やさぐれ火の鳥様と禁忌の神子

「姉貴〜遅いよ〜」
「ごめん、掃除当番でさ」
それもあるが焔に会いたくないので気が重い。

「わんわん!」
豆福助はシッポをフリフリして美虹に駆け寄った。
「福ちゃん〜って、喋らないの?」
「クゥ〜ン?」
なんの事?といわんばかりに首をひねる豆福助。
人前では犬のフリをするらしい。

溜息をつきながら焔が待つ…いやがる朱雀神社へ。
階段を上がると既に焔が仁王立ちで待ち構えていた。
「うわぁ〜」と小さく呟き嫌な顔をする美虹。

『美虹!!』
「ちょっ!……んんぅ!」
焔は美虹の姿を目に映すと一目散に走り。美虹を強く抱きしめキスをする。
逃げようとするも逃げられない。
雨音と晴陽に助けを求めるもボーッとして動かない。
豆福助は「お嬢がお困りでしょう!」と焔の足首をガブリと噛むと離してくれた。

『痛ぇって!』
「福ちゃんナイス〜ありがとね」
「美虹、来てたのね。焔様、お茶をご用意しましたからいかがですか?」
紅音がやって来て声を掛けてくれた。
神社の本殿から少し離れた場所にある社務所へ。
ここはお守りの授与や神社の管理や事務作業、祭り事など集会所として使われており、布団を敷けば寝泊まりもできる。
その和室に行くと巫女服を着たカトレアが待っていた。
「美虹ちゃん!昨日ぶり〜〜あら?顔色悪いわよ!眠れなかったぁ〜?」
「えっと、まぁそんなところです」
相変わらずテンションの高いカトレア。
『俺のことを想って寝れなかったんだな。俺は罪な神だな。はっはっはー!』
自意識過剰すぎな焔を無視した。
カトレアが後ろの雨音たちに気がつく。
「きゃああん!アタシのタイプだわ!」と飛びつくように抱きしめた。
「え…あの…わあああっ!」
晴陽はカトレアに抱きしめられると、カトレアからの熱いキス。
普段は無表情で子供らしくない大人びた晴陽が声をあげ、なんとも言えない苦悶の表情をしている。

「晴陽のファーストキッスが奪われた!」と隣にいる雨音が冷静に突っ込む。
「アタシったらいっけな〜い!将来有望そうな男を見つけたら興奮しちゃった。ゴメンね」
カトレアは晴陽を離すと「いえ…」と力なく答えた。
主の焔にこういう部分は似ているようだ。

「晴陽ちゃんって言うの〜秋が楽しみねっ」
「……ひぃ!」
カトレアはウインクをすると怯える晴陽。
ちなみに秋は鹿の恋の季節…つまり繁殖期だ。
秋には晴陽の唇以外も危ないだろう。

焔は美虹の腰に手を回しドカッと座る。
「離して下さい…」
『番なんだから駄目だ』
雷蔵がお茶と茶菓子を全員に配った。
雨音には「ふんっ」とそっぽを向かれる。

「焔様、私の子供を紹介しますね。次女の雨音と長男の晴陽です」
「雨音でぇ〜す!すっごい神級の美形ですね!」
「神屋敷晴陽です。朱雀様にお会い出来、大変光栄でございます」
目を輝かせる雨音とビシッと頭を下げる晴陽。
『朱雀の焔だ。人間界では長子の番を義兄と呼ぶんだろ。気軽にお義兄様とでも呼べ』
「アタシは焔ちゃんの使いでニホンジカのカトレアよ。豆福助はアタシの弟分ってとこかしら。カトレアちゃんって呼んでね」
カトレアは晴陽にウインクと投げキッスをするとゾクゾクッと身震いする晴陽。