夜になって、私は翔也のテントの所まで行った。翔也は、一人で焚き火をしていた。
「七奈、こっち座って」翔也が私に椅子を用意してくれたので、私はそこに腰をかけた。
「翔也は昔からキャンプ好きだったよね」
「そうだね。サークルの奴らとよく行ったよな、
七奈は頑なにいかなかったけどな」
「そうだね。テントで寝るとか絶対に嫌だったな。今じゃ大好きだけど」
「人間って急に変わるもんだな」
翔也が、薪を焚べると炎が更に大きくなった。
「お〜!凄いね」私が炎を眺めていると、翔也が私にコーヒーをくれた。
「標高高いからかな、やっぱり夜は少し冷えるよな」
「そうだね、夏が終わるね、、、」
自分で言って切なくなってきた。このキャンプ場を去るのが、私は寂しかった。
「七奈は、夏休み終わったらどうするの?また就活するの?」
翔也の質問に、私は悩んでしまった。夏が終わったら私はどうするんだろう、、、。
「とりあえず、何でもいいから内定もらう為に、面接受けるのは辞める。自分が働きたいってピンとくる会社で働きたい」
「そっかあ〜まあ、ぼちぼちやっていけばいいよ」
その後、私達は他愛もない話しをしながら、焚き火をした。火を囲んでいると素直になれるのか、今まで口に出せないような話しもする事が出来た。
私達は、本音で心のうちを話せている気がした。
焚き火の薪がなくなって、焚き火の炎が小さくなると、もう消灯の時間に近づいていた。皆んなが眠る支度を始める頃、私は翔也に告げた。
「翔也、私はやっぱり翔也とはやり直さない」
もう、決めていた。
この気持ちは変わらないから、私は早く翔也に伝えようと思っていた。
「俺の事、もう信用できない?」
翔也が傷ついたような瞳で私を見た。そんな顔を見ると、私は胸が痛かった。
「そんな事ないよ。いや?ちょっと信用できない気持ちはあるけど、別にそれが理由じゃない」
「じゃあ何?」
最後の火が、小さく揺ら揺らと燃えていた。
あと少ししたら、全ての火は消えてただの灰になるだけだ。
「私、もう翔也の事、恋人として好きじゃない」
私が告げると、翔也の瞳が動揺しているのが見えた。自分でも、はっきりと言い過ぎている事はわかっていた。
『これでいいの?』胸を張って自信を持って思えないからこそ、はっきり告げた。
翔也は、暫く黙っていたが重い口を開いた。
「あの人が好きなの?」
翔也が悲しそうな顔で私を見た。
「あの人って、、、」
「ここで一緒に働いてる人、、、」
どうして翔也はわかるんだろう。何も言っていないのに、私の好きな人がわかるんだろうか。
「、、、好き。永斗君が好き」
口に出した途端、私はそれが本当の現実になった気がした。両思いになる事はなくても、私は永斗君が好きで仕方なかった────、、、。
翔也は小さな長い長いため息をゆっくり吐いた。そして両手で顔を覆った。
そんな翔也の姿を見て、私は慰める事も優しく声をかける事も、ましてや抱きしめる事も出来なかった。
しばらく、顔を覆っていた翔也が一度だけ鼻を啜って顔をあげた。そして、私の方を向いて言った。
「その今の七奈の気持ちを、相手にちゃんと伝えてあげて」
「でも、、、永斗君は好きな人がいて、伝えても、、、」
と言いかけた所で、翔也が真剣な顔で私に言った。
「そんな事はどうでもいいから、早く伝えるんだ。後悔する前に。自分の好きな気持ちを相手に伝えるんだよ。本気の気持ちは必ず相手の心に響いて届くから」
何故翔也が私の恋を応援してくれるのか、私にはその時、全くわからなかった。
ただ、翔也は真面目な顔をして繰り返し私に言った「自分の気持ちを伝えるんだ」と、、、。
焚き火を見ると、いつのまにか火は消えて真っ暗な灰になっていた────、、、。
「七奈、こっち座って」翔也が私に椅子を用意してくれたので、私はそこに腰をかけた。
「翔也は昔からキャンプ好きだったよね」
「そうだね。サークルの奴らとよく行ったよな、
七奈は頑なにいかなかったけどな」
「そうだね。テントで寝るとか絶対に嫌だったな。今じゃ大好きだけど」
「人間って急に変わるもんだな」
翔也が、薪を焚べると炎が更に大きくなった。
「お〜!凄いね」私が炎を眺めていると、翔也が私にコーヒーをくれた。
「標高高いからかな、やっぱり夜は少し冷えるよな」
「そうだね、夏が終わるね、、、」
自分で言って切なくなってきた。このキャンプ場を去るのが、私は寂しかった。
「七奈は、夏休み終わったらどうするの?また就活するの?」
翔也の質問に、私は悩んでしまった。夏が終わったら私はどうするんだろう、、、。
「とりあえず、何でもいいから内定もらう為に、面接受けるのは辞める。自分が働きたいってピンとくる会社で働きたい」
「そっかあ〜まあ、ぼちぼちやっていけばいいよ」
その後、私達は他愛もない話しをしながら、焚き火をした。火を囲んでいると素直になれるのか、今まで口に出せないような話しもする事が出来た。
私達は、本音で心のうちを話せている気がした。
焚き火の薪がなくなって、焚き火の炎が小さくなると、もう消灯の時間に近づいていた。皆んなが眠る支度を始める頃、私は翔也に告げた。
「翔也、私はやっぱり翔也とはやり直さない」
もう、決めていた。
この気持ちは変わらないから、私は早く翔也に伝えようと思っていた。
「俺の事、もう信用できない?」
翔也が傷ついたような瞳で私を見た。そんな顔を見ると、私は胸が痛かった。
「そんな事ないよ。いや?ちょっと信用できない気持ちはあるけど、別にそれが理由じゃない」
「じゃあ何?」
最後の火が、小さく揺ら揺らと燃えていた。
あと少ししたら、全ての火は消えてただの灰になるだけだ。
「私、もう翔也の事、恋人として好きじゃない」
私が告げると、翔也の瞳が動揺しているのが見えた。自分でも、はっきりと言い過ぎている事はわかっていた。
『これでいいの?』胸を張って自信を持って思えないからこそ、はっきり告げた。
翔也は、暫く黙っていたが重い口を開いた。
「あの人が好きなの?」
翔也が悲しそうな顔で私を見た。
「あの人って、、、」
「ここで一緒に働いてる人、、、」
どうして翔也はわかるんだろう。何も言っていないのに、私の好きな人がわかるんだろうか。
「、、、好き。永斗君が好き」
口に出した途端、私はそれが本当の現実になった気がした。両思いになる事はなくても、私は永斗君が好きで仕方なかった────、、、。
翔也は小さな長い長いため息をゆっくり吐いた。そして両手で顔を覆った。
そんな翔也の姿を見て、私は慰める事も優しく声をかける事も、ましてや抱きしめる事も出来なかった。
しばらく、顔を覆っていた翔也が一度だけ鼻を啜って顔をあげた。そして、私の方を向いて言った。
「その今の七奈の気持ちを、相手にちゃんと伝えてあげて」
「でも、、、永斗君は好きな人がいて、伝えても、、、」
と言いかけた所で、翔也が真剣な顔で私に言った。
「そんな事はどうでもいいから、早く伝えるんだ。後悔する前に。自分の好きな気持ちを相手に伝えるんだよ。本気の気持ちは必ず相手の心に響いて届くから」
何故翔也が私の恋を応援してくれるのか、私にはその時、全くわからなかった。
ただ、翔也は真面目な顔をして繰り返し私に言った「自分の気持ちを伝えるんだ」と、、、。
焚き火を見ると、いつのまにか火は消えて真っ暗な灰になっていた────、、、。



