俺、小峯《こみね》 真二《しんじ》は、とにかく物心がついた時から、今現在二十五歳になっても、皆んなと一緒というのが苦手だった。


『この枠の中にはみ出さないように、色を塗ってね』


 そう先生に言われると、絶対に線から盛大にはみ出して色を塗ってしまう。
集団の中にいても同じだ。
周りとなじめず、何故か集団の外へとはみ出していく。

 自分で選んでそうなっているわけではない。
自然とそういう道を選んでしまうのだ。
元々、生まれた時からその運命は決まっていたように思う。
 俺の母親は、日本人ではなかった。俺はいわゆるハーフだ。
 父親は日本人らしいが、恋愛が長続きしない母の彼氏はコロコロと変わっていたので、俺の父親が誰なのかは、もはや母にもわからない。

 母は日本人みたいに、型にはまる性格ではなかった。自由で、奔放、規格外。
 本人に悪意はないが、自分の欲望に真っ直ぐで忠実。
 そんな母は、真面目で品行方正な日本人の親の集団の中で一際悪目立ちしていた。
 俺はハーフで、容姿の違いや、母が話すカタコトの日本語を俺も話していた事から、いじめの対象となった。

 子供の世界は残酷だ。
自分と違う変わっている奴がいれば、すぐに排除される。
 泣きながら、いじめられた事を母に告げると、母は逆上して、俺をいじめた友達を木刀でボコボコに殴った。
母は子供だからと言って容赦しない、それこそ殺す勢いで殴り倒した。
 そんな事が大問題となり、俺は周りから警戒され更に友達がいなくなり、いつも一人で遊んでいた。