再び冬がやってきた。部長の雪哉を中心にみんなで準備をし、合宿に出かけた。去年の冬、その合宿中に加わった俺。あれから1年。雪哉と出逢ってから1年だ。雪哉はもっと前から俺の事を知っていたそうだが。
実家から車で来る部員が多い。皆、スキー道具は実家に置いてあるし、車もしかり。俺も今年はスキー板とブーツを買って、いざ車で。実は運転免許を持っていたのである。あまり運転していないけれど。
初めて雪道を運転した。ただの雪道ではない。雪の山道だ。下り坂でカーブなど、かなりスピードを落さないと曲がれないと脅かされていたので、ものすごくゆっくりと進んだ。
ようやく着いた合宿所は、夏にグラススキーをする為に泊まったあの宿だ。すぐ近くには、アルバイトをしたリゾートホテルもある。
「夏に来た場所と同じだとは思えんな。雪が積もると全然違う」
「そうだね」
途中から合流して一緒に到着した俺と雪哉は、駐車場に車を駐め、外に出て言葉を交わした。
「やっと会えた」
俺は雪哉を抱きしめた。
「おいおい」
雪哉が笑って言う。車2台、前後に連なって走っていたが、それだと抱きしめられない。近くても遠く感じたのだ。
「さ、荷物を運んじゃおうよ」
雪哉が俺を引きはがしてそう言った。まあ、雪哉は部長で、俺とこんな事をしている余裕はないよな。分かってはいるけれど。
「それにしても今回の合宿、参加者多いな」
全員集まった後、学年毎の部屋に別れてもらい、俺たち3年生は事務仕事をしていた。鷲尾がそう呟き、
「そうだよな。突然増えたよな」
と牧谷も同調した。
「合宿前にいきなり増えたもんな、部員が。誰かさん目当ての女子が多いんじゃないか?」
井村が言った。いつも地味にトレーニングを行っていたスキー部だが、ここ1年、ちょっと注目を浴びていた。井村の言う誰かさんというのは俺の事だろう。だが俺は黙っていた。
「だとしても、いいじゃない?部員は多い方がいいし」
雪哉がそう言って、
「そうそう、お金も集まるしね」
と鷲尾が後を受けて言った。
「団体割引もきくしな」
井村もそう言った。
翌朝、トレーニングから始めて、午後は自由時間になった。初心者が多いので、初日は俺と雪哉が初心者コースを滑る事にした。新入部員ばかりで滑らせるのも不安だという事で。
とはいえ自由時間なので、俺らも自由に滑った。初心者の部員を横目に、雪哉は初心者の2倍の速さでコースを回る。俺は1.5倍くらいだが。
シュッ、シュッとリズム良く滑る雪哉。たとえなだらかな坂だとしても、その格好良さは健在。ああ、やっぱすげーな。
と、俺も後ろから見とれていたら、
「あ、ちょっと!あれ鈴城先輩じゃない?」
「うわ、カッコイイー!」
「すごーい、上手―い!」
女子達の歓声がすごい。俺が横を通り過ぎても何の反応もないんだけど?つまり、女子達のお目当てって、雪哉だったのか?
実家から車で来る部員が多い。皆、スキー道具は実家に置いてあるし、車もしかり。俺も今年はスキー板とブーツを買って、いざ車で。実は運転免許を持っていたのである。あまり運転していないけれど。
初めて雪道を運転した。ただの雪道ではない。雪の山道だ。下り坂でカーブなど、かなりスピードを落さないと曲がれないと脅かされていたので、ものすごくゆっくりと進んだ。
ようやく着いた合宿所は、夏にグラススキーをする為に泊まったあの宿だ。すぐ近くには、アルバイトをしたリゾートホテルもある。
「夏に来た場所と同じだとは思えんな。雪が積もると全然違う」
「そうだね」
途中から合流して一緒に到着した俺と雪哉は、駐車場に車を駐め、外に出て言葉を交わした。
「やっと会えた」
俺は雪哉を抱きしめた。
「おいおい」
雪哉が笑って言う。車2台、前後に連なって走っていたが、それだと抱きしめられない。近くても遠く感じたのだ。
「さ、荷物を運んじゃおうよ」
雪哉が俺を引きはがしてそう言った。まあ、雪哉は部長で、俺とこんな事をしている余裕はないよな。分かってはいるけれど。
「それにしても今回の合宿、参加者多いな」
全員集まった後、学年毎の部屋に別れてもらい、俺たち3年生は事務仕事をしていた。鷲尾がそう呟き、
「そうだよな。突然増えたよな」
と牧谷も同調した。
「合宿前にいきなり増えたもんな、部員が。誰かさん目当ての女子が多いんじゃないか?」
井村が言った。いつも地味にトレーニングを行っていたスキー部だが、ここ1年、ちょっと注目を浴びていた。井村の言う誰かさんというのは俺の事だろう。だが俺は黙っていた。
「だとしても、いいじゃない?部員は多い方がいいし」
雪哉がそう言って、
「そうそう、お金も集まるしね」
と鷲尾が後を受けて言った。
「団体割引もきくしな」
井村もそう言った。
翌朝、トレーニングから始めて、午後は自由時間になった。初心者が多いので、初日は俺と雪哉が初心者コースを滑る事にした。新入部員ばかりで滑らせるのも不安だという事で。
とはいえ自由時間なので、俺らも自由に滑った。初心者の部員を横目に、雪哉は初心者の2倍の速さでコースを回る。俺は1.5倍くらいだが。
シュッ、シュッとリズム良く滑る雪哉。たとえなだらかな坂だとしても、その格好良さは健在。ああ、やっぱすげーな。
と、俺も後ろから見とれていたら、
「あ、ちょっと!あれ鈴城先輩じゃない?」
「うわ、カッコイイー!」
「すごーい、上手―い!」
女子達の歓声がすごい。俺が横を通り過ぎても何の反応もないんだけど?つまり、女子達のお目当てって、雪哉だったのか?



