やさぐれ火の鳥様と禁忌の神子

『は〜〜落ちつくなぁ。美虹が俺の隣にいてくれたら癒されるんだがな』
「福ちゃん、綺麗綺麗〜〜」
「お、お嬢〜あっしは風呂は苦手なんで!」
『………』
焔は湯船に浸かると気持ち良さそうに一息つき、美虹をチラッとみるが、美虹は豆福助の体を洗うのに夢中だった。

ここは朱雀神社の敷地内にある温泉。
かなり昔、神屋敷の当時の当主が朱雀様から温泉を掘れと声を聞いたと言い、言う通りにその場所を掘ると本当に温泉が湧いたんだとか。
それからは「朱雀湯」と名付け、建物などの設備を整えていった。
今では温泉目当てに島民やアヤカシ、まれに猿などの動物たちが来ている。

『美虹、こっちにこい』
「嫌です」
『そんなに俺が嫌いか?』
「当たり前です!私はちゃんと恋愛して好きな人と結婚したいんです!」
豆福助の体を洗うのに力が入る。

『俺の番にならなくても長女はアヤカシの番になるはずだが?お前を番にしたいって物好きいたのか』
「霊力強いんで、いっぱいいます!孔雀のアヤカシに白鳥、ダチョウに鷲、九官鳥、フラミンゴとか」
見事に鳥類ばかりだったが……ちなみに孔雀と鷲はアヤカシはアヤカシ界では上位の部類だ。

『紅音が全部断ったんだな』
「………はい」
豆福助の体にお湯をかけてやるとちょっと気持ち良さそうにしている。
『豆福助の方が終わったならこい』と手招きされ警戒しながら近づく。
美虹は思わず声を発しそうになった。
服を着ている時はわからなかったが筋肉質でガッチリした体、髪が濡れてよりワイルドな焔。

『どうした?』
「なんでもないです」
焔は美虹の手を握り、ゆっくりと自分の懐に入れ抱きしめる。

『恋愛なら俺とすればいい。俺はお前を誰より愛している』
「……よく知らないのにそんなこと言えますね」
『ああ。俺の愛をわからせてやるさ。お前の体も心も俺に染めてやる』

焔の真剣で真っ直ぐな瞳。
溶けてしまいそうだ。
「私は軽くありませんから!」
『ああ。俺のことは焔と呼び捨てで敬語はなしだ。その方が番として親しみやすいだろ』
「わかったわ、焔」

焔にギュッと抱きしめられ、抵抗するも逃げられないのでおとなしく黙った。

(あ…焔の心臓の音……神様にも心臓あるんだ。なんだか早いな……)


『明日は学校とやらは休みか?』
「はい」
街同様に土日祝日は休みだ。夏休みや冬休みもある。

『よし、島を案内しろ!』
「え?」