やさぐれ火の鳥様と禁忌の神子

翌日は焔からの呼び出しもなく、昼まで寝てゆっくり過ごした。
雑誌もやっと読めた。
「あぁ〜カッコいい〜ヒロインのピンチに助けるヒーローとか最高!あ、新しいライバル!続きが気になるのに来月は休載か〜〜」
美虹はベッドの上で独り言やツッコミを入れながら楽しんでいた。

「は〜〜やっぱ恋愛はこうあるべきよね。ヒロインを引っ張っぱる強引なヒーローもいるけど魅力的なのに……焔と大違い!」
雑誌に栞を挟み、焔からもらった犬と鹿のキーホルダーをツンツンする。
犬は豆福助、鹿はカトレアを連想して買ったのかなと考えていると皐月が美虹にやって来た。

「美虹様、お休みのところ失礼致します。雨音様から高台にいるから来てほしいと。晴陽様は先に出掛けたようです」
なんだろうと思いつつ、美虹も高台に向かった。
護衛だと言って豆福助も一緒だ。

「雨音〜どうしたの?」
「これから点灯式するから見ようかなって」
高台には雨音と晴陽がいた。高台は草月村側にあり、全部ではないが島の様子が見れる。

「楽しみです。17時にやるそうですよ!」
晴陽も年相応な顔でワクワクしているのがわかる。
焔と紅音が指示し、アヤカシが手配&設置作業をして島中に街灯を取り付けた。
住人たちには紅音が話していたので外に出ている住人たちがまだかまだかと待っているのが見える。

「3…2……1!」
雨音がカウントダウンをはじめると一斉に点灯。
高台からでも住人たちの歓喜や驚きの声が聞こえる。

「なんか綺麗。お星様みたい」
美虹は呟く。星は大げさかもしれないが幻想的にみえた。これからは当たり前になって何も思わなくなるだろうが……

「これも姉貴が焔様の番になってくれたおかげだね〜ありがとう」
「私は嫌い、いや大嫌いよ。諦めさせるために手伝ってくれるんじゃないの?」
「超美形で姉貴のためにって尽くそうとてくれてる相手なんて理想じゃん。私は読まないけど姉貴の好きな少女漫画みたいでさ」
「漫画のヒーローの足元に及ばないよ」
雨音は焔と会うまで不快感を感じていたが今では手の平返しで協力してくれなさそうだ。
残るは晴陽だが…………

「ここへ来る時、同級生から姉さんが朱雀の番になった話しを聞きました。焔様に外堀を埋めて逃げられないようにするとは、なかなかやりますね」
雨音とは違い、協力してくれそう。

「焔様の番でいることで島の暮らしが便利になります。次期当主として姉さんが番でいてくれるのは都合が良いです」
まさか……と焦る美虹。
「島のため、焔様の番を続けてください。街灯だけではなく民家も街灯のようになるのでしたら僕も夜更かしして本が読めて助かります」
普段は無表情の晴陽が珍しくニコッと笑う。

「雨音も晴陽も薄情者〜〜」
「姉貴が我儘なだけじゃん」
「僕もそう思います」

嘆く美虹に呆れる二人。
頼みの豆福助は今日一日加えていたビーフジャーキーを食べるのに夢中だ。