「なんだよ、改まって。」
俺は少し胸騒ぎがした。
玲が何を言い出すか、少し見当がついていたからかもしれない。
「私、来週東京へ行くね」
玲が真っ直ぐ俺の方を見る。その眼差しから、多分玲の気持ちは揺るぎないものなんだと思った。
「決めたのか?」
ここの所、玲は熊さんと普通に接していたから、もう東京行きは諦めたとばかりと思っていた。けれど、玲はちっとも諦めてなどいなかったのだ。
「シンジ、やっぱり反対する?私が東京行く事」
俺は、、、俺は、、、。
「反対しない。どうしても行きたいんだろ?入賞式」
「うん。どうしても行きたい。気持ちが抑えられないの」
元々、俺に反対する権利なんてない。
これは玲の人生において、玲が決断すべき事だ。
もちろん、玲の身体は心配だ。
玲の身体に何かあったらと思うと、自分の胸を切り裂かれるような気持ちになる。
けれど、それと同じくらい、玲に自分の作品がスポットライトを浴びている瞬間を見せてやりたかった。何故ならば、彼女の絵は彼女自身なんだから。
「玲、一つ条件がある」
「、、、条件?」
玲の綺麗な瞳が俺を見つめ、長いまつ毛が白い肌に影を落とす。
「俺も一緒に東京へ行く」
「えっ、、、?」
玲は余程驚いたのか、そのまましばらく黙っていた。
「俺が玲を東京へ連れて行く」
これは、玲が東京へ行くと言い出した時から考えていた事だった。
「ちょっと待って、確かにシンジが一緒に来てくれたら嬉しいけど、、、嬉しいけどでも、東京へ戻ったら、シンジ捕まっちゃうんじゃない?」
玲の言う通りだ。
東京へ戻れば俺はきっと指名手配されているだろう。捕まる可能性は大きい。
けれど、、、それでも良かった。
「多分捕まるだろうな」
「捕まるだろうって、シンジ、、、」
玲の顔が次第に歪んでいく。
「ここの所ずっと考えてたんだ。俺、もういいかなって」
「なんで、、、そんな事言うの?」
「別に投げやりになってるわけじゃねーよ。
このまま逃げてても仕方ないなって思ったんだよ」
玲の目が次第に潤んでいき、透明な涙が溢れていく。別に玲を泣かしたかったわけじゃない。
だから、恋愛なんかするべきじゃなかった。
俺は誰かを幸せに出来るような人間じゃないのだから。
わかっていたが、気持ちを止める事が出来なかった俺の責任だ。
「玲、未来の話しがしたい」
「未来、、、?」
玲が溢れる涙を拭こうともせずに、俺を見つめる。
「犯した罪はずっと消えない。
だからせめて償いたい。自己満だけど。
そうじゃなきゃ、何も始める事が出来ない気がするんだよ。
俺がちゃんと、罪を償ったら、俺は必ずまたここへ戻ってくるから」
玲が俺の手を握ってくる。
その小さな手の何処からこんなに、力が出ているのかわからないくらい、強く俺の手を握ってくる。
「待ってて、とは言わないから、元気で生きてて欲しい、、、」
ステンドグラスに夕日があたり、綺麗に光って反射していた。
それが丁度聖母マリアの顔にあたり、涙を流しているように見えた。
罪を悔い改めるのには、最高の場所だ。
願わくば、一からもう一度始めたい。
頭の中に鳴り響く。
I'm ready, let's do it again.
(もう準備は出来ている さぁもう一度はじめよう)
俺は少し胸騒ぎがした。
玲が何を言い出すか、少し見当がついていたからかもしれない。
「私、来週東京へ行くね」
玲が真っ直ぐ俺の方を見る。その眼差しから、多分玲の気持ちは揺るぎないものなんだと思った。
「決めたのか?」
ここの所、玲は熊さんと普通に接していたから、もう東京行きは諦めたとばかりと思っていた。けれど、玲はちっとも諦めてなどいなかったのだ。
「シンジ、やっぱり反対する?私が東京行く事」
俺は、、、俺は、、、。
「反対しない。どうしても行きたいんだろ?入賞式」
「うん。どうしても行きたい。気持ちが抑えられないの」
元々、俺に反対する権利なんてない。
これは玲の人生において、玲が決断すべき事だ。
もちろん、玲の身体は心配だ。
玲の身体に何かあったらと思うと、自分の胸を切り裂かれるような気持ちになる。
けれど、それと同じくらい、玲に自分の作品がスポットライトを浴びている瞬間を見せてやりたかった。何故ならば、彼女の絵は彼女自身なんだから。
「玲、一つ条件がある」
「、、、条件?」
玲の綺麗な瞳が俺を見つめ、長いまつ毛が白い肌に影を落とす。
「俺も一緒に東京へ行く」
「えっ、、、?」
玲は余程驚いたのか、そのまましばらく黙っていた。
「俺が玲を東京へ連れて行く」
これは、玲が東京へ行くと言い出した時から考えていた事だった。
「ちょっと待って、確かにシンジが一緒に来てくれたら嬉しいけど、、、嬉しいけどでも、東京へ戻ったら、シンジ捕まっちゃうんじゃない?」
玲の言う通りだ。
東京へ戻れば俺はきっと指名手配されているだろう。捕まる可能性は大きい。
けれど、、、それでも良かった。
「多分捕まるだろうな」
「捕まるだろうって、シンジ、、、」
玲の顔が次第に歪んでいく。
「ここの所ずっと考えてたんだ。俺、もういいかなって」
「なんで、、、そんな事言うの?」
「別に投げやりになってるわけじゃねーよ。
このまま逃げてても仕方ないなって思ったんだよ」
玲の目が次第に潤んでいき、透明な涙が溢れていく。別に玲を泣かしたかったわけじゃない。
だから、恋愛なんかするべきじゃなかった。
俺は誰かを幸せに出来るような人間じゃないのだから。
わかっていたが、気持ちを止める事が出来なかった俺の責任だ。
「玲、未来の話しがしたい」
「未来、、、?」
玲が溢れる涙を拭こうともせずに、俺を見つめる。
「犯した罪はずっと消えない。
だからせめて償いたい。自己満だけど。
そうじゃなきゃ、何も始める事が出来ない気がするんだよ。
俺がちゃんと、罪を償ったら、俺は必ずまたここへ戻ってくるから」
玲が俺の手を握ってくる。
その小さな手の何処からこんなに、力が出ているのかわからないくらい、強く俺の手を握ってくる。
「待ってて、とは言わないから、元気で生きてて欲しい、、、」
ステンドグラスに夕日があたり、綺麗に光って反射していた。
それが丁度聖母マリアの顔にあたり、涙を流しているように見えた。
罪を悔い改めるのには、最高の場所だ。
願わくば、一からもう一度始めたい。
頭の中に鳴り響く。
I'm ready, let's do it again.
(もう準備は出来ている さぁもう一度はじめよう)



