ホテルエアロは、ホテルと言うには小さな建物だった。
聞けば、客室は四部屋しかないらしい。
それもそうだ、なんせ二人で切り盛りしてるんだから、そんな部屋数があってもまわせないのだろう。

 外観は地中海風の白いプチホテルという感じだった。
玲に続いて中へ入っていくと、中はブルーに統一された、爽やかなリゾート風の内装だった。
小さなロビーの奥には、大きな窓が海に向かって開けてあり、庭に小さなプールまであった。

「どう?シンジ気にいった?中々良いホテルでしょ?」

 玲が得意げにそう言ってくる。

「あぁ…………」

 俺は小さく頷いたが、本当に良いホテルだった。
ロビーの窓から気持ちの良い夕暮れの海風が吹いてくる。

「シンジ!こっちに来て!シンジの部屋は二階だから。」

 そう言って、玲に案内されたのは、ロビーの階段を二階にあがると、直ぐに扉が二つあり、その部屋のうちの一つだった。
シングルベッドと、机が一つにクローゼット、
シャワールームがついていた。

 「トイレは共同ね。食事は朝七時半から、夜は十九時。OK?」

 玲が慣れたように俺に説明する。

「ああ、ありがとう……」

 俺がそう言うと、玲はすぐに部屋を出ていった。俺は部屋の窓を開けて風を中にいれる。
窓の外は海と、下のプールが見えた。
夜の為か、プールサイドはライトアップされていた。
ふと見ると、プールサイドのベンチに誰かが座っている。

 当たり前だが客が俺以外にもいるらしい。
俺はそのまま部屋のベッドに横になった。
一度落ち着いて考えてみた。これから俺はどうしたらいいのか、、、。
 けれど考えて見ても何も思いつかなかった。
このまま逃亡して逃げられるものなのか……。

 そんな事を思っていると、また強烈な眠気に襲われてきた。
昼間も寝たはずなのに、また睡魔が襲ってくる。

俺は、そのまままた、深い深い眠りに落ちていく。