「大我君に全部話すの?『あなた振られそうですよ』って?それはあんまりじゃない?あんなに幸せそうにサプライズするの楽しみにしてるのに」

大我君の嬉しそうな顔を見た私は、とてもじゃないけど言い出せないと思った。

 「いや、だって断れるか、どうかなんて言ってみなきゃわかんないじゃん?それがプロポーズだし。で、別れたいと考えてる原因もわかってるんでしょ?ならそれを改善すると約束して、その上でプロポーズしなきゃだめじゃん」

「そうだけど〜、、、」

「あの人、大我君ね?悪い人じゃないと思うよ?彼女の事本当に大切に考えてるの、打ち合わせの時から感じたし。単純に彼女の喜ぶ顔が見たいんだよ。幸せにしたいんだと思うよ。話せばわかる人だと思う、行こう!話してこよう!七奈ちゃんしか、二人を繋げる人はいないんだから」

 永斗君に急かされて、私はまた大我君の所へ戻る。幸せの絶頂にいる彼に、こんな話しをするのは、めちゃくちゃ気が重かったが、永斗君が私に目配せをしてくる。

 「あ、あの、大我君。私美優の昔からの友人の七奈と言います。
 実はですね、、、私、美優から恋愛の相談を受けていまして、、、」

私の言葉に、大我君の顔が不安の表情へと変わる。何故か私の方がドキドキしてきた。
私は、大我君に全てを話した。家事負担が辛い事、帰ってきてから部屋が汚いのが心が荒む事、一緒に住んでみたら大我君に小言ばっかり言ってる自分が嫌になる事。
 大我君は私の話しを聞いていくうちにどんどん表情が曇っていった。

 「じゃあ、美優は俺と同棲して幻滅してるって事ですか、、、?」

もはや真っ青な顔をして、大我君が私に聞いてくる。

 「そう、、、だね。美優もきっちりしてる自分の性格が悪いとは言ってたけど、それでも掃除とか自分の使った食器は自分で洗うとか、それくらいはして欲しいんじゃないかな?美優が何でもやってくれるからって、それに甘えてたら、美優も辛いと思うよ?二人の家なんだし」

 「そこまで美優が思ってたなんて、考えた事もなかった。確かにいつもぶちぶち切れられて、喧嘩になった事もあったけど、そんな深刻に考えてたなんて思わなかった」

美優があんなに、嫌だと思っていても、相手はこれくらいの気持ちなんだから、いくら一緒に住んでたとしても、人の気持ちなんてわからないものだ。大我君が呆然と座っていると、永斗君が大我君の隣に行って話し出した。

 「じゃあ、どうする?このままだとプロポーズも断られるどころか、別れる事になるかも」

「永斗君!!」思わず永斗君に私が言うと、永斗君は気にせずに続けた。

 「でも面倒くさい家事をすれば、彼女は繋ぎ止められるかも、、、どうする?やりたくない事はやりたくないから、彼女を諦めて、ズボラの子を見つけるか、、、どっちにする?どっちにしろ花火は上がるんだけど」

大我君はすぐに永斗君に言い返した。

 「そんなの、家事をするに決まってる!そんな事で美優と別れるなんて考えられない!」

 永斗君が私の顔を見て少し笑った。

 「じゃあ、美優ちゃんに口だけじゃなくて、ちゃんと納得してもらえるように、示さないとダメだね」

、、、示す?