5years later


 毎日テレビ放送局『MUSICプレイス』制作ディスク

 「大橋さん!大橋さん!お疲れ様です」

「おー。よっしーお疲れ。もう番組はじまった?生だろ?司会大丈夫かよ」

「大丈夫です。司会は今人気の女子アナの真下渚ですよ。あの子まわすのも上手いんですよ!」

「ああ、真下ちゃんね。あの子良いよね〜顔も可愛いいし!男は誰だっけ?」

「男はほら!あれですよ!川上!川上浩之!」

「ああ。あっ!CMあけた。トップバッターは、、、
"New World"か!このバンド今勢い凄いよな。
確か、こんど人気アニメの映画の主題歌も決まったんだろ?」

「そうなんですよ〜今の僕のイチオシですよ!
ボーカルのイゾンのビジュアルと声の良さも良いんですけど、やっぱり曲がめちゃくちゃカッコいいですよね!イントロから痺れますね〜」

「確かになぁ。
日本のロックぽくない、新しい感じのサウンドだよな。曲もこのボーカルが作ってんの?」

「違いますよ!作詞、作曲、編曲はバンドメンバーじゃない男がプロデュースしてるんですよ」

「へえ、今どきのバンドで珍しいな」

「大橋さん"コロシアム"ってインディーズのバンド知りません?
何年か前にちょっとインディーズで流行ってたバンドなんですけど。」

「…………ああ!わかるわ!
前にいたレコード会社にも何回かデモテープ持ってきてたな、ボーカルが」


「そうです!そうです!小峯 真二!
あのボーカルがプロデュースしてるんですよ!」

「え?あいつが曲作ってんの?
なんだよ。自分で歌えばいいのに、確かギターの腕もかなりのもんだったよな。
顔だって悪くないし、自分でやっても売れただろう。この曲なら」


「いやね、、、大きい声じゃ言えないんですけど、小峯真二はちょっといわくつきらしいですよ」

「いわくつき?」

「なんでも、強盗かなんかして捕まって刑務所入ってたらしくて、、、まあこの世の中ですからね、こんな話しバンドデビューしたら直ぐに知れ渡るだろうし、本人も表舞台に出る気はないみたいですよ。
どんな形でも音楽が出来ればいいって」

「そうなのか、、、。
もったいねーな。なんであんなに才能あったのに、そんな事したんだか。
でも刑務所に入った事あっても、今も平然とテレビの司会してるやつもいるけどなぁ」

「ああ、確かに。
川上も株関係で一回刑務所に入ってますね。
まあ、この人は本当に特別ですよね。
刑務所に入ってもクリーンなイメージを壊さず、今でも実業家タレントとして、テレビで使われてますもんね。
新しい事業もはじめたらしいし、なかなかこんな人は稀ですよ」

「刑務所の中でもずっと莫大な量の本を読んでたらしいな。牢屋の中で次の事業の計画を練ってたらしいぞ」

「それを言うなら、小峯真二もそうですよ。
刑務所の中で作曲してたらしいですよ。
それを昔から小峯の友達だったイゾンが面会に行って受け取って、小峯の曲でバンド活動はじめたらしいですから」

「へぇ〜刑務所の中でどうやって作曲すんだよ、すげーな」

「でも、刑務所に入ってから作ってる歌の方が神曲なんですよね。
"コロシアム"時代の曲も良かったけど、いまいちぱっとしないっていうか、大衆うけはしないし、テクニックに走り過ぎて拗れてた感ありましたよね」

「そうだな。あれだとちょっとデビューには弱かったよな。
自分が窮地に追い込まれて、才能が開花したのかな?」

「まあ、そうかもしれないですね。
刑務所に入らなければ、今みたいな神曲は作れてなかったかもしれないですね。皮肉なもんですが、、、」

「でも、もったいねーな!!
俺、小峯真二のギター好きだったんだよなぁ。
"New World"の曲、一回でいいからギター弾きながら歌ってくんないかな?」

「ああ!ギターならたまにLIVEでサポートメンバーとして弾いてますよ!
今度行ってみたらどうですか?
何でも普段は、東京じゃなくて、、す、、ステアリング島?とか言う、島に住んでるらしく、LIVEの時とかレコーディングの時だけ東京へきてるらしいですよ」

「はぁー。またなんでそんな面倒な所に住んでんだ?インスピレーションが湧きやすいとかそんなとこか?」

「いや、なんでもその島に恋人がいるから一緒に住んでるとか、なんとか?
ああ!その恋人が超有名な世界的な画家らしいんですよ!」


「なんだよそれ。凄いな。才能あるもの同士惹かれあうもんがあるのかな?」

「凡人にはわからない何かがあるんですよ」

「羨ましい話しだなぁ。俺にもなんか才能があればな」

「大橋さんは、音楽番組で低視聴率叩きだす才能がありますよ!」

「お前、、、喧嘩売ってるのか?」