俺は先にシャワーを浴びた「玲、シャワー浴びちゃえ」俺がそう言ってベッドの方へ行くと、玲が寝息をたてて眠っていた。

 俺は玲に布団をかけて、玲の心臓に耳を当てる。
当たり前だが、ちゃんと動いている音がした。
俺は玲の心臓の音が心地よくてしばらく聞いていた。

 玲の顔を見ると、気持ち良さそうに眠っていた。俺は玲の頭を撫でて玲の隣りで横になった。
一緒にいれば、いる程離れるのが辛くなる。
そんな事はわかっていたはずなのに、心の奥がチクチクと痛む。

 俺は今まで人間に執着などしてこなかった。
俺の前から去るものを引き止めたり、悲しんだりした事はなかった。

 母親が出ていった時の衝撃が強くて、人間なんていずれは自分の前からいなくなるものだと思っていた。
だから依存して執着なんてしても無駄だと思っていた。

 けれど───、、、
玲とはどうしても、離れたくない。

 そんな気持ちが渦巻く。
俺は勝手だ、自分で出頭すると決めながら、玲と離れたくない。ずっと俺の事を好きなままでいて欲しい、俺の事を思いながら、待っていて欲しいと願っている。

 自分勝手過ぎる。

 だから、玲には口が裂けても言えないが、本音はずっと心ごと玲を自分のものにしたかった。
そんな事は不可能だから、せめて今夜くらいは玲の顔をずっとみていようと思った。