俺の様子がおかしい事に気がついて、綾さんが自分の店の応接間に連れて行ってくれた。
久しぶりに入る綾さんの店は、だいぶ様変わりしていた。
けれど客入りも多く、経営は順調のようだった。
俺をソファーに座らすと、綾さんが缶コーヒーを俺に渡した。
俺は一言も何も話せず、ただ自分の手を見つめていた。
「真二何年ぶりだよ。もう四、五年くらいたったか?お前がうちの店辞めて」
綾さんは、俺の前のソファーに座りタバコに火をつけて、美味しそうに吸った。
「まだ音楽やってんの?何年か前に聞いた時は、インディーズでそこそこ売れてるって小耳に挟んだぜ」
俺は、まだ震える手をしっかりと押さえながら、震える声で綾さんに話す。
「、、、全然だめでした。結局メジャーデビューは出来なくて、今はふらふらして何もしてないです」
俺がボソボソと話すと、綾さんが俺を見つめる。
「、、、そうか。お前のその様子、只事じゃねーみたいだけど、何があったんだよ」
綾さんがいきなり確信をついてくる。
昔から綾さんは、人の心を読むのが上手かった。
だから、ホストとしても経営者としても成功しているんだろう。
俺は今日の出来事を言うか言わないか迷った。
言う事で変に迷惑をかけても悪いと思ったからだ。
ただでさえ、俺を拾ってくれて面倒見てくれた恩がある。
これ以上迷惑かけるわけにはいかない。
そう思って立ち去ろうとして、ソファーから立った瞬間、綾さんが俺の腕を掴んで引き留めたかと思ったら、俺の頬を平手で一発引っ叩いた。
頬に強烈な痛みが走る。
「何、迷ってんだよ!しっかりしろ!早く話せよ!お前に迷惑かけられるのなんて、慣れてんだよ!」
俺はその言葉を聞いて、涙が溢れてきた。
情けないが、綾さんの言葉が一気に胸に染み渡って嬉しかった。何より今、頼れる人間がいる事が心強かった。
俺は嗚咽をあげて泣いた。
人前で泣くのなんて、思い出す限り小学生ぶりかもしれない。
俺が泣いている間、綾さんは黙って俺を見つめていた。
久しぶりに入る綾さんの店は、だいぶ様変わりしていた。
けれど客入りも多く、経営は順調のようだった。
俺をソファーに座らすと、綾さんが缶コーヒーを俺に渡した。
俺は一言も何も話せず、ただ自分の手を見つめていた。
「真二何年ぶりだよ。もう四、五年くらいたったか?お前がうちの店辞めて」
綾さんは、俺の前のソファーに座りタバコに火をつけて、美味しそうに吸った。
「まだ音楽やってんの?何年か前に聞いた時は、インディーズでそこそこ売れてるって小耳に挟んだぜ」
俺は、まだ震える手をしっかりと押さえながら、震える声で綾さんに話す。
「、、、全然だめでした。結局メジャーデビューは出来なくて、今はふらふらして何もしてないです」
俺がボソボソと話すと、綾さんが俺を見つめる。
「、、、そうか。お前のその様子、只事じゃねーみたいだけど、何があったんだよ」
綾さんがいきなり確信をついてくる。
昔から綾さんは、人の心を読むのが上手かった。
だから、ホストとしても経営者としても成功しているんだろう。
俺は今日の出来事を言うか言わないか迷った。
言う事で変に迷惑をかけても悪いと思ったからだ。
ただでさえ、俺を拾ってくれて面倒見てくれた恩がある。
これ以上迷惑かけるわけにはいかない。
そう思って立ち去ろうとして、ソファーから立った瞬間、綾さんが俺の腕を掴んで引き留めたかと思ったら、俺の頬を平手で一発引っ叩いた。
頬に強烈な痛みが走る。
「何、迷ってんだよ!しっかりしろ!早く話せよ!お前に迷惑かけられるのなんて、慣れてんだよ!」
俺はその言葉を聞いて、涙が溢れてきた。
情けないが、綾さんの言葉が一気に胸に染み渡って嬉しかった。何より今、頼れる人間がいる事が心強かった。
俺は嗚咽をあげて泣いた。
人前で泣くのなんて、思い出す限り小学生ぶりかもしれない。
俺が泣いている間、綾さんは黙って俺を見つめていた。



