私達はすぐに、三人で叶人君を探した。外は日が暮れて暗くなり始めていた。
富士山も真っ黒に変わり、その巨大さから少し怖く見えた。
校庭のサイトはインストラクターの先生方が探してくれていたので、私達はとりあえず廃校の中を探したが、全ての教室を確認しても叶人君の姿は見えなかった。
校庭に戻って、先生達に誰もいなかった事を報告しにいくと、子供達も叶人君がいなくなってざわついていた。
「ほらー!皆んなはとりあえずグループになって今日のグループ活動の準備して!サイト以外の場所には勝手にいくなよー!」
先生が皆んなに念を推してるが、皆んな口々に大きな声で話している。
「たいちが悪いんだよ!叶人に、洗い物とか全部押し付けてさぁ!叶人片付け全部一人でやってたじゃん!」
気の強そうな女の子が、たいち君に詰め寄っていた。
「だってあいつがいいよって言うんだもん」
「だから、それが押し付けてるって言ってんの!」
「なんで俺だけに言うんだよ!他のやつらだって、遊んで叶人にやらしてただろうが!ゆうやなんて、もっと酷い事言ってたし!」
私はたいち君のその発言が気になった。
(酷い事って何だろう、、、。)
「叶人君に何て言ったの、、、?」
私は思わずゆうや君に聞いた。
ゆうや君は少し気まずそうに、小さな声で話しだした。
「お前の母ちゃん、若い男とデートしてるの皆んな知ってるよって、厚化粧して若い男にベタベタして恥ずかしくないのって、そういう仕事してんだろって」
私は人の事なのに、心臓がドキドキと脈打っていた。
「それで叶人君は何て言ってたの?怒ってた?」
ゆうや君は首を振った。
「あいつ普通に笑って『そうなんだよ、やばいよなぁ。恥ずかしいんだよ』って言ってた」
私はそれを聞いて、永斗君の顔を見た。永斗君も心配そうな表情をしていた。
「湖の方探してくる。キャンプ場から出るには管理棟通らなきゃいけないから、もし出ていったなら、俺達気づいてたはずだし」
「私も行く!」
インストラクターの先生も一人ついてきて、三人で湖のキャンプ場の方へ行った。
湖のサイトは広いので、三人で手分けして探す事にした。別れる時に、永斗君が私に話しかけてきた。
「もう暗いけど平気?一緒に来る?」
「うんん!大丈夫!手分けした方が早くみつかるし!暗いし、早く見つけてあげよう。じゃあね!」
私はそう言って、懐中電灯片手に暗い森の中を走っていた。
日が完全に暮れて、懐中電灯がないと真っ暗だった。
叶人君が何故急に合宿を飛び出したのか気持ちが少しわかる気がした。叶人君は昼間私にこう言った。
『お母さんが大変だから、再婚してもいいと思ってる』
叶人君は、母親の事を心配しているように見えた。恥ずかしいと言ったのは、友達の前だから言わざるえなかったのだろう。小学生という、まだ小さな年齢で、どれだけの自分の心の中の複雑な思いと戦っていたんだろうか。
「叶人くーん」私が大きな声で叫んでいると、暗闇の中でちらっと光って見えるものがあった。
湖の近くに生えている木の下に見えた白い物は、叶人君のTシャツだった。
「叶人君?」私が近づいていくと、叶人君は白いTシャツを着て、木の根元に座っていた。
湖の水が打ちつける音だけが、大きく聞こえてきた。
富士山も真っ黒に変わり、その巨大さから少し怖く見えた。
校庭のサイトはインストラクターの先生方が探してくれていたので、私達はとりあえず廃校の中を探したが、全ての教室を確認しても叶人君の姿は見えなかった。
校庭に戻って、先生達に誰もいなかった事を報告しにいくと、子供達も叶人君がいなくなってざわついていた。
「ほらー!皆んなはとりあえずグループになって今日のグループ活動の準備して!サイト以外の場所には勝手にいくなよー!」
先生が皆んなに念を推してるが、皆んな口々に大きな声で話している。
「たいちが悪いんだよ!叶人に、洗い物とか全部押し付けてさぁ!叶人片付け全部一人でやってたじゃん!」
気の強そうな女の子が、たいち君に詰め寄っていた。
「だってあいつがいいよって言うんだもん」
「だから、それが押し付けてるって言ってんの!」
「なんで俺だけに言うんだよ!他のやつらだって、遊んで叶人にやらしてただろうが!ゆうやなんて、もっと酷い事言ってたし!」
私はたいち君のその発言が気になった。
(酷い事って何だろう、、、。)
「叶人君に何て言ったの、、、?」
私は思わずゆうや君に聞いた。
ゆうや君は少し気まずそうに、小さな声で話しだした。
「お前の母ちゃん、若い男とデートしてるの皆んな知ってるよって、厚化粧して若い男にベタベタして恥ずかしくないのって、そういう仕事してんだろって」
私は人の事なのに、心臓がドキドキと脈打っていた。
「それで叶人君は何て言ってたの?怒ってた?」
ゆうや君は首を振った。
「あいつ普通に笑って『そうなんだよ、やばいよなぁ。恥ずかしいんだよ』って言ってた」
私はそれを聞いて、永斗君の顔を見た。永斗君も心配そうな表情をしていた。
「湖の方探してくる。キャンプ場から出るには管理棟通らなきゃいけないから、もし出ていったなら、俺達気づいてたはずだし」
「私も行く!」
インストラクターの先生も一人ついてきて、三人で湖のキャンプ場の方へ行った。
湖のサイトは広いので、三人で手分けして探す事にした。別れる時に、永斗君が私に話しかけてきた。
「もう暗いけど平気?一緒に来る?」
「うんん!大丈夫!手分けした方が早くみつかるし!暗いし、早く見つけてあげよう。じゃあね!」
私はそう言って、懐中電灯片手に暗い森の中を走っていた。
日が完全に暮れて、懐中電灯がないと真っ暗だった。
叶人君が何故急に合宿を飛び出したのか気持ちが少しわかる気がした。叶人君は昼間私にこう言った。
『お母さんが大変だから、再婚してもいいと思ってる』
叶人君は、母親の事を心配しているように見えた。恥ずかしいと言ったのは、友達の前だから言わざるえなかったのだろう。小学生という、まだ小さな年齢で、どれだけの自分の心の中の複雑な思いと戦っていたんだろうか。
「叶人くーん」私が大きな声で叫んでいると、暗闇の中でちらっと光って見えるものがあった。
湖の近くに生えている木の下に見えた白い物は、叶人君のTシャツだった。
「叶人君?」私が近づいていくと、叶人君は白いTシャツを着て、木の根元に座っていた。
湖の水が打ちつける音だけが、大きく聞こえてきた。



