七奈は俺に泣きながら少し話しをした。
自分が病気の事で落ち込んでいる時に、美優に同級生達との楽しい写真のアルバムをプレゼントされて、思わず怒って『もうこないで』と言ってしまった事、後悔しているが、同じ歳の子が元気に学校に行っている姿を見る事が、今はどうしても、辛いと言った。
俺はただ、話しを聞いて「そっか、、、」としか言えなかった。
「永斗はさ、、、怖くないの?病気で死ぬ事」
あまりにも七奈がストレートに聞いてくるので、俺は返事に少し困った。
「、、、怖いよ、めちゃくちゃ。自分がこの世からいなくなって、どうなるかもわからないし、皆んなにいつか忘れ去られてしまうのも、怖い」
「、、、そうだよね」
「でも、そんな怖い事ばっかり考えて、今の時間を無駄にするのも嫌だから。せめて生きている間は、希望を持っていたい。七奈から借りた『時間泥棒キキ』を読んでそう思った」
七奈が少しだけ笑った。
「私も大好きだよ、あの本、、、」
「七奈は絶対に死なないから、一生懸命生きる事を考えよう。だって、ラッキーセブンなんだから」
「そうだね。私はラッキーセブンだった」
「じゃあ、俺と明日何をするか一緒に考えよう。七奈は明日何したい?」
七奈は少し考えて言った。
「、、、ウノ」
「どんだけ、ウノ好きなの?」
思わず俺は笑った。
俺は七奈とのささやかな一日を大切に生きていきたかった。大きな幸せがなくても、ただ繰り返される単調で何でもない毎日を生きていたかった。
「私、この病気になって辛い事ばっかりだったけど、永斗と出会えた事は本当にラッキーだった、、、。
永斗、、、私と出会ってくれてありがとう」
七奈は目を真っ赤にして笑いながら俺に言った。その顔を見た瞬間に、こんなに愛しく思える人はいないと思った。
俺は七奈に近づくと、七奈の唇に触れた。
「永斗、私の事好きなの?」
七奈がびっくりした顔をして聞いてきた。
「言わなくてもわかるでしょ?」
「わかんないって!超能力があるわけじゃないんだから!」
「、、、好きだよ。七奈は、、、?」
七奈は少し黙ってから笑って言った。
「言わなくてもわかるでしょ?」
俺達は確かにブラックホールのような暗闇の中を二人で生きていた。
けれど、何故か俺は幸せだった────。
普通に元気に生きていたあの頃よりも、毎日がキラキラと時間が輝いて眩しい時を過ごしていた。
いつも幸せだったわけではない。薬の副作用で、高熱が出たり、頭が死ぬほど痛かったり、吐きまくった日もあった。
けれどその度に、七奈が側にいてただ寄り添ってくれた。俺は七奈が側にいればどんな事も耐えられる気がしていた。
俺が一時退院した時も、すぐに七奈に会いに病院へ行った。一分一秒でも、七奈と一緒にいたかった。
俺が七奈のお見舞いに行くと、ナースステーションに宮下さんがいて、声をかけてきた。
「永斗君!七奈ちゃんのお見舞い?わざわざ遠くからよくくるねぇ!一時退院した意味なさそうだけど」
「そうなんですよ。俺、退院しなくても良かったんですけど、、、」
宮下さんは呆れたように笑っていた。
「はいはい。仲良くていいね!でも、良かったね、二人はお互い助けあって闘病出来て。一人で戦うより、二人で戦えた方が心強いもんね。七奈ちゃんも、永斗君がいるから頑張れるんだよ」
「俺、病気で塞ぎこんでたのを七奈に助けられたんで、一生かけてもこの恩を七奈に返していきたいんです。七奈が辛い時は必ず俺が七奈を笑わせます」
「そうだね、、、永斗君なら七奈ちゃんをすぐに笑顔にさせる事ができるかもね」
本当は宮下さんに言われる程自信はなかったが、けれど俺は本当にずっと七奈に笑っていて欲しかった。
「永斗!?」 七奈が診察を終えて丁度戻ってきた。俺に気がついた七奈が、こっちに向かって走ってきた。
「こら!走らない!」と宮下さんに怒られて、七奈は早足で俺の方へきた。
「七奈、今日は何する?」
俺が聞くと、七奈が笑って俺に言った。
「新しい本買ったの!一緒に読もう!」
「一緒に小説読むのはむずくない?」
「ああ、じゃあ音読する?」 「いや、だるっ!」
「一ページ毎に交代すれば、いけるくない?」
「だるいって、喉カラカラになるよ」
そんなくだらない話しをしながら、俺達は七奈の病室へ行った。
"明日は何する?" "今日は何する?"
俺は七奈がしたい事を全て叶えてあげたかった。そんな毎日を重ねて、貴重な時間を過ごして行きたかった。
自分が病気の事で落ち込んでいる時に、美優に同級生達との楽しい写真のアルバムをプレゼントされて、思わず怒って『もうこないで』と言ってしまった事、後悔しているが、同じ歳の子が元気に学校に行っている姿を見る事が、今はどうしても、辛いと言った。
俺はただ、話しを聞いて「そっか、、、」としか言えなかった。
「永斗はさ、、、怖くないの?病気で死ぬ事」
あまりにも七奈がストレートに聞いてくるので、俺は返事に少し困った。
「、、、怖いよ、めちゃくちゃ。自分がこの世からいなくなって、どうなるかもわからないし、皆んなにいつか忘れ去られてしまうのも、怖い」
「、、、そうだよね」
「でも、そんな怖い事ばっかり考えて、今の時間を無駄にするのも嫌だから。せめて生きている間は、希望を持っていたい。七奈から借りた『時間泥棒キキ』を読んでそう思った」
七奈が少しだけ笑った。
「私も大好きだよ、あの本、、、」
「七奈は絶対に死なないから、一生懸命生きる事を考えよう。だって、ラッキーセブンなんだから」
「そうだね。私はラッキーセブンだった」
「じゃあ、俺と明日何をするか一緒に考えよう。七奈は明日何したい?」
七奈は少し考えて言った。
「、、、ウノ」
「どんだけ、ウノ好きなの?」
思わず俺は笑った。
俺は七奈とのささやかな一日を大切に生きていきたかった。大きな幸せがなくても、ただ繰り返される単調で何でもない毎日を生きていたかった。
「私、この病気になって辛い事ばっかりだったけど、永斗と出会えた事は本当にラッキーだった、、、。
永斗、、、私と出会ってくれてありがとう」
七奈は目を真っ赤にして笑いながら俺に言った。その顔を見た瞬間に、こんなに愛しく思える人はいないと思った。
俺は七奈に近づくと、七奈の唇に触れた。
「永斗、私の事好きなの?」
七奈がびっくりした顔をして聞いてきた。
「言わなくてもわかるでしょ?」
「わかんないって!超能力があるわけじゃないんだから!」
「、、、好きだよ。七奈は、、、?」
七奈は少し黙ってから笑って言った。
「言わなくてもわかるでしょ?」
俺達は確かにブラックホールのような暗闇の中を二人で生きていた。
けれど、何故か俺は幸せだった────。
普通に元気に生きていたあの頃よりも、毎日がキラキラと時間が輝いて眩しい時を過ごしていた。
いつも幸せだったわけではない。薬の副作用で、高熱が出たり、頭が死ぬほど痛かったり、吐きまくった日もあった。
けれどその度に、七奈が側にいてただ寄り添ってくれた。俺は七奈が側にいればどんな事も耐えられる気がしていた。
俺が一時退院した時も、すぐに七奈に会いに病院へ行った。一分一秒でも、七奈と一緒にいたかった。
俺が七奈のお見舞いに行くと、ナースステーションに宮下さんがいて、声をかけてきた。
「永斗君!七奈ちゃんのお見舞い?わざわざ遠くからよくくるねぇ!一時退院した意味なさそうだけど」
「そうなんですよ。俺、退院しなくても良かったんですけど、、、」
宮下さんは呆れたように笑っていた。
「はいはい。仲良くていいね!でも、良かったね、二人はお互い助けあって闘病出来て。一人で戦うより、二人で戦えた方が心強いもんね。七奈ちゃんも、永斗君がいるから頑張れるんだよ」
「俺、病気で塞ぎこんでたのを七奈に助けられたんで、一生かけてもこの恩を七奈に返していきたいんです。七奈が辛い時は必ず俺が七奈を笑わせます」
「そうだね、、、永斗君なら七奈ちゃんをすぐに笑顔にさせる事ができるかもね」
本当は宮下さんに言われる程自信はなかったが、けれど俺は本当にずっと七奈に笑っていて欲しかった。
「永斗!?」 七奈が診察を終えて丁度戻ってきた。俺に気がついた七奈が、こっちに向かって走ってきた。
「こら!走らない!」と宮下さんに怒られて、七奈は早足で俺の方へきた。
「七奈、今日は何する?」
俺が聞くと、七奈が笑って俺に言った。
「新しい本買ったの!一緒に読もう!」
「一緒に小説読むのはむずくない?」
「ああ、じゃあ音読する?」 「いや、だるっ!」
「一ページ毎に交代すれば、いけるくない?」
「だるいって、喉カラカラになるよ」
そんなくだらない話しをしながら、俺達は七奈の病室へ行った。
"明日は何する?" "今日は何する?"
俺は七奈がしたい事を全て叶えてあげたかった。そんな毎日を重ねて、貴重な時間を過ごして行きたかった。



