「永斗君、、、本当に上手くいくと思う?なんか不安しかないんだけど、、、」

夜八時、私は永斗君と一緒に湖の木陰で隠れていた。

 「大丈夫だって、七奈ちゃんがついてるんだから、七奈ってラッキーセブンだよ!絶対上手くいくよ」

「でも、今までの人生を振り返ってみても、私そんなにラッキーな人生じゃなかったんだけど、、、」

自分でも、完全に名前負けしている気がする。
変な病気にはなるし、就活は散々だし、彼氏には浮気されるし、ラッキーの要素がまるでない。

 「それは、七奈ちゃんが気づいてないだけでしょ?本当は七奈ちゃんの人生には沢山のラッキーがあったはずだよ」

「なんでそんな事わかるの?」

「それは俺がエイトだから!」

「どう言う事?」 「七の後には必ず八がくるんだよ。七がダメでも八がある、八が必ずついてるんだよ」

私は意味がわからなくて、思わず永斗君の顔をぽかんと眺めた。私の顔を見て永斗君が少し笑った。

 「ほらっ!ぼーっとしてないで、プロポーズ大作戦始まるよ」

永斗君が私に囁いた。大我君が、美優のテントまで歩いて行った。美優はテントの中にいるみたいだったが、大我君が声をかけると、余程びっくりしたのかテントの外に出てきた。
 そりゃそうだ、東京にいるはずの大我君がいきなり、キャンプ場にいるんだからそれだけで、サプライズみたいなもんだと思う。
 二人はテントの外で何やら話し出した。

 見ているこっちまで息が苦しくなるくらいに、ドキドキしてきた。
大我君が緊張しているのが、遠くにいる私にもわかるくらいだった。
 大我君は真剣に、美優に気持ちを伝えていた。美優の表情はこっちには全くわからなかったが、微動だにせず大我君の話しを聞いていた。

 大我君は画用紙みたいな物を出して、美優に説明していた。あれから三人で考えて、大我君の家事当番を考えた。永斗君に言わせると、男は当番制にしないと、家事なんてやらないという話しだった。
 後は、美優に直して欲しい所を聞いて、全て直すという話しだった。つまり、大我君が全面的に美優に合わすという事だ。

 大我君は必死だった。美優を失うくらいなら、どんな事でもするし、変わりたいと言っていた。人生でこんなに人に愛される事はあるんだろうか?私は美優が少し羨ましくなった。
だから、私は二人が上手くいって欲しいと願ってついつい、強く手を握って祈ってしまう。

 空には綺麗な三日月が出ていた。夏の虫の音が響いている。遠くには、思い思いに楽しく夏の夜を過ごすキャンパー達の話し声が聞こえていた。

 、、、長い、、、長い、、、プロポーズが長すぎる。


 「私が緊張して吐きそう、、、」

思わず隣にいる永斗君に言うと、永斗君も緊張した顔をしていた。

 「同じく、、、はやく答えが知りたい、待てない」

「わかる。プロポーズ長すぎ、、、因みにさ、永斗君がもしプロポーズするならなんて言う?」

「え?俺?そりゃあ『Ilove you so much 、、、marry me?』かな」

「突然の英語、、、死ぬ」

「なんだよ、笑ってんじゃん。じゃあ七奈ちゃんは?何ていうの?」

「私?え〜なんだろう。プロポーズはされたい派なんだけど」

「もしもの話しだから、もしもするなら何て言う?」

「え〜、、、」

『ずっと、、、一緒にいたいです、、、』

 永斗君が何故か止まって私の顔を見る。私達は何秒か見つめあって我に返った。

「びっくりした〜ちょっとキュンとしちゃったよ〜」

「なんで!もしもの話しでしょ?別に永斗君に言ってないから」

「そうだね、確かに。ちょっと勘違いしちゃったよ、、、あっ?大我君がこっち向いている!」

大我君がプロポーズしてオッケーを貰えたら、頭の上で丸を作る話しになっていた。
 それを見た永斗君が花火師の功さんに、点火の連絡をする段取りになっていた。

 まあ、バツでも、花火は用意しちゃったから上げるんだけど、、、。

 「まる!?どっち!?」

私は思わず大声に出していた。