日が落ち大塚神社には人が集まってくる。
「……っ」
俺は引きつっていた。
忠春ただはると大塚神社に来た俺は完全に戸惑っていた。
なぜなら見たくもない顔があったからだ。
なっんでお前がいんだよ!!!!彼方!!!聞いてねーよ!!!
声にならない声を必死に胸の中に閉じ込める。
海晴の隣には無表情の彼方おちかたの姿。
「真雪も誘った!」
満面の笑みで言う海晴に俺は引きつった笑顔をしか出来ず、俺の隣にいる忠春は俺の心情を察してかすかさず間に入る。
「あ!そうなんだ!俺隣のクラスの大津忠春そしてこっちが諏訪柚希 ユズは俺と一緒のクラスなんだ よろしくね」
「つかそんな自己紹介しなくても中学一緒だったんだから知ってんだろ なー彼方」
イライラしている俺はぶっきらぼうに彼方に言う。
すると彼方はキョトンとした顔で俺らの顔を交互に見る。
「…中学?」
「は?嘘だろ お前覚えてねーの!?」
「…ごめん 人覚えるの苦手で…」
中3の時同じクラスだったろうが!
その言葉は心の中に留めたが、俺のイライラは止まらない。
「ユ〜ズ!人には得意不得意があるんだからしょうがない!今自己紹介したんだし、今回は覚えてくれるよ!ねっ?」
忠春がすかさずフォローに入る。
「うん…」
その言葉に彼方は頷く。
バツが悪そうな顔をして俺から視線を外す彼方。
その様子を見て何か違和感を感じた。
中学の頃の彼方はもっとこう…感情を表に出さなかった気がする。
彼方の横にいる海晴に目を向けると許してやってと言うようにアイコンタクトをしてくる。
その仕草をみてふたりの仲の良さが浮き彫りになった気がした。
自分の中でのモヤモヤがどんどん大きくなる。
海晴は大切な友達だ。
彼方と連事で何かあってからじゃ遅い。
何かしでかしたら絶対に許さない。
俺は強く心で思った。


