「叶人君、何してるの?」
私が近づいて話しかけると、叶人君は顔を上げて、真顔で私の方を見た。
「何か嫌な事あった?」私が聞くと、叶人君は首を振った。
「じゃあ、どうしてこんな暗い湖のほとりで、うずくまってるの?勇気あるね。私は怖くて一人でこんな所いられないよ。だって見てよ、今にもジェイソンが出てきそうだよ?」
叶人君は急に不思議そうな顔をして「ジェイソン?」と聞いてきた。
「叶人君はジェイソンしらないか。斧持った怪物みたいなやつ」
「、、、わからない」
「じゃあ、今度映画見てみて。怖いからさ。怖いけど、面白いんだよ」
叶人君は小さく「ふぅん」と呟いた。私達は暫く、そのまま木の下で二人で座っていた。
もう夏だから、寒くはないが少し涼しい風が私と叶人君の間を吹き抜けた。
「ねえ、お姉さんの親再婚したって言ってたよね?」
黙っていた叶人君がいきなり話し出した。
「言ったよ」
「どうだった?お母さんが再婚してどう変わった?」
叶人君は私の顔を見ずに真っ直ぐと湖のある方を見て聞いてきた。
「変わった、、、。私はね、一緒に住みたくないから家を出たの。一人暮らしを始めたから、凄く変わったかもしれないね」
「そんなに、新しいお父さんが嫌いなの?」
(嫌い、、、)
私は智樹さんの顔を思い浮かべてみたが、別に嫌いではない。むしろ良い人だと思える。
「嫌いじゃないよ。悪い人じゃないし。けど、お母さんの旦那さんではあるけど、私のお父さんではないから、一緒に住むのは嫌だったの」
「それを言って、お母さんは悲しまなかったの?」
叶人君にいわれると、母は悲しかったんじゃないかと思った。けれど、私は自分の気持ちを優先させた。
「悲しかったと思うよ。でも、お母さんが悲しむからって自分の気持ちに嘘をつくのはよくないと思ったの。大切な相手だからこそ、本音を伝えあいたいと思ったしね」
「それで嫌われても、、、?」
「うん。嫌われても、、、怖いけどね。私もなかなか本当の自分の気持ちは言えないんだ。
人に陰口言われたくないし、よく思われたいから、ついつい楽だから相手に合わせちゃう。でもそんな自分が嫌だからずっと自分を変えたいって思ってる。まだ直らないけど」
叶人君が私の方を見て、不思議そうな顔をした。
「大人なのに、まだ直らないの?」
「直らないよ。そんな簡単には性格は直らない、、、けど、直そうと思う事が大切でしょ?」
「何か大人になるって大変そうだね」
叶人君が随分と大人びた事を言ってくるからおかしかった。
「そうだね、大変かも。でも、叶人君が『楽しそうだなぁ』って思えるような大人になるように努力するね」
大人になるのは、楽しいばかりじゃない。私は自分の就職活動で痛い程わかっていた。
でも、今はそんな事もないんじゃないかと少しずつだけど思えていた。
「七奈ちゃ〜ん!!」
永斗君の声が聞こえてきた。
「叶人君、戻る?自分で決めていいよ。合宿戻りたくないなら、私と一晩中ウノでもする?」
叶人君は少し戸惑って黙っていた。けれど直ぐに顔をあげて言った。
「戻るよ」
私が近づいて話しかけると、叶人君は顔を上げて、真顔で私の方を見た。
「何か嫌な事あった?」私が聞くと、叶人君は首を振った。
「じゃあ、どうしてこんな暗い湖のほとりで、うずくまってるの?勇気あるね。私は怖くて一人でこんな所いられないよ。だって見てよ、今にもジェイソンが出てきそうだよ?」
叶人君は急に不思議そうな顔をして「ジェイソン?」と聞いてきた。
「叶人君はジェイソンしらないか。斧持った怪物みたいなやつ」
「、、、わからない」
「じゃあ、今度映画見てみて。怖いからさ。怖いけど、面白いんだよ」
叶人君は小さく「ふぅん」と呟いた。私達は暫く、そのまま木の下で二人で座っていた。
もう夏だから、寒くはないが少し涼しい風が私と叶人君の間を吹き抜けた。
「ねえ、お姉さんの親再婚したって言ってたよね?」
黙っていた叶人君がいきなり話し出した。
「言ったよ」
「どうだった?お母さんが再婚してどう変わった?」
叶人君は私の顔を見ずに真っ直ぐと湖のある方を見て聞いてきた。
「変わった、、、。私はね、一緒に住みたくないから家を出たの。一人暮らしを始めたから、凄く変わったかもしれないね」
「そんなに、新しいお父さんが嫌いなの?」
(嫌い、、、)
私は智樹さんの顔を思い浮かべてみたが、別に嫌いではない。むしろ良い人だと思える。
「嫌いじゃないよ。悪い人じゃないし。けど、お母さんの旦那さんではあるけど、私のお父さんではないから、一緒に住むのは嫌だったの」
「それを言って、お母さんは悲しまなかったの?」
叶人君にいわれると、母は悲しかったんじゃないかと思った。けれど、私は自分の気持ちを優先させた。
「悲しかったと思うよ。でも、お母さんが悲しむからって自分の気持ちに嘘をつくのはよくないと思ったの。大切な相手だからこそ、本音を伝えあいたいと思ったしね」
「それで嫌われても、、、?」
「うん。嫌われても、、、怖いけどね。私もなかなか本当の自分の気持ちは言えないんだ。
人に陰口言われたくないし、よく思われたいから、ついつい楽だから相手に合わせちゃう。でもそんな自分が嫌だからずっと自分を変えたいって思ってる。まだ直らないけど」
叶人君が私の方を見て、不思議そうな顔をした。
「大人なのに、まだ直らないの?」
「直らないよ。そんな簡単には性格は直らない、、、けど、直そうと思う事が大切でしょ?」
「何か大人になるって大変そうだね」
叶人君が随分と大人びた事を言ってくるからおかしかった。
「そうだね、大変かも。でも、叶人君が『楽しそうだなぁ』って思えるような大人になるように努力するね」
大人になるのは、楽しいばかりじゃない。私は自分の就職活動で痛い程わかっていた。
でも、今はそんな事もないんじゃないかと少しずつだけど思えていた。
「七奈ちゃ〜ん!!」
永斗君の声が聞こえてきた。
「叶人君、戻る?自分で決めていいよ。合宿戻りたくないなら、私と一晩中ウノでもする?」
叶人君は少し戸惑って黙っていた。けれど直ぐに顔をあげて言った。
「戻るよ」



