俺がなかなか動かない様子を見て、ルキアが痺れをきらして俺に言ってくる。

 「何やってんだよ。ここまできてびびってやらないとか言うなよ?お前の素性なんて全部組織にばらしてんだから今更逃げられないぜ」

 ルキアが脅しのような事を言ってくる。

「………なんだよそれ……」

「金のあるやつらから金を盗って何が悪い。俺達はそうでもしなきゃ、野垂れ死ぬだけだ。お前、こんなとこでくたばるつもりかよ。金が入ったら、またその金でやり直せば良いだけの話しだ」

 やり直す………そんな事ができるのか?

やり直してどうする?何をやり直す。

どんな人生を生きる…?

 自分の汚い部屋で埃を被っていた、ギターを思い出す。


また音楽を始めるのか……?


始められるのか…? 


「さぁ、行くぞ。
三十分でかたをつける。顔が見えないように目出し帽被っとけ」


 俺はルキアに渡された服と帽子を被る。


こうやって人間は些細な事が重なって犯罪に手を染めるのか……。

馬鹿みたいに俺は他人事のように納得していた。

自分の中の良心のハードルを一つずつ超えていく。

一つ一つは低いハードルかもしれないが、気がついて後ろを振り返ると、とてつもない高いハードルを超えていた事に気がつく。

 気づいた時にはもう引き返せない。


俺は車を降りて静まり返った住宅街に降り立つ。


空気がピリッとして痛い。

俺の運命が変わる時だ、、、。