次の日私はバイトが休みだったので、美優と一緒に富士山近辺の観光に出かけた。
私は免許を持っていなかったが、美優は免許を持っていたので、キャンプ場の車を借りて出かける事にした。

 「いってらっしゃい!その車古いから気をつけてね、変な音がしたら速攻で、車から飛び降りて」

「何それ、大丈夫?そんな車、人に貸して」
 
 私が思わず疑わしい顔で、永斗君を見ると、永斗君はなんでもないようにまた言ってくる。

「大丈夫、保険には入ってるから。安心して」

 私達は、車に乗って美優がエンジンをかけた。
エンジンをかけた途端に変な音がして、思わず永斗君を見たが、永斗君は気にせずニコニコして手でグッとサインをしていた。
 何がグッとなのかよくわからないが、私と美優はうるさい車を走らせて、キャンプ場を出た。

 「永斗君に聞いたら、ラベンダーが今見頃らしいんだよね、ラベンダー見に行く?」

「いいねぇ!行ってみよう!天気よくて良かったね〜」

美優がそう言ってサングラスをかけた。
今日は快晴で、日差しもきつかった。私達は、ラベンダー畑のある大きな公園に向かった。

「永斗君って面白いね」

「うん、面白いっていうか、根明だよね」

「ああいう人と一緒にいると、自分も自然と明るくなっちゃうかもね?」

美優の言う通り、私はここにくるまではあんなに落ちこんでいたのに、今はすっかり元気になっていた。それは多分、永斗君のおかげな気がしていた。
 永斗君と一緒にいると前向きな気持ちになれるし、楽しかった。

「七奈、永斗君の事好きになったりしてない?」

「ないよ。永斗君好きな子いるみたいだしね。その子の事がずっと好きだから、好きになられても答えられないんだって。そこまで言われてるのに、好きにならないよ」

「へぇ、、、そんなに好きな子がいるんだぁ。一途だね、随分と」

「そうだね。だから、私が好きになる事はないよ」

 ない、、、というか、翔也との関係も曖昧なままなのに、今誰かと新しい恋をする気にならなかった。まずは他人じゃなくて自分に自信をつけて、自分を愛する事が出来てから、また恋愛をしたかった。
 そうしなけば、結局何も上手くいかない気がしていた。

 「七奈〜ついたよ!!」

ラベンダーが綺麗に見える公園に着いた。
車から降りた瞬間にラベンダーのいい香りが鼻についた。

 「いい香り〜!!」 「見て!美優絶景だよ!富士山とラベンダー!!」

目の前に湖とラベンダーと富士山がくっきり見えていた。私達は興奮して何回も携帯のシャッターをきった。ラベンダー畑を見たのは初めてだったが、こんなに綺麗だと思わなかった。
清々しい空気と、綺麗な景色が私の中まで綺麗にしてくれるような気がした。

 「七奈!見てみて!富士山カレーだって」

美優が教えてくれたのは、公園に併設されているレストランの看板にあった、青い富士山の形をしたカレーだった。
 
 「凄い!ちょっと食べてみたいかも!どんな味なんだろう」

私達は、ちょうどお昼の時間だったので、そこで富士山カレーを食べる事にした。