「おばけ役はどうかなぁ〜、おばけ役って事はさ、脅かす時まで一人でいなきゃいけないって事だよね?それはちょっと無理くない?」
「いや、もう大丈夫でしょ。七奈ちゃんすっかり多目的室でぐっすり一人で眠ってるじゃん」
「違うの。言い訳させて、ぐっすり眠っているのはキャンプ場のバイトが思ったより体力勝負で、毎日くたくたに疲れてるから、気づいたら怖がる暇もなく眠っちゃうんだよ」
私と永斗君は明日からくる、小学生のスイミングスクールの夏合宿の子供達に何かイベントを考えていた。
永斗君はせっかく廃校があるんだから、肝試しをしようと提案してきて、私と永斗君と岸さんでおばけ役をやろうと言ってきたのだ。
「おばけなんて出さなくてもさ、廃校の中を夜歩くだけでよっぽど怖いと思うけど?私なんて初めてここへ来た時怖すぎて帰れるもんなら、すぐ帰りたかったもん」
私がそう提案しても、永斗君は難しい顔をして悩んでいた。
「いや、、、それじゃあつまらないだろ。つまらないよ、俺が!俺はおばけやりたいの!全力で脅かしたいの!!」
結局永斗君は、自分が楽しみたいだけみたいだった。
「じゃあさ、永斗君一人でおばけやりなよ。
私は待ってるからさ」
「おばけが一匹しか出てこなかったらつまんないでしょ?三体はいないとだめだって!はい!決まり!七奈ちゃん口さけ女ね、で岸さん死神、俺ピエロね」
永斗君が勝手に決めていた。なんで私だけ口裂け女で和風のお化けなのかは謎だった。
その後も永斗君はお化けの衣装を探したりと一人で忙しそうにしていた。
そんなこんなしていたら、翌日スイミングスクールの子達がやってきた。三十人くらいでやってきた小学生は、各自でテントを張って食事も自分達でカレーを作っていた。
私と永斗君もインストラクターの人達の手伝いで、子供達の作業の手伝いをしていた。
三十人も小学生が来たらとにかく賑やかだった。
テントは一つに対して五人グループで泊まる事になっていてた。皆んな楽しそうに騒いでグループ活動をしていたが、私が見ていたグループの中に一人あまり元気がない男の子がいて、私はなんとなく気になった。
その子は叶人君と言った。見た目は皆んなに馴染んでいて楽しそうだったが、私には無理をしているように見えた。
「俺、肉切るの気持ち悪いから叶人やってよ!」
「え?俺?」 「そう!やっといて!」
叶人君は一瞬、嫌そうな顔をしたが、笑顔になって「いいよ!」と言った。
そのまま、他の子はキャッキャ言いながら、遊んでいたが、叶人君は一人で調理を続けていた。その後も、洗い物を押し付けられて叶人君は一人で大量の洗い物をしていた。
「凄い量だね」私が手伝いに行くと、叶人君はまた笑っていた。
「大丈夫です。家でも洗い物してるから」
確かに叶人君の洗い物する手つきは慣れていた。
「へぇ〜それは偉すぎだね〜」
「別に普通です。うち片親で、母親しかいないから、母親忙しいんです。でも、後少しで再婚するんだけど、、、」
叶人君は少し節目がちな顔で私に言った。
「うちと一緒だ!うちも片親で母親が再婚したんだよ」
私の言葉に、叶人君が顔を上げて私の顔を見た。
「私は嫌だったけど、お母さんが再婚するの」
マザコンかもしれないが、私の本音はそうだった。智樹さんは良い人であるのは確かだけれど、それでも母が私だけの母ではなく、他人のものになってしまうのは複雑な感情があった。
大人の私でもそんな気持ちを持つのだから、叶人君ぐらいなら、もっと心にくる物があるんじゃないかと思った。
「俺は、別に嫌じゃないです、、、。お母さん楽になるだろうし、再婚したいならしてもらって全然平気です」
叶人君は小学生とは思えないような、大人びた表情でそう言って、ひたすら洗い物を続けていた。
「いや、もう大丈夫でしょ。七奈ちゃんすっかり多目的室でぐっすり一人で眠ってるじゃん」
「違うの。言い訳させて、ぐっすり眠っているのはキャンプ場のバイトが思ったより体力勝負で、毎日くたくたに疲れてるから、気づいたら怖がる暇もなく眠っちゃうんだよ」
私と永斗君は明日からくる、小学生のスイミングスクールの夏合宿の子供達に何かイベントを考えていた。
永斗君はせっかく廃校があるんだから、肝試しをしようと提案してきて、私と永斗君と岸さんでおばけ役をやろうと言ってきたのだ。
「おばけなんて出さなくてもさ、廃校の中を夜歩くだけでよっぽど怖いと思うけど?私なんて初めてここへ来た時怖すぎて帰れるもんなら、すぐ帰りたかったもん」
私がそう提案しても、永斗君は難しい顔をして悩んでいた。
「いや、、、それじゃあつまらないだろ。つまらないよ、俺が!俺はおばけやりたいの!全力で脅かしたいの!!」
結局永斗君は、自分が楽しみたいだけみたいだった。
「じゃあさ、永斗君一人でおばけやりなよ。
私は待ってるからさ」
「おばけが一匹しか出てこなかったらつまんないでしょ?三体はいないとだめだって!はい!決まり!七奈ちゃん口さけ女ね、で岸さん死神、俺ピエロね」
永斗君が勝手に決めていた。なんで私だけ口裂け女で和風のお化けなのかは謎だった。
その後も永斗君はお化けの衣装を探したりと一人で忙しそうにしていた。
そんなこんなしていたら、翌日スイミングスクールの子達がやってきた。三十人くらいでやってきた小学生は、各自でテントを張って食事も自分達でカレーを作っていた。
私と永斗君もインストラクターの人達の手伝いで、子供達の作業の手伝いをしていた。
三十人も小学生が来たらとにかく賑やかだった。
テントは一つに対して五人グループで泊まる事になっていてた。皆んな楽しそうに騒いでグループ活動をしていたが、私が見ていたグループの中に一人あまり元気がない男の子がいて、私はなんとなく気になった。
その子は叶人君と言った。見た目は皆んなに馴染んでいて楽しそうだったが、私には無理をしているように見えた。
「俺、肉切るの気持ち悪いから叶人やってよ!」
「え?俺?」 「そう!やっといて!」
叶人君は一瞬、嫌そうな顔をしたが、笑顔になって「いいよ!」と言った。
そのまま、他の子はキャッキャ言いながら、遊んでいたが、叶人君は一人で調理を続けていた。その後も、洗い物を押し付けられて叶人君は一人で大量の洗い物をしていた。
「凄い量だね」私が手伝いに行くと、叶人君はまた笑っていた。
「大丈夫です。家でも洗い物してるから」
確かに叶人君の洗い物する手つきは慣れていた。
「へぇ〜それは偉すぎだね〜」
「別に普通です。うち片親で、母親しかいないから、母親忙しいんです。でも、後少しで再婚するんだけど、、、」
叶人君は少し節目がちな顔で私に言った。
「うちと一緒だ!うちも片親で母親が再婚したんだよ」
私の言葉に、叶人君が顔を上げて私の顔を見た。
「私は嫌だったけど、お母さんが再婚するの」
マザコンかもしれないが、私の本音はそうだった。智樹さんは良い人であるのは確かだけれど、それでも母が私だけの母ではなく、他人のものになってしまうのは複雑な感情があった。
大人の私でもそんな気持ちを持つのだから、叶人君ぐらいなら、もっと心にくる物があるんじゃないかと思った。
「俺は、別に嫌じゃないです、、、。お母さん楽になるだろうし、再婚したいならしてもらって全然平気です」
叶人君は小学生とは思えないような、大人びた表情でそう言って、ひたすら洗い物を続けていた。



