キッチンから反対側の奥に、客室は二つ並んでいた。101と102と札がはってある。
イゾン君が使っている部屋は101らしい。
俺は熊さんから預かった、夕飯のトレーを片手に、部屋の前まで行く。

 俺は、妙に緊張していた。
人生で初めて、ストーカー犯と対面する。一体どんな奴なんだろう。
いや、向こうだってきっと強盗犯と対面するのは初めてだろうが、自分は相手とは違うと思ってしまうのが人間だと思う。

 俺は覚悟を決めて、101のドアをノックするが、返事はない。
恐る恐る、ドアノブに手を回して俺は部屋を開ける。
部屋の中は、電気もつけておらず、真っ暗だった。

 「夕飯お持ちしましたー」

俺は声をかけるが、返事もない。

「あのー。すみません」

 もう一度声をかけるが、やっぱり返答はない。
戻ろうかと思ったが、せっかく夕飯を熊さんが用意してくれていたので、置いて帰ろうと思って中へ入る。
 中に入ると、誰もいなかった。
ベッドの脇の机の上に写真が置いてあるのが目に入る。
見たら悪いと思いながら、俺はその写真を見てしまう。
五枚くらい写真があるが、全て同じ女性だった。

(まさか、これがストーカーしていた女か?)

 俺はぞっとして、机にトレーを置いて出ようとする。
ドアを開けて部屋を出ようとした瞬間、バスルームの扉が開いて中から人が出てきた。
その瞬間、俺はバスルームから出てきた人物にはがいじめにされた。