私と美優はその後、近くのオルゴール美術館へ行った。ここではオルゴールの展示はもちろん、オルゴールのコンサートが聴けたり、自分でオリジナルのオルゴールを作る事が出来た。
 私と美優は時間もあったので、オルゴール作り体験をする事にした。
 曲も沢山ある中から選べるので、私と美優は悩みに悩んだ。
 結局私は大好きなバンド、NEW WORLDの
『おかえり』にした。そういえば、永斗君もこの曲が好きだと言っていた事を思い出して、私は完成したら永斗君にこのオルゴールをあげようと思った。

 特別な理由はない。いつもアルバイトでお世話になってるし、これまでも色々面倒を見て貰ったお礼がしたいと思っただけだ。
オルゴールは上がドーム型になっていて、ドームの中に、選んだガラスパーツを並べる事が出来た。私は富士山と、熊のガラスパーツを並べて作った。自分で言うのもあれだけど、中々上手に出来たと思う。
 美優も隣りで真剣に曲から悩んでいて、ガラスパーツにはイルカや海の生き物を選んでいた。
オルゴールが出来上がると、私達は車に乗ってまたキャンプ場へ戻っていった。
 私は車の中で美優に聞いた。

 「オルゴールは彼氏にあげるの?」

美優は少し恥ずかしそうに笑った。

 「バレたか、、、私と大我はダイビングが趣味で、よく色んな海に行って潜ったんだよね。オルゴールにのせたイルカは、沖縄の島に二人で行って一緒に泳いだイルカなんだ」

 「へぇ〜いいなぁ、共通の趣味があって、楽しそうだね」

「まぁね、そこは良かったかも。私の潜りたい所を優先して連れていってくれたし。そう言えば、告白も海の中だったんだよね」

「何それ!ロマンチックだね、大我君」

「でしょ?海に潜ると話すのが難しいから簡単な手話を覚えようかって言って、二人で覚えたの。それで海に潜って『魚綺麗だね』って手話で話してたら、突然『美優が好きです。付き合ってください』って」

私は思わず、ドキドキして歓声をあげてしまった。なんて素敵な告白、、、そんな告白されたら私も速攻で受け入れてしまいそうだ。

 「いちいち、やる事がロマンチストなの。私の誕生日も、毎年サプライズしてくれるし、私の欲しい物をさりげなく聞いといて、それをくれたりね」

「何!美優めちゃくちゃ愛されてるじゃん!面倒でサプライズなんてやらない彼氏多いよ。羨ましいけど」

私が思わず興奮して言うと、美優は悩んだ顔
をしていた。

 「でも、そういう事してくれるからって、いいってわけじゃないじゃん?私は普段の生活をもう少し見直して欲しいんだよ」

「大我君は美優に何か求めてる事はあるの?」

「え?求めてる事?」「そう。美優は大我君のだらしない所にイライラするんでしょ?逆に大我君が美優に求める事は何なんだろう、、、?」

お互いに求めている事があるから喧嘩になるんだと思った。美優の口ぶりだと、もう別れの方向にむかっている感じだったが、美優が作ったイルカのオルゴールには少なからず、美優からの愛情を感じる気がした。

 「大我は、私に何も求めてないかも。ただ笑っていて欲しいだけなのかも」

美優はそう言って少し一人で考えていた。
私と美優はキャンプ場へ帰ると、美優は自分のテントへ、私は管理棟へ戻った。管理棟の受付に永斗君
がいたので私は声をかけた。

 「永斗君ただいま〜ラベンダー畑凄く綺麗だったよ!!お土産かってきた、、、」

と言った所で、永斗君に受付の奥に引きずられた。
 
 「なっ何?急に!」

「七奈ちゃん!サプライズだから内緒ね?」

永斗君がそう言って、受付の奥へと私を連れて行った。いつも永斗君が寝ている部屋に一人の若い男性がいた。

 (だれ、、、?)

私が驚いている姿を見て、その人は名乗った。

 「はじめまして、三浦 大我です」

(三浦、、、?大我、、、?)

私はすぐに聞いた事のある名前に、目の前の男性が誰かわかった。


 「えっ、、、えーーー!?美優の彼氏!?なんでここに!?」


私が驚いていると、永斗君と大我君は笑い出した。

「美優にサプライズで来たんです」

「サプライズ、、、?」

永斗君がいきなり私の肩に手を置いた。

 「七奈ちゃん、プロポーズ大作戦だよ」


えっ──────?プロポーズ!?