季節はすっかり秋へと移り変わっていた。
暑かった夏が過ぎ、いつのまにか蝉もいなくなり富士山の麓は冬の訪れを知らせるように風が冷たかった。
久しぶりに、この大きな富士山を見て、私はやっと帰ってこれたような懐かしい気持ちでいた。そして、胸がしめつけられるように、緊張していた。
永斗君に会って、何と言えばいいかわからなかったし、もし、拒否されたとしてもそれはそれで仕方ない。
ただ、このまま会わないで別れてしまうのは耐えられなかった。
電車とバスを乗り継いで、キャンプ場の看板がやっと見えた頃、私は一度深呼吸をした。
看板通りに曲がると、懐かしい廃校が目に入ってくる。初めて来た時は怖かった廃校が、懐かしくて仕方なかった。
胸がドキドキしていた。怖さもあったが、単純に永斗君に会える事が嬉しかった。
私が、廃校の方へ歩いていくと若い男の子がいた、、、。
多分、新しいバイトの子かもしれないと思った。その子は私を見ると「いらっしゃいませ」
と笑顔で言った。
宿泊客だと間違えられたようで、私は首を振った。
「あの、すみません。私、客じゃなくてここで働いている、一ノ瀬 永斗君に用事があってきたんですが、、、」
その子はぱっと笑顔になった。
「あっ!永斗さんの知り合い?」
「そうです。、、、友人なんですが、、、」
私が言うと、その子は少し困った顔をした。
「あっ、、、いや。永斗さんと連絡繋がりませんか?永斗さん、八月いっぱいで、ここのキャンプ場辞めてますよ?」
──────、、、?
私は驚き過ぎて声がでなかった。
辞めた、、、?しかも八月いっぱいって、私と同時期だった。私は心臓がどくどくと激しく鳴っているのを感じた。
「え、、、?何で?あの岸さんは?」
「あー、岸さんも腰やっちゃって、まだ療養中なんですよ」
意味がわからなかった。永斗君は仕事を辞めた話しなんていっさいしていなかった。
「あの、じゃあ、永斗君は今何処にいるんですか、、、?」
私は怖くて自然と声が震えてしまった。
男の子は、私の様子が少しおかしい事に気がついて、私を心配するように気を使って話してくれた。
「聞いてませんか?永斗さん、ずっと脳の病気で闘病してて、あんまり病気の状態がよくないから入院するって、、、」
目の前から何かが、ガラガラと崩れおちそうな感覚に陥った。
永斗君が、脳の病気、、、?
私はキャンプ場での永斗君を思い出していた。
いつも元気で明るくて、私に優しく笑いかけていた。とても病人みたいに見えなかった。
私は、そんな話しを聞いても到底信じる事ができなかった。
「でも、元気でしたよね?いつも明るくて、とても病気になんて見えなかった、、、」
「あー、、、でも、無理してたっていうか、俺はたまにヘルプで手伝いにきてるくらいだったんですけど、たまにしんどそうにしてましたよ。痛み止めとか、吐き気どめ飲んで、しのいでるかんじで」
嘘でしょ?無理してた?私にわからないように?
「あの、、、何処の病院に入院してるんですか?永斗君、、、何処にいるんですか?」
私が聞くと、男の子は考えこむようにしていた。
「確か、、、東京に脳神経外科に強い病院があるって、わざわざ通ってました。そこじゃないかな?」
私はすぐにぴんときてしまった、、、。
それって、、、私と同じ病院じゃないの?
「すみません!ありがとうございます!」
私はそう言って、すぐにバス停に走った。
バスの時刻表をみたら、次のバスまで三十分もあった。私は気持ちがせいて待っていられなかった。宮下さんに電話してみたが、仕事中なのか出てくれなかった。
こんな偶然あるんだろうか?永斗君も脳の病気で、同じ病院に入院してるなんて、、、。
じゃあこの間検診に行った時、永斗君はあの病院にいたの?
宮下さんは知っていたんじゃないの?あのキャンプ場へよく行っていたし、永斗君の事も知っていたはずだ。
どうして私に言ってくれなかったんだろうか?
永斗君は何で病気の事を隠していたの?
私は頭の中が混乱してぐるぐるとしてきた。
そしてまた頭の中に、白いもやみたいなものがかかっている気がしていた。
永斗君は病気だから、自分の事を好きになるなって言ったの、、、?
休みのたびに何処かへ行っていたのは通院していたの?
永斗君、、、何も教えてくれてないじゃん、、、。
暑かった夏が過ぎ、いつのまにか蝉もいなくなり富士山の麓は冬の訪れを知らせるように風が冷たかった。
久しぶりに、この大きな富士山を見て、私はやっと帰ってこれたような懐かしい気持ちでいた。そして、胸がしめつけられるように、緊張していた。
永斗君に会って、何と言えばいいかわからなかったし、もし、拒否されたとしてもそれはそれで仕方ない。
ただ、このまま会わないで別れてしまうのは耐えられなかった。
電車とバスを乗り継いで、キャンプ場の看板がやっと見えた頃、私は一度深呼吸をした。
看板通りに曲がると、懐かしい廃校が目に入ってくる。初めて来た時は怖かった廃校が、懐かしくて仕方なかった。
胸がドキドキしていた。怖さもあったが、単純に永斗君に会える事が嬉しかった。
私が、廃校の方へ歩いていくと若い男の子がいた、、、。
多分、新しいバイトの子かもしれないと思った。その子は私を見ると「いらっしゃいませ」
と笑顔で言った。
宿泊客だと間違えられたようで、私は首を振った。
「あの、すみません。私、客じゃなくてここで働いている、一ノ瀬 永斗君に用事があってきたんですが、、、」
その子はぱっと笑顔になった。
「あっ!永斗さんの知り合い?」
「そうです。、、、友人なんですが、、、」
私が言うと、その子は少し困った顔をした。
「あっ、、、いや。永斗さんと連絡繋がりませんか?永斗さん、八月いっぱいで、ここのキャンプ場辞めてますよ?」
──────、、、?
私は驚き過ぎて声がでなかった。
辞めた、、、?しかも八月いっぱいって、私と同時期だった。私は心臓がどくどくと激しく鳴っているのを感じた。
「え、、、?何で?あの岸さんは?」
「あー、岸さんも腰やっちゃって、まだ療養中なんですよ」
意味がわからなかった。永斗君は仕事を辞めた話しなんていっさいしていなかった。
「あの、じゃあ、永斗君は今何処にいるんですか、、、?」
私は怖くて自然と声が震えてしまった。
男の子は、私の様子が少しおかしい事に気がついて、私を心配するように気を使って話してくれた。
「聞いてませんか?永斗さん、ずっと脳の病気で闘病してて、あんまり病気の状態がよくないから入院するって、、、」
目の前から何かが、ガラガラと崩れおちそうな感覚に陥った。
永斗君が、脳の病気、、、?
私はキャンプ場での永斗君を思い出していた。
いつも元気で明るくて、私に優しく笑いかけていた。とても病人みたいに見えなかった。
私は、そんな話しを聞いても到底信じる事ができなかった。
「でも、元気でしたよね?いつも明るくて、とても病気になんて見えなかった、、、」
「あー、、、でも、無理してたっていうか、俺はたまにヘルプで手伝いにきてるくらいだったんですけど、たまにしんどそうにしてましたよ。痛み止めとか、吐き気どめ飲んで、しのいでるかんじで」
嘘でしょ?無理してた?私にわからないように?
「あの、、、何処の病院に入院してるんですか?永斗君、、、何処にいるんですか?」
私が聞くと、男の子は考えこむようにしていた。
「確か、、、東京に脳神経外科に強い病院があるって、わざわざ通ってました。そこじゃないかな?」
私はすぐにぴんときてしまった、、、。
それって、、、私と同じ病院じゃないの?
「すみません!ありがとうございます!」
私はそう言って、すぐにバス停に走った。
バスの時刻表をみたら、次のバスまで三十分もあった。私は気持ちがせいて待っていられなかった。宮下さんに電話してみたが、仕事中なのか出てくれなかった。
こんな偶然あるんだろうか?永斗君も脳の病気で、同じ病院に入院してるなんて、、、。
じゃあこの間検診に行った時、永斗君はあの病院にいたの?
宮下さんは知っていたんじゃないの?あのキャンプ場へよく行っていたし、永斗君の事も知っていたはずだ。
どうして私に言ってくれなかったんだろうか?
永斗君は何で病気の事を隠していたの?
私は頭の中が混乱してぐるぐるとしてきた。
そしてまた頭の中に、白いもやみたいなものがかかっている気がしていた。
永斗君は病気だから、自分の事を好きになるなって言ったの、、、?
休みのたびに何処かへ行っていたのは通院していたの?
永斗君、、、何も教えてくれてないじゃん、、、。



