やさぐれ火の鳥様と禁忌の神子

『美虹、俺は湯浴みに付き合え』
「嫌です!」
『神子は俺の世話が役目だろ』
本当に勝手だなと思いつつ、焔の弱点とか見つければ、それをダシに諦めてくれるのではと考えたが心が拒否している。
「暗くなるから帰らないと」
学校帰りに神社に寄り、雨音たちが色々聞いていたので陽が落ちかけている。南ノ島では暗い中での学生の外出は禁止だ。
祭り事は特例だが。
アヤカシも自分たちの世界へ帰ってゆく。

『夜はどうしている?提灯か?』
「電池式の懐中電灯を使っています」
紅音が答える。
時代遅れの島は霊力のない人間が住む街と呼ばれる場所のようなライフラインは存在しない。
存在自体は島の住人たちでも知っているが技術もないので精々電池で使える器具くらい。これも月に一度の物資で届く。


『………そうか。俺は美虹に付き合ってもらいたい。お前たちは先に帰れ、カトレアに送らせる。美虹は豆福助と俺が屋敷まで送る』
「…わかりました」
焔の命令なら逆らえないのもあるが小学生の晴陽がいるので従うことに。

「まかせて〜〜晴陽ちゃんの可愛いお尻はアタシが守ってア・ゲ・ル」
晴陽はブルッと体を震わせる。
カトレアは人型から鹿の姿に変える。

「晴陽ちゃん!アタシの背中に乗って頂戴!アタシの背中なら一番安全よ!」
「し、鹿に乗ってはいけません。馬じゃないんで」「アタシは焔ちゃんの使いだからオッケーよ!アタシは晴陽ちゃんに乗られたいの!」
真面目な晴陽に「なんて優しい子!」とカトレアの晴陽の株は上がるばかり。
晴陽はカトレアのグイグイくる押しに負け、背中に乗ることにしたが「アタシの背中に晴陽ちゃんの温もりが〜」と言って早々に後悔した。

紅音たちも宿直の者に任せ帰って行った。

『じゃあ行くか』
「………」
「お嬢、あっしが付いてますからご安心くだせぇ」
豆福助の心強い言葉に安心した。