僕は待つ、君の頭の片隅で

 目を開けると見覚えのある格子状の柄の天井が目に飛びこんできた。
 
 、、、ここは、、、。
と思った瞬間頭にズーンと鈍い痛みがはしった。
そこへ看護師がやってきた。

 「目、覚めた?気分はどう?」

、、、死ねなかった、、、。
返事も出来ずに私はすぐにそう思った。
私が一人ベッドの上で、呆然としていると、
病室のドアが開いて、見覚えのある人が現れた。

 「宮下さん、、、」

宮下さんは、私が病気になった高校一年生の時から担当してくれていた看護師さんで、退院後は年が近い事からプライベートでも仲良くしてもらっていた。
宮下さんの顔を見ると完全に怒っている顔をしていた。
 私は入院中何度も宮下さんに怒られた事があるので、表情でどれくらい宮下さんが怒っているかわかっていた。まさかここが、宮下さんのいる病院だと思わなかった。
 この大学病院は脳外科が有名で、全国から患者が集まってくるような大きな病院だった。

 パシッ────

 私の頬に鋭い痛みが走った。
もう一人いた看護師が慌てて、宮下さんを止めた。

「宮下さん!何やってるの!ちょっと虐待案件!」

「いいわよ!事故報ならいくらでも書いてやるわよ!いくらでも殴ってやりたい気分なんだから!!」

そう言って私に本当にまた殴りかかろうとしてくるので、私は思わず目を瞑った。

 「何やってんのよあんたは!!」

私がビクビクしながら、薄目を開けると宮下さんが自分の手をあげながら、涙目になっていた。
その顔を見て私は鼻の奥が熱くなり涙が込み上げてきた。

 「忘れたの!?どれだけの奇跡がおきて、自分の命が助かったのか、もう忘れたの!?」

宮下さんが、私のシーツに手を振り降ろして泣いていた。

「宮下さん、、、」

「死にたいくらいに辛いなら言いなさいよ!私に何で相談しないのよ、、、」

宮下さんが私を抱きしめた。その力が強くて私は余計に涙が溢れてきた。
何故か自分の心の奥底にあった重い鉛みたいな物が、溶け出すような感覚がした。
そして、私は全く感じていなかった罪悪感のようなものが一気に溢れてきた、、、。

 あの時、私の命を救おうと、どれだけの医療スタッフの人達が一生懸命頑張ってくれたんだろう。私の命は皆んなが必死に繋ぎ留めてくれた命だったはずなのに、、、。
 どうして私は今その命を投げ出したいと思っているんだろう───、、、。