私は早速、キャンプ場のホームページにブログを載せた。ここのキャンプ場は、ホームページか、電話予約しか出来ないので、意外にも読んでくれる人が多かった。私はキャンプ場であった他愛もない事をブログに綴っていった。
少し工夫した事といえば、ブログは日記風ではなく、物語風に書いた。
登場人物は、私や永斗君、岸さんやお客さんなので、ブログを載せ始めて暫くすると、お客さんから、物語に出てくるキャラのように声をかけられる事があった。特に永斗君はキャラだちをしていたからか、コアなファンがついて『写真を撮ってくだい』と頼まれる事もあった。
文章を書いてみて気づいた事は、私は難しい事を考えなくてもスラスラと文章がかけたと言うことだ。文章を書くなんてハードルが高いと思っていたが、そんな事はなく、私は自然と自分の言葉を紡ぐ事が出来た。
キャンプ場のバイトが休みの日、私は図書室でブログを書いていた。集中して書いていたら、気づけば一時間も経っていた。
私は少し伸びをして、窓の外を眺めた。今日も蝉が鳴いて暑い陽射しが差し込んでいた。
標高の高いこのキャンプ場も連日猛暑で、お客さんが少し減っていた。
その中でも、夏休みの子供達が虫取り網を振り回しながら走っていた。
その子供達に混じって永斗君も走っていたので私はつい笑ってしまった。
私はその光景をみて、綺麗な絵を見るような気持ちで眺めていた。
私は図書室の、永斗セレクションの中から『時間泥棒キキ』を取り出すと、ページをめくって眺めた。この児童小説は、私にとって心に残るような本だった。
考えてみれば十五歳で病気になって、本当だったら何も考えずに青春を謳歌できた時間に、自分の死や人生について向き合う事が出来たのは、マイナスな事ばかりではなかったかもしれないと思った。
特に、病気の時に読んだこの本は、私に自分の人生の生きる意味や、時間の使い方などを説教くさくなく、美しい言葉と、流れるような文章で教えてくれた。
病気になって不安の中、私はこの本を読んで、自分が生きていられる間の時間の使い方をよく考えるようになっていた。
こんな素敵な文章が書けたらいいなと、私は本をめくりながら思った。自分の書いた文章で人の心を震わす事が出来たら、それはとても嬉しい事だと感じた。
「七奈ちゃん!!」
永斗君が突然図書室に入ってきた。永斗君は汗をかいて、Tシャツが汚れていた。
「どうしたの?なんか汚れてるけど」
「さっき、子供達と虫取りして走ってたら、石に躓いてコケたんだよ。擦りむいて洗ってきたから、肘にカットバン貼ってくれない?」
「何やってんの〜さっき見てたよ。子供達とワーワー言って走りまわってるの。膝も凄いじゃん!血だらけ!」
どんな転び方をしたのか、知らないが永斗君は膝や、肘を盛大に擦りむいていた。
私が救急ボックスから消毒液を取り出して、傷口にかけると、永斗君は「うぉっ沁みる!!」
と言って悶えていた。
「はい!出来たよ!大人がこんな怪我するんだね?」
「なんかつい楽しくなっちゃってね。七奈ちゃん、またブログ書いてたの?俺今日も、話しかけられたよ『永斗さんですよね、ブログ見てます』って」
「そうなの?昨日も話しかけられてたよね」
「七奈ちゃん、俺のキャラをちょっと誇張して書きすぎじゃない?」
「それは、言えるかも。でも良いキャラだよね、永斗君は愛されキャラなんだよ」
私が言うと、永斗君は満更でもなさそうに微笑んだ。
「まあ?それはそうかもね。俺が魅力的って事だね。あっ七奈ちゃん『時間泥棒キキ』読んでたの?」
私の手元に置いたままだった本に気づいて、永斗君がそう言った。私は思わず永斗コレクションの棚を指差した。
「ねぇねぇ、永斗君、あの棚に置いてある本って、永斗君おすすめの本って事だよね?」
「そうだよ。どれも思いれがある、俺の大好きな本」
永斗君が宝物を見るように、棚の本を眺めていた。
少し工夫した事といえば、ブログは日記風ではなく、物語風に書いた。
登場人物は、私や永斗君、岸さんやお客さんなので、ブログを載せ始めて暫くすると、お客さんから、物語に出てくるキャラのように声をかけられる事があった。特に永斗君はキャラだちをしていたからか、コアなファンがついて『写真を撮ってくだい』と頼まれる事もあった。
文章を書いてみて気づいた事は、私は難しい事を考えなくてもスラスラと文章がかけたと言うことだ。文章を書くなんてハードルが高いと思っていたが、そんな事はなく、私は自然と自分の言葉を紡ぐ事が出来た。
キャンプ場のバイトが休みの日、私は図書室でブログを書いていた。集中して書いていたら、気づけば一時間も経っていた。
私は少し伸びをして、窓の外を眺めた。今日も蝉が鳴いて暑い陽射しが差し込んでいた。
標高の高いこのキャンプ場も連日猛暑で、お客さんが少し減っていた。
その中でも、夏休みの子供達が虫取り網を振り回しながら走っていた。
その子供達に混じって永斗君も走っていたので私はつい笑ってしまった。
私はその光景をみて、綺麗な絵を見るような気持ちで眺めていた。
私は図書室の、永斗セレクションの中から『時間泥棒キキ』を取り出すと、ページをめくって眺めた。この児童小説は、私にとって心に残るような本だった。
考えてみれば十五歳で病気になって、本当だったら何も考えずに青春を謳歌できた時間に、自分の死や人生について向き合う事が出来たのは、マイナスな事ばかりではなかったかもしれないと思った。
特に、病気の時に読んだこの本は、私に自分の人生の生きる意味や、時間の使い方などを説教くさくなく、美しい言葉と、流れるような文章で教えてくれた。
病気になって不安の中、私はこの本を読んで、自分が生きていられる間の時間の使い方をよく考えるようになっていた。
こんな素敵な文章が書けたらいいなと、私は本をめくりながら思った。自分の書いた文章で人の心を震わす事が出来たら、それはとても嬉しい事だと感じた。
「七奈ちゃん!!」
永斗君が突然図書室に入ってきた。永斗君は汗をかいて、Tシャツが汚れていた。
「どうしたの?なんか汚れてるけど」
「さっき、子供達と虫取りして走ってたら、石に躓いてコケたんだよ。擦りむいて洗ってきたから、肘にカットバン貼ってくれない?」
「何やってんの〜さっき見てたよ。子供達とワーワー言って走りまわってるの。膝も凄いじゃん!血だらけ!」
どんな転び方をしたのか、知らないが永斗君は膝や、肘を盛大に擦りむいていた。
私が救急ボックスから消毒液を取り出して、傷口にかけると、永斗君は「うぉっ沁みる!!」
と言って悶えていた。
「はい!出来たよ!大人がこんな怪我するんだね?」
「なんかつい楽しくなっちゃってね。七奈ちゃん、またブログ書いてたの?俺今日も、話しかけられたよ『永斗さんですよね、ブログ見てます』って」
「そうなの?昨日も話しかけられてたよね」
「七奈ちゃん、俺のキャラをちょっと誇張して書きすぎじゃない?」
「それは、言えるかも。でも良いキャラだよね、永斗君は愛されキャラなんだよ」
私が言うと、永斗君は満更でもなさそうに微笑んだ。
「まあ?それはそうかもね。俺が魅力的って事だね。あっ七奈ちゃん『時間泥棒キキ』読んでたの?」
私の手元に置いたままだった本に気づいて、永斗君がそう言った。私は思わず永斗コレクションの棚を指差した。
「ねぇねぇ、永斗君、あの棚に置いてある本って、永斗君おすすめの本って事だよね?」
「そうだよ。どれも思いれがある、俺の大好きな本」
永斗君が宝物を見るように、棚の本を眺めていた。



