私達は、自転車を借りて山中湖を半周走る事にしていた。
「七奈ちゃん〜大丈夫〜?自転車乗れないとか言わないよね」
ふらふらしている、私に永斗君が笑いながら声をかけてくる。そういえば自転車なんて子供の時以来乗っていなかったので、久しぶり過ぎて私は足ががくがくしていた。
「大丈夫〜久しぶりで慣れないだけで、乗っているうちに慣れるはず、、、」
「大丈夫かよ〜転ばないでよ〜」
最初は不安定だった私も、少し乗っているうちにだんだん慣れてきて、スムーズにペダルを回す事が出来た。真夏で強い陽射しがさしていたが、湖から吹く心地よい風が身体を通り抜けて、気持ちが良かった。揺れている濃い緑の木々の葉っぱの作る影が、永斗君の背中にちらちらと落とされて綺麗にきらきら光って見えた。
私はそんな永斗君の背中をずっと見ていたいと思った。私は思わず『永斗君、好きだよ』と叫びたい衝動にかられた。
短期間でこんなに永斗君に惹かれている事に私は驚いていた。初めは翔也に浮気をされて、恋愛なんてする気もなかった。
だから『俺の事を好きにならない事』と永斗君に言われても、何とも思わなかった。けれど、私の頭の中の何処かが急激に彼を求めていた。
こんな気持ちは生まれて初めてだった。
キャンプ場に戻って、火が沈む頃、私は永斗君と一緒に管理棟の前に机を出して、今日買ったオイルランタンに火を灯した。
ランタンに火をつける前に私は手を合わせて一礼をした。
「七奈ちゃん、何なのそれ。何の儀式なの?」
永斗君が不思議そうな顔をして私に聞いてきた。
「え?点火式だけど?」
「じゃなくて、何で手合わせて祈ってるの?」
「あぁ、、、やらない?うちのお母さんってちょっと変わってて、何か新しい大きい物とか、お気に入りの物を買った時には、こうやって手を合わせて一礼するの。昔からやってたから、私もつい癖になってたんだよね?」
「へぇ、どんな意味があるんだろう」
「なんか、せっかく自分が気に入って買った物だから、これから長く使えるようにお願いしてるって言ってたかな?物との出会いも大切だから大事にしたいって」
永斗君は納得したように頷いた。母は昔から信心深い所があった。特に何がなくても、氏神様に参拝に行ったりしていた。
私が大きな病気をした事で、特に神様に縋りたい気持ちになった事があったのかもしれない。
「へぇ、それは凄いね。じゃあ俺もお願いしておこう」
永斗君がそう言って手を合わせて一礼していた。その後私はランタンのホヤをあげて、マッチで火をつけた。ランタンの中に明るいオレンジ色の光が灯った。
「わぁ〜綺麗だね、、、」
揺らめく炎を見ながら私が呟いた。
「無事、点火おめでとうございます」
点火式らしく永斗君が言うので、私は笑ってしまった。
「永斗君、ランタンの使い方教えてくれてありがとね。最初難しそうで心配だったんだ」
「そんなに難しくなかったでしょ?慣れちゃえば全然平気だよ」
「うん!もう一人で出来るよ」
私と永斗君はしばらくランタンの炎を二人で見ていた。今日は、本当に幸せな一日だった。
永斗君とデートができて、ラッキーな一日だった。
「ねぇねぇ、永斗君、今日はありがとう。めちゃくちゃ楽しい一日になった。忘れられないくらいに良い一日だった」
「俺も楽しかったよ。こちらこそありがとう」
永斗君の言葉一つ一つが、私の胸にじんわり染み込んでいく。
確実に永斗君は、私に大きな幸せを沢山くれていた。
「お〜良いランタン買ったなぁ」
後ろから仕事が終わった岸さんが声をかけてきた。
「岸さん、めちゃくちゃ綺麗じゃないですか!?悩みに悩んでこれにして良かったです」
「うん!明るさも申し分ないしな!よかったね。七奈ちゃん、これ。この間のスイミングスクールの子達からお礼の手紙届いてたよ」
岸さんが私に白い封筒を渡して帰っていった。
「七奈ちゃん〜大丈夫〜?自転車乗れないとか言わないよね」
ふらふらしている、私に永斗君が笑いながら声をかけてくる。そういえば自転車なんて子供の時以来乗っていなかったので、久しぶり過ぎて私は足ががくがくしていた。
「大丈夫〜久しぶりで慣れないだけで、乗っているうちに慣れるはず、、、」
「大丈夫かよ〜転ばないでよ〜」
最初は不安定だった私も、少し乗っているうちにだんだん慣れてきて、スムーズにペダルを回す事が出来た。真夏で強い陽射しがさしていたが、湖から吹く心地よい風が身体を通り抜けて、気持ちが良かった。揺れている濃い緑の木々の葉っぱの作る影が、永斗君の背中にちらちらと落とされて綺麗にきらきら光って見えた。
私はそんな永斗君の背中をずっと見ていたいと思った。私は思わず『永斗君、好きだよ』と叫びたい衝動にかられた。
短期間でこんなに永斗君に惹かれている事に私は驚いていた。初めは翔也に浮気をされて、恋愛なんてする気もなかった。
だから『俺の事を好きにならない事』と永斗君に言われても、何とも思わなかった。けれど、私の頭の中の何処かが急激に彼を求めていた。
こんな気持ちは生まれて初めてだった。
キャンプ場に戻って、火が沈む頃、私は永斗君と一緒に管理棟の前に机を出して、今日買ったオイルランタンに火を灯した。
ランタンに火をつける前に私は手を合わせて一礼をした。
「七奈ちゃん、何なのそれ。何の儀式なの?」
永斗君が不思議そうな顔をして私に聞いてきた。
「え?点火式だけど?」
「じゃなくて、何で手合わせて祈ってるの?」
「あぁ、、、やらない?うちのお母さんってちょっと変わってて、何か新しい大きい物とか、お気に入りの物を買った時には、こうやって手を合わせて一礼するの。昔からやってたから、私もつい癖になってたんだよね?」
「へぇ、どんな意味があるんだろう」
「なんか、せっかく自分が気に入って買った物だから、これから長く使えるようにお願いしてるって言ってたかな?物との出会いも大切だから大事にしたいって」
永斗君は納得したように頷いた。母は昔から信心深い所があった。特に何がなくても、氏神様に参拝に行ったりしていた。
私が大きな病気をした事で、特に神様に縋りたい気持ちになった事があったのかもしれない。
「へぇ、それは凄いね。じゃあ俺もお願いしておこう」
永斗君がそう言って手を合わせて一礼していた。その後私はランタンのホヤをあげて、マッチで火をつけた。ランタンの中に明るいオレンジ色の光が灯った。
「わぁ〜綺麗だね、、、」
揺らめく炎を見ながら私が呟いた。
「無事、点火おめでとうございます」
点火式らしく永斗君が言うので、私は笑ってしまった。
「永斗君、ランタンの使い方教えてくれてありがとね。最初難しそうで心配だったんだ」
「そんなに難しくなかったでしょ?慣れちゃえば全然平気だよ」
「うん!もう一人で出来るよ」
私と永斗君はしばらくランタンの炎を二人で見ていた。今日は、本当に幸せな一日だった。
永斗君とデートができて、ラッキーな一日だった。
「ねぇねぇ、永斗君、今日はありがとう。めちゃくちゃ楽しい一日になった。忘れられないくらいに良い一日だった」
「俺も楽しかったよ。こちらこそありがとう」
永斗君の言葉一つ一つが、私の胸にじんわり染み込んでいく。
確実に永斗君は、私に大きな幸せを沢山くれていた。
「お〜良いランタン買ったなぁ」
後ろから仕事が終わった岸さんが声をかけてきた。
「岸さん、めちゃくちゃ綺麗じゃないですか!?悩みに悩んでこれにして良かったです」
「うん!明るさも申し分ないしな!よかったね。七奈ちゃん、これ。この間のスイミングスクールの子達からお礼の手紙届いてたよ」
岸さんが私に白い封筒を渡して帰っていった。



