ライブが終わった。相変わらずお姉様方が俺を囲み、色々とプレゼントをくれた。俺のファンの方々が帰って、帰り支度をしようと楽屋へ戻ろうとした時、客席で友加里が神田さんと話しているのが目に入った。神田さんも友加里も、楽しそうに話し込んでいる。それじゃあ、雪哉はどうしているのか。俺は雪哉を目で探した。会場内にはいない。俺は急いで会場の外へ出た。ライブ会場は地下だったので、階段を上って地上に出る。すると、やはりそこに雪哉がいた。誰かを待っている様子。
「雪哉」
声を掛けると振り返った。
「涼介。これ、ありがとう」
雪哉はそう言って笑った。これ、というのは一輪のバラである。
「ああ、そっか。今紙袋を持ってくるよ。えーと、神田さんを待ってるの?」
俺がそう言うと、雪哉は曖昧に笑った。
「ん?どうした?」
「あ、ううん。何でもないよ。一応、神田さんを待っていようかなとは思うけど……この後どうするの?みんなでご飯行くなら、僕は帰るけど」
「ああ、どうかな。ライブ前にコンビニおにぎりとかを軽く食べたし、俺らはあんまり打ち上げとかしないんで」
と言って俺は笑った。俺は実家暮らしだが、他のメンバーは独り暮らしで金銭的に余裕がない。飲むなら酒を買ってきて家で飲む。
「そっか」
一瞬、2人は黙り込んだ。今、神田さんは友加里と話している。そのせいで、雪哉を待たせている。
「とにかく、俺の荷物とそれの紙袋持ってくるから、ちょっと待ってて」
そう言って、俺はまた階段を駆け下りた。
ライブハウス内に入ると、まだ神田さんと友加里は話していた。俺は自分の荷物と例の紙袋を持ち、
「それじゃあ、お疲れ!」
と、メンバーに声を掛けた。
「おう、お疲れ!」
「お疲れ~!」
シオンとシュリが言った。楽器の片付けを終え、彼らも帰り支度をしていた。神田さんと友加里にも声を掛けた。
「神田さん、先に帰るよ」
「ああ、お疲れ」
「涼介、格好良かったわよ」
「サンキュー。じゃあな」
神田さんに雪哉の事を話そうかと思ったが、やっぱり辞めた。そして、俺は階段を駆け上がった。
雪哉はまだバラを一輪持って、俯いて立っていた。その姿はまるで王子様だけど、やっぱりどこか寂しげで、いたたまれない。
「お待たせ。はい、これ紙袋。この中に入れろよ」
俺は紙袋を雪哉に渡した。
「うん」
雪哉はバラを紙袋に入れた。
「なんか、神田さんはまだ帰らないみたいだから……」
それ以上は言葉に出来ない。だから何だと言えばいいのだろう。帰った方がいい?俺と一緒に帰ろう?雪哉がどうしたいのか、俺には分からないよ。すると、雪哉はニコッと笑い、
「そっか。じゃあ、僕帰るね」
そう言った。ちょっと無理しているような顔だな。
「一緒に帰ろう。家が近いんだからさ」
「うん」
「雪哉」
声を掛けると振り返った。
「涼介。これ、ありがとう」
雪哉はそう言って笑った。これ、というのは一輪のバラである。
「ああ、そっか。今紙袋を持ってくるよ。えーと、神田さんを待ってるの?」
俺がそう言うと、雪哉は曖昧に笑った。
「ん?どうした?」
「あ、ううん。何でもないよ。一応、神田さんを待っていようかなとは思うけど……この後どうするの?みんなでご飯行くなら、僕は帰るけど」
「ああ、どうかな。ライブ前にコンビニおにぎりとかを軽く食べたし、俺らはあんまり打ち上げとかしないんで」
と言って俺は笑った。俺は実家暮らしだが、他のメンバーは独り暮らしで金銭的に余裕がない。飲むなら酒を買ってきて家で飲む。
「そっか」
一瞬、2人は黙り込んだ。今、神田さんは友加里と話している。そのせいで、雪哉を待たせている。
「とにかく、俺の荷物とそれの紙袋持ってくるから、ちょっと待ってて」
そう言って、俺はまた階段を駆け下りた。
ライブハウス内に入ると、まだ神田さんと友加里は話していた。俺は自分の荷物と例の紙袋を持ち、
「それじゃあ、お疲れ!」
と、メンバーに声を掛けた。
「おう、お疲れ!」
「お疲れ~!」
シオンとシュリが言った。楽器の片付けを終え、彼らも帰り支度をしていた。神田さんと友加里にも声を掛けた。
「神田さん、先に帰るよ」
「ああ、お疲れ」
「涼介、格好良かったわよ」
「サンキュー。じゃあな」
神田さんに雪哉の事を話そうかと思ったが、やっぱり辞めた。そして、俺は階段を駆け上がった。
雪哉はまだバラを一輪持って、俯いて立っていた。その姿はまるで王子様だけど、やっぱりどこか寂しげで、いたたまれない。
「お待たせ。はい、これ紙袋。この中に入れろよ」
俺は紙袋を雪哉に渡した。
「うん」
雪哉はバラを紙袋に入れた。
「なんか、神田さんはまだ帰らないみたいだから……」
それ以上は言葉に出来ない。だから何だと言えばいいのだろう。帰った方がいい?俺と一緒に帰ろう?雪哉がどうしたいのか、俺には分からないよ。すると、雪哉はニコッと笑い、
「そっか。じゃあ、僕帰るね」
そう言った。ちょっと無理しているような顔だな。
「一緒に帰ろう。家が近いんだからさ」
「うん」



