「だからさ、俺が言ってる意味わかる?
君が有名俳優とか、アイドルならこの曲でデビューさすよ。でも君、ただのアマチュアバンドのミュージシャンだよね?つまり一般人だよね?
それだと無理。この曲でデビューは出来ない。
金にならないもんは、売れない。無名でも、売れるもん書いてよ。書けないなら、才能がないって諦めて」
某音楽事務所、ライブハウスに来ていたこの事務所の人に声をかけられ、俺は一曲作って事務所に持ち込んだ。
その結果がこれだ。
事務所の人間は、俺が言い返そうとする隙を作らせないよう「早く出て行け」と言わんばかりの態度で、他の電話に出て会議室を出て行ってしまった。
もう何回目になるだろうか、作ってはダメ出しをされ、作ってはダメ出しをされ、他の事務所にも持っていったが、結果は全部同じだった。
才能がない────
そう言われてしまったら、こちらもどうしようもない事を、向こうはよくわかっている。
才能なんて、努力や我慢なんかで手に入るものじゃない。それがないと言われたら、こちらもお手上げだ。
俺は、仕方なく出されたアイスコーヒーを全て飲みほして、誰もいない会議室をあとにした。
音楽事務所を出る際に、そこらじゅうを綺麗に磨きあげられた、ロビーの壁に貼ってあるポスターに目がいった。
貼られていたのは今をときめく、人気バンドやアイドルのポスターだった。
つまらない歌を世間に垂れ流している。
こいつらは俺より才能があるというのか?
才能というより強運か、、、。
運も才能のうちか、、、。
そう考えてみると絶望的に運がなさそうな俺はメジャーデビューなんか出来る気がしなかった。
何の為にこんなに必死に駆けずり回っている。
肩にのし掛かる、ギターが重く感じる。
心の中の、情熱の火が今にも消えそうになっていた。
外へ出ると夕暮れの中、夏の終わりを告げるようにひぐらしが鳴いていた。
俺はまだ暑い残暑の人混みに紛れて歩いていく。
君が有名俳優とか、アイドルならこの曲でデビューさすよ。でも君、ただのアマチュアバンドのミュージシャンだよね?つまり一般人だよね?
それだと無理。この曲でデビューは出来ない。
金にならないもんは、売れない。無名でも、売れるもん書いてよ。書けないなら、才能がないって諦めて」
某音楽事務所、ライブハウスに来ていたこの事務所の人に声をかけられ、俺は一曲作って事務所に持ち込んだ。
その結果がこれだ。
事務所の人間は、俺が言い返そうとする隙を作らせないよう「早く出て行け」と言わんばかりの態度で、他の電話に出て会議室を出て行ってしまった。
もう何回目になるだろうか、作ってはダメ出しをされ、作ってはダメ出しをされ、他の事務所にも持っていったが、結果は全部同じだった。
才能がない────
そう言われてしまったら、こちらもどうしようもない事を、向こうはよくわかっている。
才能なんて、努力や我慢なんかで手に入るものじゃない。それがないと言われたら、こちらもお手上げだ。
俺は、仕方なく出されたアイスコーヒーを全て飲みほして、誰もいない会議室をあとにした。
音楽事務所を出る際に、そこらじゅうを綺麗に磨きあげられた、ロビーの壁に貼ってあるポスターに目がいった。
貼られていたのは今をときめく、人気バンドやアイドルのポスターだった。
つまらない歌を世間に垂れ流している。
こいつらは俺より才能があるというのか?
才能というより強運か、、、。
運も才能のうちか、、、。
そう考えてみると絶望的に運がなさそうな俺はメジャーデビューなんか出来る気がしなかった。
何の為にこんなに必死に駆けずり回っている。
肩にのし掛かる、ギターが重く感じる。
心の中の、情熱の火が今にも消えそうになっていた。
外へ出ると夕暮れの中、夏の終わりを告げるようにひぐらしが鳴いていた。
俺はまだ暑い残暑の人混みに紛れて歩いていく。



