その日も、俺と七奈はティールームでウノをしていた。途中まで、面会に来た俺の親父が混ざって一緒にやっていたが、親父が帰っても俺達はジュースをかけてウノをしていた。
「は?え?また永斗の勝ち?嘘でしょ?ずるくない?どんだけ強いの!」
俺が三連勝すると、七奈が信じられないような顔で俺を見てきた。
「これで、もう決着だな!はい!七奈の奢り!」
「ずるい!ずるい!先輩のくせに手加減とかないんだ!大人げないよ」
「何が先輩だよ、七奈が俺に後輩らしく振る舞った事なんてないからね」
「あーね?言われてみればないかもね。同い年の気分でいたよ」
そんな事を言いながら遊んでいると、制服を着た男女が、七奈の方へやって来た。
「七奈〜!やっほー何やってるの?」
女の子の方が七奈に話しかけると、七奈が嬉しそうに振り向いた。
「美優!翔也!来てくれたんだ」
どうやら、七奈の高校の友達だったらしい。
「ここに入院してる、永斗!仲良くなったんだ」
七奈が俺を紹介すると、二人は軽く会釈した。
「じゃあ、俺は行くから、ごゆっくり」
俺が席を立つと、七奈が不満げに言った。
「勝ち逃げずるい!」
「またやろうぜ、どうせ暇なんだから」
俺が言うと七奈が「明日ね!」と言った。
翔也、と言われたその男とすれ違う時、俺はあからさまに敵意のような視線を感じた。
気のせいかと思ったが、それは気のせいじゃなかった。
その後すぐに、俺は翔也が七奈の事を好きなんだと気がついた。翔也は一人でも、七奈のお見舞いにきて、屋上で二人が話している姿を何度も見た。俺は二人が付き合っているのかもしれないと思ったし、七奈に直接尋ねる事はなかったが、親密そうな関係に見えた。
その日は朝から梅雨空で、雨が降り続いていた。俺は今日も七奈とティールームで会う約束をしていたので待っていたが、七奈は姿を現さなかった。俺は心配になって携帯にメッセージを送ったが、その返事もなく、部屋に戻ろうかと思ったが、気になって七奈の病室の前まで行った。七奈が入院していた部屋は個室で、俺は部屋の前まで行くと少し緊張した。
ノックをすると「はい、、、」と七奈の珍しく元気のない声が聞こえた。
「俺だけど、どうした?入るぞ?」
部屋に入ると、七奈は一人でシーツに包まって目を真っ赤にしていた。俺はびっくりして、すぐに七奈の側に行った。
「どうしたんだよ、何かあった、、、?」
俺が聞くと七奈は、小さな声で言った。
「私、手術しないと死んじゃうんだって」
七奈はそう言って、しゃくりあげるように泣いた。
「その手術も、、、成功する確率が低いって、、、私、怖いよ、、、」
あんなに怒りで病気に打ち勝つと、前向きに闘病を続けていた七奈が、初めて見せた弱さだった。
この世界で、七奈の気持ちが痛い程わかるのは、俺しかいないと思った。
絶望の淵に立たされるような恐怖も、何故自分がこんな病気に侵されているのか、わからないやるせなさも、全て手に取るようにわかった。
七奈が今感じている、苦しみや悲しみごと俺は抱きしめたかった。俺は咄嗟に七奈を抱きしめると、七奈は俺の腕の中で泣いていた。
どんな言葉をかけた所で、七奈の不安や悲しみを無くす事は出来なかった。ただ、一緒にその苦しみを共有する事だけは出来た。
七奈が苦しければ、俺も苦しい。七奈が悲しければ、俺も悲しい。そうしているうちに、お互いの辛さが少しだけ楽になるような気がしていた。
「は?え?また永斗の勝ち?嘘でしょ?ずるくない?どんだけ強いの!」
俺が三連勝すると、七奈が信じられないような顔で俺を見てきた。
「これで、もう決着だな!はい!七奈の奢り!」
「ずるい!ずるい!先輩のくせに手加減とかないんだ!大人げないよ」
「何が先輩だよ、七奈が俺に後輩らしく振る舞った事なんてないからね」
「あーね?言われてみればないかもね。同い年の気分でいたよ」
そんな事を言いながら遊んでいると、制服を着た男女が、七奈の方へやって来た。
「七奈〜!やっほー何やってるの?」
女の子の方が七奈に話しかけると、七奈が嬉しそうに振り向いた。
「美優!翔也!来てくれたんだ」
どうやら、七奈の高校の友達だったらしい。
「ここに入院してる、永斗!仲良くなったんだ」
七奈が俺を紹介すると、二人は軽く会釈した。
「じゃあ、俺は行くから、ごゆっくり」
俺が席を立つと、七奈が不満げに言った。
「勝ち逃げずるい!」
「またやろうぜ、どうせ暇なんだから」
俺が言うと七奈が「明日ね!」と言った。
翔也、と言われたその男とすれ違う時、俺はあからさまに敵意のような視線を感じた。
気のせいかと思ったが、それは気のせいじゃなかった。
その後すぐに、俺は翔也が七奈の事を好きなんだと気がついた。翔也は一人でも、七奈のお見舞いにきて、屋上で二人が話している姿を何度も見た。俺は二人が付き合っているのかもしれないと思ったし、七奈に直接尋ねる事はなかったが、親密そうな関係に見えた。
その日は朝から梅雨空で、雨が降り続いていた。俺は今日も七奈とティールームで会う約束をしていたので待っていたが、七奈は姿を現さなかった。俺は心配になって携帯にメッセージを送ったが、その返事もなく、部屋に戻ろうかと思ったが、気になって七奈の病室の前まで行った。七奈が入院していた部屋は個室で、俺は部屋の前まで行くと少し緊張した。
ノックをすると「はい、、、」と七奈の珍しく元気のない声が聞こえた。
「俺だけど、どうした?入るぞ?」
部屋に入ると、七奈は一人でシーツに包まって目を真っ赤にしていた。俺はびっくりして、すぐに七奈の側に行った。
「どうしたんだよ、何かあった、、、?」
俺が聞くと七奈は、小さな声で言った。
「私、手術しないと死んじゃうんだって」
七奈はそう言って、しゃくりあげるように泣いた。
「その手術も、、、成功する確率が低いって、、、私、怖いよ、、、」
あんなに怒りで病気に打ち勝つと、前向きに闘病を続けていた七奈が、初めて見せた弱さだった。
この世界で、七奈の気持ちが痛い程わかるのは、俺しかいないと思った。
絶望の淵に立たされるような恐怖も、何故自分がこんな病気に侵されているのか、わからないやるせなさも、全て手に取るようにわかった。
七奈が今感じている、苦しみや悲しみごと俺は抱きしめたかった。俺は咄嗟に七奈を抱きしめると、七奈は俺の腕の中で泣いていた。
どんな言葉をかけた所で、七奈の不安や悲しみを無くす事は出来なかった。ただ、一緒にその苦しみを共有する事だけは出来た。
七奈が苦しければ、俺も苦しい。七奈が悲しければ、俺も悲しい。そうしているうちに、お互いの辛さが少しだけ楽になるような気がしていた。



