跳びを跳べるのに、僕だけ前飛びですら、つっかえて飛べないみたいな。、、、そんな感じでしたね。
で、結局学校行くのも辞めちゃいました」
イゾンは、笑いながら寂しそうに話す。
政治家の子供に生まれたイゾンの気持ちなんて、想像すらできなかった。
逆に父親に捨てられて、日本人じゃない母親にも満足に育ててもらえなかった俺の気持ちも、イゾンにはわからないだろう。
そんな二人がこの島でたまたま同じホテルに逃げ込み、一緒にピクニックの真似事をしている、その現状がなんだか面白かった。
人生には予想もできないサプライズが、たまに用意されているのかもしれない。
「前跳びじゃなくて、意外に後ろ跳びなら飛べたのかもな」
「シンジさん……」
「お前変だもんな。後ろ飛びなら二重跳びできたかもな?」
カブさんが横で笑い出すと、つられてイゾンも笑い出した。
目の前で、海がきらきら輝いて、真っ青な空を映している。
誰かとこんなに穏やかな気持ちで、ゆったりと過ごす時間がかつての自分にあっただろうか?
胸の中の曇りがすーっと晴れていくような、爽快な気分だった。
俺はここへ来れてよかったと素直にそう思う事ができた。



