やさぐれ火の鳥様と禁忌の神子


「鈴江さ〜ん、帯持って来て〜」
「鈴江さんは雪兎さんとアヤカシ界に帰ったでしょ。夏休み中はいないって…姉貴、帯より私の髪なんとかしてよ〜」
早めの朝食を食べ、朝から大忙しだ。
「女子《おなご》は大変ですねぇ。犬のあっしにはわかりませんがねぇ」
バタバタしている中、ゆっくり朝ごはんを食べている豆福助。
『別に褌一丁でもいいだろうにあんな奴』
「駄目よ!晴陽ちゃんの体をガン見していいのはアタシだけなんだからっ!」
「焔様に姐さんもおはようごぜぇやす」
頭を下げる豆福助。上手くできず伏せポーズになっている。
『もう来るぞ。中庭にでて迎えるんだろ?あいつは時間にキッチリだぞ』
焔の声に大慌てする美虹たち。
例え焔と同じ最悪な奴だっしても相手は神様だ。
失礼にならないようにおもてなしをしなければならない。

「あれ?」
屋敷の周りの空だけが真っ暗だった。
『ほら、来たぞ』
上を見上げると何かデカいモノが落ちてきた。
何度もボワンボワンとボールのように跳ねている白くて丸い………毛玉!
毛玉は徐々に小さくなっていくと2つの人型がみえた。

(あれが……)

紅音たち神屋敷と神屋敷家の使用人が一斉に頭を下げた。

『俺が一番顔あわせたくない奴だわ〜』
『では帰りますが?』
「だめよ〜翡翠様、それに神子ちゃんも南ノ島の名物食べてって頂戴!」
改めて焔とカトレア、豆福助と翡翠と神子という女性と白い毛玉?を宴の席に迎えた。

「本日は我が南ノ島にお越しいただきありがとうございます。私はこの南ノ島の当主、神屋敷紅音と申します。歓迎のお酒を準備させていただきました、お気に召していただけますと幸いです」
『ありがとうございます。後ほどいただきます』
『今呑んじまえよ〜』
『黙りなさい』
『…………』
あの焔がしゅんとして黙らせるなんて凄い。
もしかしてまともな神様なのかもしれないと関心する美虹。

『紹介がまだでしたね。私《わたくし》は四神・玄武の翡翠《ひすい》と申します』
「私は翡翠様の番であり神子の碧川香夜《みどりかわかや》です」
「オイラは翡翠様の使いのシマエナガの水無月エマよ!宜しくエマっ!」

翡翠は絶見た目年齢は焔より年上の二十代後半くらい。眼鏡をかけていてもわかるほどキリッとしたミントグリーンの瞳に胸元までの長い黒髪で焔とは違い、服装もピシッと決め座る姿勢も綺麗で焔とは違うタイプの絶世の美形だ。
その翡翠の隣にいる女性は金髪に緑と赤のオッドアイで色や装飾品は違えど焔から貰った巫女服に似ている。
シマエナガという白い毛玉…ではなく鳥のようだがフワフワで動きもあざと可愛い。まるで雪の妖精のよう。

美虹たちもそれぞれ自己紹介した。
『な?俺の美虹は可愛いだろ!』
『別に……。私は仕事をしに来ただけですよ。香夜、アレを』
香夜が美虹たちに小さな箱と冊子と何ケタかの番号が書かれたカードを渡す。
開封して構わないとのことで開けると…美虹は空気を読まず叫ぶ。
「すまほ!」
香夜を思わずみるとコクッと頷く。
美虹は大好きな少女漫画から紅音たちは雑誌などからスマホの存在は知っていた。

『俺は美虹の神子服を作るために引きこもっていたから参加していなかったんだが、少し前に四神が集まる四神会議をしたんだ』
「焔様の代わりにあっしが説明いたしやす。白虎様が4つの島の時代遅れや住人らの古い考え方を改善できないかと。そこでアイディアを出してくれたお方が街出身の香夜様ってわけでやして」
たしかに美虹も令和の時代に江戸時代かって何度も思ったほどだ。
白虎様はなんて素晴らしい考え方をされるのだろう焔と大違いだと焔をチラッとみた。

「未来のことは神でもわかりやせんが島から出られなくても情報を常に得られれば発展に近づけられるのではと結論になり、いずれは4つの島の住人に渡る予定ですがまずは当主一家からと」
「じゃあネットできるの!」
興奮気味の美虹は鼻息が荒く、豆福助は若干引き気味に。
「うん。このスマホは翡翠様たちが作った特別製でね、神様パワーでネットも電話もできるよ。私が来たのは使い方を教えるため」
香夜も自分のスマホをみせる。

『会議の中で島から出られない代わりに4つの島を観光したり自由に移り住めるようになります。島それぞれに考え方や特徴がありますから良い部分をプラスにと…こちらは先程も言ったように各島の当主側にスマホとやらを渡していますから当主会議をし調整してください』
「はい」
さっそくスマホの電源から入れる所からレクチャーを受けた。
「番号が書かれたカードをみてね。一番上が自分の番号。全員違うから練習がてらスマホにお互いの番号登録してね」
「あの香夜様、私のカードには番号が2つあるみたいなんですけど…」
「上の番号は一般用で家族やいずれ島の人達とやり取りする用で、下の方は神専用番号。私たち神子や四神様と連絡専用なんだ」
香夜は自分の番号と他の白虎の神子と青龍の神子の番号を教えてもらい、拙いながらもポチポチ登録した。

「私のは亀だけど美虹さんって呼んでいいかな?美虹さんのは鳥のアプリがあるでしょ?これは神子専用でメールや画像や動画送れるアプリなんだよ」
ラ〇ンみたいなやつと言われても美虹はよくわからない。
「SNSなら日本や世界情勢がほぼリアルタイムでわかるんだ。島のことは内緒だから観覧だけになるから注意してね」
スマホの存在を知っていてもいざ使うとなると難しい。 なんだか凄い文明の機器を手に入れた気分と同時に何度も言うがどんだけ時代遅れなんだと感じるばかり。
雨音はすぐに使いこなし、晴陽は説明書の冊子を読みながら操作を覚えている。

「そうそう島にはテレビなかったよね。スマホでテレビ見られるよ」
美虹は即反応し教えてもらうと大好きな漫画のアニメが流れた。次回予告をしているのでまともに観られなかったが来週から観られると思うと最高である。

「晴陽ちゃん、嬉しいかしら?」
「はい!知りたいことたくさんあったんです、でもわからないことばかりで諦めてましたから…」
晴陽はウルウルしている。
「よかったらスマホケースとストラップあげるわ。目印に付けてね」
カトレアがたくさんのケースとストラップが入った袋を出して、それぞれ選んだ。
晴陽はカトレアに鹿のスマホケースにストラップを渡されていたが文句も言わずに装着していた。