「この間受けた、化粧品会社の事務。ダメ元だったけど、受かったんだよ!」
私はすぐには何も言葉が出せなった。
、、、採用通知。その言葉が頭の中で巡っていた。
「、、、おめでとう!凄いね!内定もらえたんだ!」
私は慌てて取り繕うように、言葉と笑顔を浮かべた。
「ありがとう!これでやっと就活から解放されるよ〜マジで嬉しい!夏休みは遊びまくれるよ!!はやく七奈も私に続いて内定もらって遊びまくろうよ!」
美香が私に嬉しそうに言いながら、肩を叩いてくる。
「そうだよね。はやく私も内定もらいたいよー!抜け駆けズルいよ!」
私はわざと冗談混じりの明るい声をあげて言った。しかし、胸の中は重苦しい空気が充満していて、今にも張り裂けそうだった。
「でも、七奈はいいじゃん?あんなにかっこよくて大手に就職した彼氏がいるじゃん?
最悪就活失敗しても、できちゃった結婚しちゃえばいいじゃん?」
「結婚とか全然考えてないよ。しかも、私の就活と結婚は関係ないでしょ」
「なんで!めちゃくちゃ関係あるから!むしろ、あんな男と付き合える事の方が内定貰うより大事だからね!もう今の時点で七奈は勝ち組なんだから!」
美香の言葉に、私の胸の中でさぁーっと冷たい水が引いていくような感覚がした。
、、、勝ち組って何だろう。私は自分自身を認めて欲しいだけなのに、結婚したらそれで私の居場所は出来るのだろうか、、、。
そもそも、翔也は私との未来なんて考えているんだろうか?
胸の中でぐるぐると大きな渦のように嫌な気持ちが渦巻いていた。
人の幸せも喜べない、こんなに自分は小さな人間だという事実が、私の胸をギュッと締め付けた。
その後も私は違う会社の面接を何社か受けた。
全てこの間と同じように、自分を偽って面接にのぞんだ。自分が自分じゃないような気分になっていたが、その方が手応えがあったので、私はそのまま演技を続けた。
私は翔也になりたかった────
そんな事を続けているうちに、どんどん自分の中身が空っぽになっていくような感覚がした。
それでも自分を偽ったのは、何でもいいからとにかく内定が、喉から手が出る程欲しかったからだ。周りの就活生との競争のような感覚と、社会の型にハマらなきゃいけないという焦りがどんどん私を追い込んでいった。
忙しい日々が続いて、翔也ともなかなか会える時間がなくなっていた。
翔也も入社したてで、オリエンテーションや研修で忙しくしていた。
私はその日も面接の後バイトが入っていて、店長に残業を頼まれていた。それを見ていた美香が慌てて私にかけよって言ってくる。
「七奈!何やってんの!?いいの今日、残業なんかして!」
私は美香の言ってる意味がわからなくて、一人でぽかんとしていると、美香が眉間に皺をよせて怒った顔をしている。
「今日!彼氏の誕生日じゃないの?家で二人でパーティーするって言ってたじゃん!」
私はそれを言われた瞬間に一瞬にして血の気が引いて青ざめた。
(最低だ、、、。翔也の誕生日を忘れるなんて)
プレゼントもまだ用意出来ていなかったし、バイトすら休みにするのを忘れていた。
時計を見ると夜九時を過ぎている。メッセージも送らず、誕生日をスルーしているなんて流石の翔也も怒っているかもしれない。
「私、残業変わるから今すぐ彼の家に行ってきな!」
美香の言葉に甘えて、私はすぐ帰宅させてもらう事にした。
確かに、私と翔也の関係は最近マンネリ化していたし、私が就活で忙しかったのもあるが、誕生日を忘れるなんて酷すぎる。携帯に翔也からメッセージが入っていた。
『今日の約束、忙しくてなしかな?気にすんなよ。就活頑張れよ』
翔也からのメッセージを見て私は焦った。
駅でまだやっているケーキ屋さんを探したが何処も閉まっていたので、仕方なくコンビニに走ってケーキを買った。
とにかく翔也の家に行ってすぐに謝ろう。ちゃんと謝れば翔也だって許してくれるはず、、、。
私はそう思いながら、翔也のアパートまで息をきらせながら走った。
また空から、ポツポツと雨粒が落ちてきた。
今年の梅雨は特に雨が多かった。私は傘もささずにひたすら走った。
翔也のアパートに着いた時には、私のリクルートスーツはずぶ濡れだった。私はハンカチを出して服と買ったケーキを拭いてから翔也のアパートの玄関の前に行った。窓から明かりがついていたのが見えたので、私はチャイムを押すのも忘れて、玄関のドアを開けた。
その瞬間────、、、
信じられない光景が私の目に飛び込んできた。
確かに翔也は家にいた。
けれど、翔也はワンルームの部屋で私の知らない女の子と抱き合ってキスをしている最中だった、、、。
私はすぐには何も言葉が出せなった。
、、、採用通知。その言葉が頭の中で巡っていた。
「、、、おめでとう!凄いね!内定もらえたんだ!」
私は慌てて取り繕うように、言葉と笑顔を浮かべた。
「ありがとう!これでやっと就活から解放されるよ〜マジで嬉しい!夏休みは遊びまくれるよ!!はやく七奈も私に続いて内定もらって遊びまくろうよ!」
美香が私に嬉しそうに言いながら、肩を叩いてくる。
「そうだよね。はやく私も内定もらいたいよー!抜け駆けズルいよ!」
私はわざと冗談混じりの明るい声をあげて言った。しかし、胸の中は重苦しい空気が充満していて、今にも張り裂けそうだった。
「でも、七奈はいいじゃん?あんなにかっこよくて大手に就職した彼氏がいるじゃん?
最悪就活失敗しても、できちゃった結婚しちゃえばいいじゃん?」
「結婚とか全然考えてないよ。しかも、私の就活と結婚は関係ないでしょ」
「なんで!めちゃくちゃ関係あるから!むしろ、あんな男と付き合える事の方が内定貰うより大事だからね!もう今の時点で七奈は勝ち組なんだから!」
美香の言葉に、私の胸の中でさぁーっと冷たい水が引いていくような感覚がした。
、、、勝ち組って何だろう。私は自分自身を認めて欲しいだけなのに、結婚したらそれで私の居場所は出来るのだろうか、、、。
そもそも、翔也は私との未来なんて考えているんだろうか?
胸の中でぐるぐると大きな渦のように嫌な気持ちが渦巻いていた。
人の幸せも喜べない、こんなに自分は小さな人間だという事実が、私の胸をギュッと締め付けた。
その後も私は違う会社の面接を何社か受けた。
全てこの間と同じように、自分を偽って面接にのぞんだ。自分が自分じゃないような気分になっていたが、その方が手応えがあったので、私はそのまま演技を続けた。
私は翔也になりたかった────
そんな事を続けているうちに、どんどん自分の中身が空っぽになっていくような感覚がした。
それでも自分を偽ったのは、何でもいいからとにかく内定が、喉から手が出る程欲しかったからだ。周りの就活生との競争のような感覚と、社会の型にハマらなきゃいけないという焦りがどんどん私を追い込んでいった。
忙しい日々が続いて、翔也ともなかなか会える時間がなくなっていた。
翔也も入社したてで、オリエンテーションや研修で忙しくしていた。
私はその日も面接の後バイトが入っていて、店長に残業を頼まれていた。それを見ていた美香が慌てて私にかけよって言ってくる。
「七奈!何やってんの!?いいの今日、残業なんかして!」
私は美香の言ってる意味がわからなくて、一人でぽかんとしていると、美香が眉間に皺をよせて怒った顔をしている。
「今日!彼氏の誕生日じゃないの?家で二人でパーティーするって言ってたじゃん!」
私はそれを言われた瞬間に一瞬にして血の気が引いて青ざめた。
(最低だ、、、。翔也の誕生日を忘れるなんて)
プレゼントもまだ用意出来ていなかったし、バイトすら休みにするのを忘れていた。
時計を見ると夜九時を過ぎている。メッセージも送らず、誕生日をスルーしているなんて流石の翔也も怒っているかもしれない。
「私、残業変わるから今すぐ彼の家に行ってきな!」
美香の言葉に甘えて、私はすぐ帰宅させてもらう事にした。
確かに、私と翔也の関係は最近マンネリ化していたし、私が就活で忙しかったのもあるが、誕生日を忘れるなんて酷すぎる。携帯に翔也からメッセージが入っていた。
『今日の約束、忙しくてなしかな?気にすんなよ。就活頑張れよ』
翔也からのメッセージを見て私は焦った。
駅でまだやっているケーキ屋さんを探したが何処も閉まっていたので、仕方なくコンビニに走ってケーキを買った。
とにかく翔也の家に行ってすぐに謝ろう。ちゃんと謝れば翔也だって許してくれるはず、、、。
私はそう思いながら、翔也のアパートまで息をきらせながら走った。
また空から、ポツポツと雨粒が落ちてきた。
今年の梅雨は特に雨が多かった。私は傘もささずにひたすら走った。
翔也のアパートに着いた時には、私のリクルートスーツはずぶ濡れだった。私はハンカチを出して服と買ったケーキを拭いてから翔也のアパートの玄関の前に行った。窓から明かりがついていたのが見えたので、私はチャイムを押すのも忘れて、玄関のドアを開けた。
その瞬間────、、、
信じられない光景が私の目に飛び込んできた。
確かに翔也は家にいた。
けれど、翔也はワンルームの部屋で私の知らない女の子と抱き合ってキスをしている最中だった、、、。



