雪が溶ける頃に



授業が終わり、急いで帰る準備をする。
適当に持ち物をかばんに詰め、真雪(まゆき)の荷物も適当にかばんに詰める。
とりあえず真雪まゆきの机の引き出しの中の物をカバンに入れた。まあ大丈夫だろう。忘れ物があったら、俺が代わりに取りに来たらいい。
そして二つのかばんを持って教室から早足で出る。

「おい!海晴(かいせい)!」

名前を呼ばれ振り向くと柚希(ゆずき)忠治(ただはる)の姿。
いつも一緒に帰っているので、迎えに来てくれたようだ。

「どした?どこ行くんだよ」

柚希(ゆずき)の言葉に顔の前で両手を合わせる。

「ごめん!真雪(まゆき)が熱だして!家まで送らねーとなんだわ!今日は先帰って!ごめん!」

俺はふたりにそれだけ告げ保健室へと向かった。
廊下には部活に行く者、家に帰る者、友達と遊び行く者、色んな生徒でごった返す人混みをかき分け慌ただしく向かう。

「…失礼しまーす」

まだ真雪(まゆき)が寝ているかも知れないので小さめの声で言う。
保健室に入ると先生は居らず、シーンと静まり返っていた。

「……っん、ふっ…」

するとカーテンの掛かっている一番端のベッドから苦しそうな声が聞こえる。

「…真雪(まゆき)?」

俺はそーっと端のベッドに近づき遠慮がちにカーテンに手をかけ、そっと引いた。
そこには寝ている真雪(まゆき)の姿があった。

「…はっ、」


だが、真雪(まゆき)は苦しそうな呼吸をしていて頬には涙の跡が目立っていた。
何かに魘されているような、苦しそうな呼吸。

真雪(まゆき)!」

俺は真雪(まゆき)の肩を揺すり、眠りから目覚めさせる。苦しそうな真雪(まゆき)の顔を見ていられなかった。

「…ん…」
「大丈夫か?真雪(まゆき)

薄らと目を開けた真雪(まゆき)の目にはまだ涙が溜まっていた。

「…梶野(かじの)、くん」
「魘されてたけど、大丈夫か?」
「…ぁ…うん」

起きたばかりの真雪(まゆき)はぼーっとしていていつも以上にふわふわとしている。

「帰れそうか?」
「…うん、帰る」
「ん」

俺は頷いて、ベッドから起き上がろうとする真雪(まゆき)の腕を支える。

「…ありがと」
「まだ熱高いか?」

真雪(まゆき)は俺の言葉に首を横に振った。

「…マシになったと思う」
「そうか、良かった」

するとガラッと扉を開く音がした。

「ごめんねー!会議長引いちゃって…。梶野(かじの)くん来た?」

先生が慌ただしく入ってくる。

「あ、はい!」

俺は咄嗟に返事をする。

「あ、梶野(かじの)くん。彼方(おちかた)くんは大丈夫?帰れそう?」
「…はい 寝たら少しマシになりました。」
「そう ゆっくり帰りなさいね。梶野(かじの)くん、彼方(おちかた)くんの事お願いね」

先生にそう言われ挨拶をしてふたりで保健室を後にした。